34 お仕置き
R15です!R15です!!!!
ひっぎゃああああああ!!!!
なぜ食った!
なぜ私の足の小指食った!
徐々に上がっていく熱気に包まれた室内。
いくつもシワを作るシーツの上で、シャラリと音を鳴らす手枷。
なにか下らない事を考えようとして気を紛らそうとしてみるが、なかなか上手くいかない。這い回る舌の感触に慄き、喘ぐ。
「ぶ、たいちょ…ん、はっ…もっ、やめ…って!」
「……煩い」
足を引こうとすれば更に力を込められ、そのお仕置きとばかりに指先を噛まれる。くちゅり、と卑猥な音が下から聞こえて、顔を真っ赤にしながら目で抗議した。だが相手は意にも介さず、むしろ楽しげに嬉しげに仄暗い色気を纏って攻めてくる。
おっおかしい。おかしい!こういうの…こういうなんてゆうか、エロろいのは求めてない!!誰も求めてないよ部隊長ぅっ!!ああ助けて!助けて誰かぁあああっ!なんか部隊長の舌がズボンめくり上げて上の方に迫ってきてんだけどぉおおおおっっ!!
「ひうっ、はっ、んぁっ…」
頭の中はぎゃあぎゃあしてるのに、実際現実での私は娼婦のように喘ぐ事しかできない。叫びたいのに叫べない。叫ぼうとすると、口はパクパクと最大限の空気を取り込んで終わってしまう。
もはや部隊長が私の性別について何を思っているのかすら、私は考えられなくなっていた。
「あぁ可愛い。とんでもなく可愛いシャロン」
さ、際ですか。どうも有難く存じます。生まれてこのかた始めての男性からの賛辞ですね!やめて!
「あっ、ま、まって………っ」
お願いだから煩わしそうにズボン脱がそうとするのやめて!お願い!ひぎゃぁぁああ!!!
「……悪い子だねえ」
ボコスカと足で部隊長の頭を蹴ってみる。が、部隊長は激情した目で楽しそうに呟くばかり。
怖いよ。いろんな意味で怖い。何考えてるのこの人お!
羞恥に染まった目でいくら訴えようとも聞き入れてくれない。そればかりか、すっと目を細めて手の指先を、肘を、二の腕を順に美味しそうに舐め回す。
その感触に、少しずつ快感を覚えてきた自身に、耐えきれなくなってついに涙を溢す。
「ひぅ…っ、ぐす…っ、やぁあぁぁっ」
嗚咽を漏らすシャロンを、艶めかしく鎖骨を舐め回しながら、狂気に溢れた目でみつめる部隊長。満足するまで鎖骨をねぶった彼は、ペロリと唇についた唾液を舐めとって起き上がった。
「…良いねえ。もっと、シャロン」
…もっと啼いて。悪い子だから、こんなもんじゃ分からないんでしょう?
そう言って首筋を、かぷりと噛まれた。
「っっっいあぁぁ!」
何度も何度も味わうように、噛まれては舐められ、噛まれては舐められた。私の首を嬲っていた舌は、耳の方まで寄ってきた。思わず首をすくめるが、彼は許してくれない。
「んぁッ!ひぃ…っぅ」
これほど愉しいことはないかというように、頭を押さえつけられ、耳を侵された。
クチュクチュとこもる音のなんと官能的なことか。
私はたぶん、死ぬんじゃないかと思った。ここで、この獣に喰われて死ぬんじゃないかと。快感を植え込むだけ植え込まされて、喰い殺されるのだ。靄がかかった頭でそんなことを考えながら、涙を零す。
「…はぁ、ったまんない」
ベッドに身を押し付けられ、手を拘束されて、散々嬲られて。たぶん私は本当に、この時本当に、頭が回っていなかった。でなければあんな言葉、絶対言わなかった。
「………ぃっ」
なあに?とでも言うように覗き込んできた部隊長。思いっきり、叩きつけるように叫んだ。
「…部隊長なんか、だいっきらいッ!」
我ながらなんて子供じみた言葉だ。
場の空気が凍り、はっと気づいた時には遅かった。
フリーズしたあと、彼は、それはそれは嬉しそうに、そうなぜかとてつもなく嬉しそうに、嗤ったのだ。
「あぁ。これだから…」
たまんないんだよ、馬鹿なシャロン。
ーーー死にたいんだね?
ゾゾゾゾッ
ぶわぁっと鳥肌が立つ。耳元で艶やかに囁かれたその声は、これ以上ないほど熱がこもっていて。
ガクガクと震える頭でゆったりと首を振るしかできなかった。
「ふふ。そう言うところもたまんなく可愛い。立場が分かっていてもなお、抗おうとするその振る舞い。最高に愛おしい」
完膚なきまでに屈服させて、自らねだるまで喘がせたくなる。
そう呟いた部隊長は私の髪を乱暴に掴んで、涙を舌ですくい取った。
「…ひっっぎゃっ…ふぅっ…、やめっ、ごめ、なさっ…ああぁっ!」
眼球に舌を這わせ、涙の元から呑んでもまだ足りないとばかりに、頬を、額を、耳を啄ばんだ。
体の奥がじんじんする。息が苦しい。頭が働かない。胸の動悸が全然治らない。
そしてふと思い出したかのように、部隊長は手枷をパキンっと破壊した。
「あっ…な、なに…?」
ふふと艶っぽく笑う部隊長。私は自由になった両手を見つめて、半ば無意識的に、四つん這いでベッドから、部隊長から逃れようとした。
「だぁめ。逃すわけないでしょう」
「やっ…やぁぁっ、なんで…っ」
じゃあなんで、と声を震わせようとするも、部隊長は背後から私を組み敷いた。
そしてがばっと、上のシャツを脱がされる。
「ひっ」
うつ伏せになっているのは不幸中の幸いだった。前からだときっと、さらしで締めた胸がバレていた。
「あぁ細い。白い。ちゃんと食べてるの?全然筋肉付いてないじゃない」
と、やや斜めな言葉を発しながら、背中に舌を這わす部隊長。
「ひぎゃっ…ま、ままま、まって、だめ、やぁっ」
びくんっとわずかに仰け反る。なんか、変だ。他の部位より、一番、一番背中がゾクゾクする。
「あぁ、ここが弱いんだ。ふぅん」
そう言って、尾てい骨ギリギリから背中の中心までゆったりと、情欲的に舐めまわされた。
「っんく、んふぅぅぅ…っ!!!!」
自分から溢れ出る声を聞きたくなくて、顔をシーツに押し付ける。そうして必死に、体に溜まった熱に気づかないふりをしていた。
「んっ!ああぁっ!!」
ちりっと、背中にひりつくような痛み。いくつもいくつも重ねられた痛みにぞわぞわとした考えがよぎる。
嘘でしょ。…まさか。
「ぶ、ぶたいちょ…なにを…っ」
「…マーキング。いや、首輪かな?」
行為を一旦止めて、顔を上げ微笑む部隊長。ひどく艶っぽい笑みだったが、いや今はそんなことどうでもいい。
「あ、あああ痕つけたんですか!?」
そう、世に言うキスマーク。背中の実情は見えないかが、きっと私の背中には赤い跡がいくつも散りばめられているのだろう。
「そうだよ。マーキングしなきゃでしょ」
「なんでそんな自信たっぷりと!信じられない!」
「ーーーーあれ、なにこれ?」
「えっ」
そうして、今更、ほんっとうに今更、部隊長は私の背中に巻きついているサラシを不思議そうに見つめた。
…も、もしかして、女ってバレてない?
ここまできて!??




