なろうとは…テンプレとは…そうか、お約束とは…ゲッター線とは…
実験的にちょっとテンションが高いですがハイテンションオリ主だから無罪です
なぜか投稿から二年近く経過した今、このエッセイがブクマ100を突破いたしました。
やったぜ! これで俺もなろう底辺(ブクマ100以上の作品を一つも抱えていない作者)脱出だ! ……エッセイですけど!
50万も書いといてブクマひとけただけど!
というのは置いておくとして、今更ながらこれがブクマ入りだした理由は一つ。
『なろう批判を批判する! 〜昨今のなろう批判ブームに対し、背景を大して知らねーで語ってんじゃねーよ!!と思った古参が、新参向けに、なろうが勝者になった理由と歴史を書きなぐる話〜』
https://ncode.syosetu.com/n8479er/
このエッセイの影響です。
控えめに言って素晴らしいエッセイじゃーないですか。私、感想を三回も出してきました。私には非常に刺さるものです。
さて、この内容に便乗致しまして、今回は一つ、テンプレの歴史を……というのは、前にやったのでここでは割愛いたします。
上の方のエッセイと完全に被ってる上に、私の方が新参(今年でだいたい十年)なのでやる意味が全くないという事です。
でも「なろうテンプレ二次創作起源説」をなろうで発表したのは私の方が先ですわよおーっほっほっほ!
……でも文章では完敗いたしました。すげえよ、すげえよ……
さっきも書いた通り私のウェブ小説史は上のエッセイの方とほぼ被っているし、私の方が新参に近いので、自分の話をしても意味がない。
なので一つ、テンプレってなんだろう? という、もっと大枠の話をしようと思います。
さて、インターネット上の、というより、創作コミュとして大きな物になればなるほど
「型にはめる」というのは大切になっていきます。
まず、何か「これ!」というお題、前提となる設定、作品の作り方みたいな物を共有して、色んな人が参加していくことで盛り上がっていく。
なろう系のテンプレしかり、シャーロックなホームズさん(あたくしはカンバーバッチよりジェレミーブレットの方が好き)を筆頭としたキャラもの推理小説もしかり、SCP財団に、クトゥルフに、サイバーパンクに、学園系ラノベしかり、
独創的である以前に、そこにはジャンルとして共通で守るべき形があります。
当然、そこを「あえて」外す事で型破りな作品を生み出せる人もいます。
が、その型自体にはめたくない、というのであれば、当然人気を出すのは困難を極めます。
なろうで連載するのに、なろうの型にはめるのに抵抗を覚えるのであれば、「そりゃ、悪手だろ」という事です(永井一郎さんのネテロvsメルエム見たかったなぁ……)
なろうでも同じ事が言えます。
なろう系の中身の要素はほぼ『俺TUEEE型二次創作』から引き継いでいます。
というよりも、俺TUEEE型二次創作自体が『オリ主・神様転生・ニコポ、ナデポ』などなどの共通ワードや設定を、原作の垣根を超えてサイト内の独自文化として共有してきた経緯があり、その、「共有と拡散」を繰り返してきた際に一次創作と合流したものが、なろう系というお約束の正体です。
これについては前に書いたのですが、「なろう批判を批判する」の方でも丁寧に説明されていますね。
お約束、形式の共有というのは、特にウェブ上でアマチュア創作家が集まり、一定以上の創作文化を作るうえでは必要不可欠なものです。
なろう系、というのはお約束の一種です。その前提知識を作者・読者が共有しているからこそ、コミュとして文化として成立しているのです。
外せば当然、なろうでやっていく難易度は上がります。
「でも~っていう作品は」と思った方もいるでしょう。私も思いました。
ごく一部の例外、というのはもちろん存在します。
時折、突然変異にも似たなろう系とは全く遠い作品を見かけるでしょう。
しかし、突然変異は突然変異でしかありません。
一作の巨星が表れ、とんでもないヒットを飛ばした所で、 「お約束」「作品形式」として定着しなければ、後続は中々生まれない。文化として根付かないのです。
ここまでで、なろうでなろう系以外をヒットさせるのがどれほど困難か、という話をしました。
じゃあ、それ以外のジャンルで人に読まれるにはどうしたらいいのか、その答えは簡単で、なろう以外を探せばいいんです。もちろん、今まで通りの公募へ持ち込むというのも手ですが、私としてはあくまで非商業からのスタートが楽しい。
私的にはハーメルンがおすすめです。執筆時点では、あそこのオリジナル作品はまだまだブルーオーシャンで、昔ながらのラノベチックな作品も十分にウケます。
……えっ、ハーメルンでは能力だけクロスとかも書いていいのか!(これより低評価攻撃訓練を開始する!)なんかもありますね。
他作品の技だけ転生特典で貰ったオリ主を書きたいかー!
というのは冗談として、
なろうとハーメルンは年の差のある兄弟と言って良いくらいユーザーが被っており、両方で作品を書いている人も多く見かけます。
が、根本的な違いとして、ハーメルンはオリジナル作品における『お約束』がまだ生まれていません。
なので、基本的にライトノベル的であればかなり評価される余地が残っています。
わりと受けやすいのは ヤンデレ・TS等々の「変人のヒロインと普通の俺」みたいな、個性的なヒロインをメインにした男性向け恋愛小説です。ハルヒの系譜と言えば分るでしょうか。
また、短編作品が時折驚くほど評価されています。
システム的にもかなり近いですが、感想・レビューへのGOOD/BAD投票や各種充実のランキング、評価の可視化などなどの機能面では優れた面が多くあり、
なろうのお約束に従って書籍化だぜ、という方以外には中々良い場所になると思います。
そして、これから生まれるサイトだって、「お約束」は当然ながら生まれていません。
これから生まれるサイトには、無限の可能性と有限のリソースが秘められています。
自分が新しい時代の作品形式を作るんだ、という方ならば、こちらに賭けてみるのも良いでしょう。
大小さまざまな投稿サイトがあります。
大切なのはサイト選びです。自分の作品が一体どこに相応しい作品なのか、しっかり吟味しましょう。
なろうで連載するのが間違っているなどという話ではありません。
が、他のサイトを、自分に合うサイトを見つけるのも、一つの手ではあるのです。
世の中に小説投稿サイトは沢山あるのです。もちろん規模はなろうが一番ですが、自分なりに居心地の良いサイトを探すのも楽しいものです。
そして、もし色々試してみてそれでもやっぱりなろうがいいなら、なろうに戻ってくれば良いのです。
「なろう批判を批判する」の影響か、なろう系とウェブ小説に興味を持つ方が増えたようでわたくし感激です。
ところで、私自身はウェブ小説の中身の違いや歴史については大変興味があって、勉強しときゃ良かったと密かに思っているのですが、そこに付き纏うアマチュア創作への「批判」については思う所があまりありません。
この、「小説家になろう」においては、いくら理屈を並べて賛否を論じたところで結局は「なろう系という文化をほぼ全面的に肯定して楽しめるか否か」という一点が共有できない限りは分かり合えない物だと思いますし。
どうあっても有るものは有るのですから、それに対するスタンスは各自色々でいいんじゃないかなーなんて甘く考えています。
(後、私が批判を受ける程の作品を書いた事がないのもあり、書く事が楽しいので完成させるとこまで書いたらほぼ興味を失って、次回作のプロットを作る人間だから、というのもあります)
批判の質・量の違いはユーザー間よりもサイト管理者の思想によるかなーとも思いますね。
理想郷はああいうスタンスだったので、大手を振ってとんでもない事を言う人もいますし、某所などのコミュなんかを覗く限り、ある程度の治安維持に努めない事には、「批判」と「意見」と「マウントを取りたいだけ」と「馬鹿にしたいだけ」と「作者を傷つけるのってこんなにも楽しい!」なものの区別が付かなくなってしまう、というのはあります。
作者間にある、批判への受け止め方の差については
「『批判は善』は悪なのか ~『なろう批判を批判する!』を読んで、敗者となった小説投稿サイトで育った新参が思ったことを書きなぐる話~」
https://ncode.syosetu.com/n1031es/
こちらの方のエッセイが大変興味深かったです。
作品の投稿形式から生まれる作者の求めるものの違いかあー……おおー……となりました。