2.BAR【プラチナ】の秘密
「バーボンをロックで頼む」
イーグルはそう言うと、バーテンダーの目の前の椅子に深く腰掛けた。疲労と警戒心が入り混じった表情で、冷たいグラスを差し出される。
「アンタ、テロリストから逃げてきたんだろう? 軍曹さんよ」
バーテンダーは低い声でそう言い放った。イーグルはグラスに映る自分の顔を見つめながら、煙草に火をつけた。
「さぁな」
イーグルの返事に、バーテンダーはため息をつくと、彼の前に灰皿を置いた。
「警戒するのはわかる。だが、こっちとしても厄介事を持ち込まれるのは困るんでね」
イーグルは一口バーボンを煽ると、喉を焼くアルコールの感覚を味わいながら答える。
「酒を飲んだらすぐに出るさ」
その言葉を遮るように、外からけたたましい警報の音と大勢の足音、男たちの怒鳴り声がBARの中にまで響き渡ってきた。
バーテンダーは静かに肩をすくめると、イーグルに視線を向けた。
「やれやれ、どうやら手遅れのようだ。貸し一つで匿ってやれるが?」
イーグルは警戒しつつも、目の前の男に答えた。
「高く付きそうだが、頼めるか?」
バーテンダーは無言で頷くと、「そのまま座ってな」とだけ告げた。
その瞬間、どこからか「カチッ」と音がした。
イーグルが座っていた椅子が静かに下に下がり始め、やがて真横にずれていく。彼の代わりに、空の椅子が何事もなかったかのようにゆっくりと上がってきた。
「しばらく我慢してくれ」
バーテンダーの声が最後に聞こえ、イーグルは完全に暗闇の小部屋に閉じ込められた。
このBAR【プラチナ】は、いったい何者なのだろうか。そして、イーグルを匿うことの「貸し」とは、何を意味するのだろうか。




