第30話「畑にUFOが落ちてきたから助けたら、宇宙人が『農業研修生』として住み込みで働き始めたんだが」
長く厳しかった冬も終わりを告げ、ユウト農園を取り囲む山々にも、柔らかな春の気配が漂い始めていた。
広大な敷地内では、トラクター代わりのゴーレムたちがのっしのっしと土を耕し、空からはハーピィたちが心地よい春風と共に種を蒔いている。裏山にそびえ立つ巨大な『魔王城(兼・従業員寮)』からは、定時でシフトを終えたスケルトン部隊が、鼻歌交じりに(骨を鳴らしながら)温泉へと向かう姿が見えた。
「いやぁ、平和だなぁ」
俺は実家の縁側でぽかぽかとした日差しを浴びながら、ズズズっと熱いお茶を啜った。傍らには、俺が一人暮らしをしていた頃から愛用している、少し色褪せた古いラジカセが置かれている。そこから流れるローカルラジオの穏やかな音楽を聴いていると、ふと、あの街で過ごした日々が蘇ってくる。
休日になると、散歩がてら、関東ではかなり珍しいとされる自噴水をペットボトルに汲んできて、ベランダの小さなプランターに植えたトマトに水をやるのが、当時の俺のささやかな癒やしだった。あの頃の小さな喜びが、今のこの広大な農園の原点になっているのかもしれない。
「ユウト社長、本日も農園の稼働率は完璧です。欧州からの追加発注分も、無事に出荷を終えました」
パリッとしたスーツ姿の魔王ルシフェード(農園COO)が、タブレット端末を片手に流麗な報告をしてくる。
「ありがとう、ルシフェードさん。みんなにも無理させないよう、適度に休憩を挟むように伝えてね」
「ははっ! 承知いたしました!」
「創造主様! 休憩用のお茶菓子として、『世界樹の葉を練り込んだ特製よもぎ餅』をお持ちしましたわ!」
エルフの女王・エルリアさんが、春らしい若草色の割烹着姿で、お盆を手にパタパタと駆け寄ってくる。
「おお、美味そうだね。ポチ、ブルー、お前らも食うか?」
縁側で昼寝をしていた神獣のポチ(真・天界神狼)とブルー(深淵の海皇龍)が、「ワフッ!」「キュルルッ!」と嬉しそうに尻尾を振って起き上がった。
【待機200万人突破!】
【今日もユウト農園は平和の極みだな】
【魔王がタブレットで在庫管理してる姿、いつ見ても草】
【エルリアさんの割烹着姿、尊すぎて直視できない】
【春だねぇ。この配信見てるとマジで田舎に引っ越したくなるわ】
いつものようにドローンで生配信を行っていると、コメント欄も和やかな空気に包まれていた。だが、その平和な日常は、唐突に天から降ってきた災厄によって打ち破られることとなる。
キュィィィィィィン……!!!
突如として、抜けるような春の青空を引き裂くような、甲高い異音が響き渡った。
「ん? なんだあの音」
俺が空を見上げると、雲の彼方から『銀色に輝く円盤』が、黒煙を引きながら猛スピードで落下してくるところだった。
「な、なんだあれは!? 新手の魔法兵器か!?」
「魔王様、お下がりください! 迎撃します!」
ゼクサルとヴァルグが臨戦態勢に入るが、円盤の落下スピードは尋常ではない。
「うわああああっ! 落ちる、落ちるぅぅぅ!」
円盤の中から、何やら情けない悲鳴が聞こえてきた。
ドゴォォォォォォォンッ!!!!!
銀色の円盤は、俺が手塩にかけて耕したばかりのまだ何も植えていない第4区画の畑のど真ん中に、凄まじい土煙を上げて激突した。
「おいおい……せっかく綺麗に畝を作ったばっかりだったのに」
俺が呆れながら土煙の中へと歩いていくと、ひしゃげた円盤(どう見てもUFOだった)のハッチがプシューッと開き、中から人影が転がり出てきた。
「ゲホッ、ゴホッ……! あ、危なかった……。大気圏突入時のシールド計算をミスするなんて……」
這い出てきたのは、タコ型の宇宙人……ではなく、銀色のスタイリッシュな宇宙服に身を包んだ、銀髪の小柄な少年(あるいは少女にも見える中性的な顔立ち)だった。
「おーい、大丈夫? 怪我はない?」
俺が声をかけると、その宇宙の若者はビクッと肩を震わせ、俺の顔を見るなりパァァァッと顔を輝かせた。
「あ、あなたは……! もしかして、銀河系全域のネットワークで『究極のオーガニック農家』としてバズりまくっている、ユウト・ユウキ氏ですか!?」
「え? ああ、ユウトだけど。銀河系でもうちの配信って見れるの?」
「はいっ! 申し遅れました! 私は銀河連邦・第三農業プラント星『セレス』から参りました、農業研修生の『アルカ』と申します!」
アルカと名乗った宇宙人は、ピシッと綺麗な敬礼をした。
「実は現在、私の母星であるセレスは、謎の土壌汚染によって深刻な食糧危機に瀕しているのです。あらゆる最新科学や遺伝子工学を用いても、作物が育たない死の星になりかけています……。そんな時、宇宙の辺境であるこの地球で、どんな不毛の地でも奇跡の作物を育てるというあなたの動画を拝見しました! どうか、私をあなたの農園で研修生として雇い、その農業技術を教えてください!」
アルカの必死な瞳には、故郷を救いたいという純粋な熱意が宿っていた。俺もかつてブラック企業で心身をすり減らし、全てを投げ出してこの畑に救われた身だ。故郷のピンチを救うために何光年も旅してきた若者を、無下にする理由はない。
「そういうことなら歓迎するよ。うちの農園は『定時退社・残業ゼロ・三食昼寝付き』がモットー。農業の基本からしっかり教えるよ」
「ほ、本当ですか!? ありがとうございます、ユウト社長!!」
アルカが涙ぐみながら俺の手を握りしめた、その時だった。
「……ギギギ……ギギギギギ……」
墜落したUFOの底の方から、耳障りなガラスを引っ掻くような不気味な鳴き声が響いてきた。
「ん? なんか変な音が……」
俺がUFOの底を覗き込もうとした瞬間、アルカの顔面から一気に血の気が引いた。
「そ、そんな……! 嘘でしょう!? なぜ、航行システムのエキゾーストパイプに、『奴ら』の卵が付着しているんですか……っ!?」
「奴ら?」
ボゴォォォォォッ!!!
UFOの底の装甲を内側から食い破り、黒紫色に蠢く無数の『何か』が畑へと溢れ出してきた。それは、体長数十センチほどの凶悪な顎と刃のような羽根を持つ、昆虫のような姿をした宇宙生物だった。
「だ、駄目です! みんな逃げて!! あれは宇宙最悪の厄災、『スペース・ローカスト』です!!」
アルカが絶叫する。
「星喰い蝗? ただのデカいバッタじゃないの?」
「違います! 奴らは有機物だけでなく、魔力、闘気、あらゆるエネルギーを喰らって無限に増殖し、最終的には星を丸ごと一つ喰らい尽くすまで止まらない、宇宙のバグのような存在なんです!」
その言葉を裏付けるかのように、畑に降り立った数匹のスペース・ローカストは、周囲の土に含まれるわずかな魔力を瞬時に吸い尽くし、「ギギギッ!」と鳴いたかと思うと、その体がボコボコと膨れ上がり、一匹が二匹に、二匹が四匹へと、恐ろしいスピードで分裂・増殖を始めた。
「チィッ! 農園を荒らす害虫め、このゼクサルが宇宙の塵に還してやろう!」
魔王軍幹部のゼクサルが前に飛び出し、両手に漆黒の暗黒魔法を練り上げた。
「喰らえ! 『虚空圧縮・絶望の流星』!!」
強大な闇のエネルギーが、群れを成すスペース・ローカストに向かって放たれる。
だが——
「ギシャァァァァァァッ!!!」
スペース・ローカストたちは逃げるどころか、自らその暗黒魔法の直撃地点へと群がり、巨大な口を開けて、ゼクサルの魔法を美味しそうにパクパクと食べてしまったではないか。
「な、なんだと!? オレの最大魔法が、食われた……!?」
驚愕するゼクサルの目の前で、莫大な魔力を吸収した虫たちは、体長が1メートル近くにまで巨大化し、さらに数を倍増させた。
「魔法がダメなら物理で潰すまでだァッ!!」
今度はヴァルグが、大剣を振りかぶって虫の群れに斬りかかった。
ガキィィィィィンッ!!!
「なっ!? 硬ェッ! 宇宙合金かよ!?」
ヴァルグの全力の一撃を、虫の外殻は傷一つなく弾き返した。それどころか、ヴァルグの剣に込められた闘気すらも触角から吸収し、さらに増殖を加速させる。
「ど、どうすれば……! 攻撃すればするほど、相手を強くしてしまうなんて!」
エルリアさんが顔を青ざめさせる。
瞬く間に畑を埋め尽くし始めた宇宙の害虫は、凶悪な顎を鳴らしながら、ユウト農園の豊かな作物が実る他の区画へと、黒い津波のように押し寄せようとしていた。
【ヤバいヤバいヤバい!!】
【魔法も物理も効かない上に、攻撃を吸収して増えるとか反則だろ!】
【あの魔王軍幹部の攻撃が完全にエサになってる……!】
【人類滅亡のカウントダウン始まったぞこれ】
【ユウト様!! 早くオーラでなんとかして!!】
配信のコメント欄が絶望と悲鳴で埋め尽くされる中、俺は両手に持った「超強力!虫よけスプレー・ムシコロンEX」を目の前の敵に向け、照準を合わせて叫んだ。
「よし、俺がやる。みんな下がっててくれ!」
俺が一歩踏み出し、虫よけスプレーを構えたまさにその瞬間だった。
「駄目です!! ユウト社長、絶対に攻撃しないでください!!!」
アルカが、俺の足にしがみつくようにして叫んだ。
「なんで? このスプレーは強力タイプだから大丈夫だよ」
「いいえ、駄目なんです! あなたのそのオーラ……私には見えます。それは、星一つを軽く粉砕できるほどの、底知れない超高密度のエネルギー体です! もし奴らが、あなたのその『限界突破オーラ』を一口でも吸収してしまったら……」
アルカの顔は、恐怖で完全に歪んでいた。
「奴らは、地球の質量を遥かに超える、恒星サイズの『星喰い竜』へと一瞬で進化してしまいます!! そうなれば、地球はおろか、この太陽系そのものが数秒で跡形もなく喰い尽くされてしまいます!!」
「……っ!」
俺が手を出せば出すほど敵は強大になり、地球の滅亡を早める。つまり、俺は指一本すら虫たちに触れることを許されない。物理無双が完全に封じられた瞬間だった。
「そ、そんな。ユウト様の力が使えないなんて……。じゃあ、誰があの虫を止められるの……?」
ヤクちゃんが、震える声で呟く。
「う、嘘だろ……? オレたちの創造主様が、手も足も出ないなんて……」
ゼクサルたちも、絶望に打ちひしがれていた。
「ギギギギギギ……!!」
俺たちが立ち止まっている間にも、スペース・ローカストの群れはさらに膨れ上がり、地平線を黒く染め上げようとしていた。俺が手塩にかけて育てたトマトや大根が、次々と奴らの餌食となって消えていく。
(……くそっ! どうすればいいんだ。攻撃ができないうえに、魔力も闘気もオーラも全てが奴らの餌になってしまう。どうやって倒せば……)
焦りが募り始めていたその時——
俺の耳に、縁側に置かれたラジカセから流れる、穏やかなラジオの音が聞こえてきた。
それを聞いた瞬間、俺がかつて自噴水から汲んできた水を、トマトに与えていた時のことを思い出した。そして自身に問いかけたのだった。
あの時、俺はトマトと闘っていたか? 土を屈服させようとしていたか? 答えはノーだ。農業は、自然と敵対してねじ伏せることではない。自然の性質を理解し、寄り添い、共に育むことだ。
俺の中で、パズルのピースがカチリと音を立ててはまった。
「……ねぇ、アルカ君」
俺は、憑き物が落ちたような静かな声で、足元で震えるアルカに声をかけた。
「はい……?」
「あいつらは、エネルギーを喰って増えるんだよね。それはきっと、いつもいつも腹を空かせて満たされないから、イライラして周りのものを手当たり次第に喰い散らかしてると思うんだ」
「そ、それはそうですが……。奴らの食欲を満たすには、星を何個も明け渡さなければ……」
「それは、『ただの餌』を食わせた場合だよね?」
俺は、構えた両手を静かに下ろし、真っ直ぐに立った。そして、絶望に沈む従業員たちに向かって力強く言い放った。
「みんな聞いて! 攻撃は一切中止! 武器は捨てて、魔法を収めて! 今から俺たちは、『ユウト農園の総力』を結集して、あいつらに極上のおもてなしをする!」
俺の突拍子もない宣言に、全員が目を丸くした。
「社長……?? おもてなし、とは一体……?」
ルシフェードが困惑顔で尋ねる。
「あいつらは腹を空かせた迷子なんだ。攻撃するから反撃してくる。エネルギーを求めるなら、吸収しきれないほどの『究極の美味さ』と『満腹感』を与えてやればいいんだよ。腹がいっぱいになって満足すれば、暴れる理由なんてなくなるはずだ」
「な、なんて無茶苦茶な理論ですか! 宇宙最悪の害虫にご飯を作ってあげるなんて!」
アルカが悲鳴を上げる。
「無茶じゃないよ。これがユウト農園のやり方だから。腹が減ってイライラしてる奴には美味いもんを食べさせてあげる。それだけで、世界はちょっとだけ平和になるんだよ」
俺はニヤリと笑い、全員に素早く指示を飛ばし始めた。
「アルカ君、君のUFOに積んである『宇宙の土壌改良剤』と『局所時間加速装置』を出してほしい!」
「は、はいっ! ありますが、どうするつもりですか!?」
「ルシフェードさんと、ゼクサル君、ヴァルグ君! 君たちは魔力や闘気を一切込めず、ただ『美味しく育ってくれ』という純粋な祈りだけで、畑の土を全力で耕して!」
「い、祈りだけで耕す……!? やってみます!!」
「エルリアさんは、一番育ちのいい『世界樹の特大聖大根』の種を。レヴィは、海神の力で不純物の一切ない『究極の浄水』を種に注ぎ込んでくれ!」
「承知いたしました!!」
「ッシャー!俺にまかせろ!」
全従業員が俺の言葉を信じ、一糸乱れぬ動きで配置についた。
アルカが震える手でUFOから装置を取り出し、畑の中心にセットする。魔王軍の幹部たちが、泥だらけになりながら、かつてないほど優しい手つきで土をフカフカに耕していく。エルリアさんが祈りを込めて種を蒔き、レヴィが透き通るような水を優しく注ぐ。
「ギシャァァァァァァッ!!!」
そんな俺たちの動きを「隙だらけ」と見たのか、数万匹に増殖したスペース・ローカストの群れが一斉にこちらへ襲いかかってきた。その圧倒的な数を前にしても、俺は一歩も引かなかった。
俺は両手を地面に突き立て、目を閉じた。そして、自身の内に眠る莫大な『限界突破オーラ』を練り上げる。しかしそこには、微塵の殺意も闘争心も敵意も存在しない。ただ純粋に、美味しい野菜を食べて笑顔になってほしいという、農業者としての絶対的な愛を、純度100%の育成エネルギーへと完全に変換させたのだ。
少しでも焦りや敵意が混じれば、オーラは攻撃性を帯び、虫に吸収されて地球は終わる。俺は極限まで精神を集中させた。
「いっけえぇぇぇぇぇぇっ!!!」
俺が放った純白の育成オーラが、アルカの時間加速装置と共鳴し、畑の土へと一気に注ぎ込まれた。
その瞬間——
ズドドドドドドォォォンッ!!!
畑の中心から、目を射るような黄金の光の柱が天に向かって立ち上った。光の中で、先ほど蒔かれた種が、時間加速と限界突破の愛を受けて、わずか数秒のうちに爆発的な成長を遂げる。
現れたのは、高さ数十メートルにも及ぶ黄金に輝く超巨大な大根『銀河樹の特大聖愛大根』であった。
「ギ、ギギッ!?」
襲いかかってきていたスペース・ローカストたちは、その大根から放たれる圧倒的な「美味そうな匂い」と、微塵の敵意もない「極上の癒やし波動」に、ピタリと動きを止めた。エネルギーを喰らうはずの彼らの本能が、完全に狂わされていた。
「さあ、遠慮せずに食ってくれ! 腹いっぱいになれよ!」
俺が笑顔で促すと、数万匹の虫たちは、まるで魔法にかけられたように大根へと群がり、一斉にその黄金の果肉をかじり始めた。
「…………!!!!!」
大根を一口かじった瞬間、虫たちの動きが完全にフリーズした。その凶悪な顎から力が抜け、赤く血走っていた複眼が、トロンとした穏やかな色へと変化していく。
(……う、美味すぎる……なんだこの、全身を満たしていく温かい感情は……)
(……星を喰っても満たされなかった俺たちの腹が、たった一口で……)
(……あぁ、もうどうでもいいや。闘うの疲れちゃった……)
虫たちの間に、テレパシーのように「極上の幸福感」が伝播していくのが分かった。暴食の呪いが解け、彼らの漆黒の外殻がパラパラと崩れ落ちる。そして中から現れたのは、黄金に輝く美しい羽を持つ、蝶のような益虫の姿だった。
満腹になって完全に浄化された宇宙の蝶たちは、俺たち農園のメンバーの周囲を感謝するようにひらひらと舞い飛んだ。彼らが羽ばたくたびに、キラキラと輝く宇宙の光合成成分が畑に降り注ぎ、荒らされた土壌を一瞬にして極上の黒土へと再生させていく。
やがて蝶の群れは、春の青空の彼方へ、宇宙へと帰っていくための美しい光の帯となって消えていった。
「「「…………おおおおおおおおっ!!!」」」
沈黙の後、ユウト農園に割れんばかりの歓声が響き渡った。
「やった……! ユウト社長、やりましたよ! 宇宙最悪の厄災を、ただの美味しいご飯で無害化しちゃうなんて!!」
アルカが、涙と鼻水を流しながら俺に抱きついてきた。
「ははっ、言ったでしょ? 腹が減ってる奴には、美味いもんを食わせるのが一番なんだって」
【うおおおおおおおおっ!!!】
【神回!!! マジで神回!!!】
【ユウト様のオーラが使えない最大のピンチを、全員の協力で乗り越えやがった!!】
【攻撃じゃなくて「愛」で宇宙を救う男】
【農業の真髄を見た気がする】
【あの宇宙虫、最後めっちゃ幸せそうな顔で飛んでって草】
コメント欄も、かつてないほどの熱狂と感動の嵐に包まれていた。
「ユウト社長……! 私は確信しました!」
アルカが、目をキラキラと輝かせて俺を見上げた。
「あなたのこの『自然と寄り添い、敵すらも満たしてしまう農業』こそが、宇宙を救う真理です! どうか、私を正式にこの農園の弟子にしてください! いえ、生涯ついていきます!!」
「よし! これから春の種まきで忙しくなるからね。しっかり手伝ってもらおうかな」
かくして、ユウト農園の絶体絶命のピンチは、俺たちの「限界突破の思いやり」によって見事に回避された。
空を見上げると、ぽかぽかとした春の太陽が俺たちの畑を優しく照らしている。新しい宇宙人の仲間も増え、俺の農園ライフは、いよいよ地球の枠を超えようとしていた。




