第29話「農園の社員旅行で海底神殿に行ったら、神話の海神が水着コンテストの審査員を始めたんだが」
我がユウト農園の裏山に、たった一日で突貫工事(※魔王軍数万の土木技術と俺の限界突破オーラによる物理法則の無視)によって建設された巨大な魔王城。
今やそこは、ユウト農園の『第二オフィス兼・従業員寮』として完全に機能していた。城の周囲には広大な畑が切り拓かれ、ゴーレムたちがトラクター代わりに土を耕し、スケルトン部隊が(しっかりとシフト制で週休二日を守りながら)収穫作業に勤しんでいる。
そんな平和な昼下がり——
魔王城の最上階に設けられた、無駄に荘厳な社長室(俺の部屋)の巨大なオーク材のデスクに、分厚い企画書がドンッと置かれた。
「ユウト社長、本日は、我がユウト農園における『第一回・社員慰安旅行』の企画書をお持ちいたしました」
ビシッと高級スーツを着こなし、すっかりビジネスマンの顔になった魔王、もとい、ユウト農園COO(最高執行責任者)のルシフェードが、真剣な眼差しで俺を見下ろしている。
「慰安旅行……社員旅行ってこと?」
俺は、差し出された企画書をパラパラとめくりながら首を傾げた。
「左様でございます。現在、我が農園の従業員数は、魔王軍本隊を含めて数万規模に膨れ上がっております。ルシフェード人事・総務部の厳格なシフト管理と、ユウト社長の『絶対定時退社・残業ゼロ』の基本理念により、労働環境は極めてホワイトに保たれておりますが……やはり、日々の農作業の疲れを癒やすための『福利厚生』は不可欠。従業員のロイヤリティを高めるためにも、大規模な社員旅行を実施すべきかと存じます」
「なるほどなぁ……」
社員旅行。その言葉を聞いて、俺の脳裏にフラッシュバックしたのは、かつて勤めていたブラック企業時代の地獄のような記憶だった。休日に強制参加させられ、バスの中では上司のカラオケに無限に手拍子を打ち、宴会では一晩中お酌をして回り、寝る間もなく翌朝のゴルフに駆り出される。あれは旅行という名の『無給の接待業務』だった。
「ルシフェードさん、俺は社員旅行にあまりいい思い出がないんだよね。宴会芸の強要とか、上司へのお酌とか、そういうのは一切禁止の『完全自由行動・純粋な慰安』にしてくれるなら賛成するけど……」
俺がトラウマを滲ませながら言うと、ルシフェードは目頭を押さえて深く頷いた。
「お任せください、社長! 私とて、魔界時代は四天王たちの無茶苦茶な宴会に巻き込まれ、全裸で氷の海に飛び込まされるなどの逆パワハラに耐え忍んできた身。悪しき慣習はすべて私が粉砕いたします。完全なる自由と癒やし、それこそが今回のコンセプトです!」
「おおっ、さすがルシフェードさん! 話がわかる! で、行き先はどこにするの? 温泉宿を貸し切るとか?」
俺が尋ねると、ルシフェードの横からひょっこりと巫女服姿の少女が顔を出した。すっかり飯田町の顔となった厄災女神のヤクちゃんである。手には、俺が作った世界樹の焼き芋をしっかりと握りしめている。
「あのですね、ユウト様! 慰安旅行なら、私の昔の知り合いが管理してる『海底神殿リゾート』なんてどうでしょう!」
「海底神殿? なんだかRPGのダンジョンみたいだね」
「大昔、神々の遊び場として作られた特別な異空間なんです。太平洋の深海一万メートルにあるんですけど、神殿の内部は完全なドーム状の結界に覆われていて、空気もあるし、人工太陽の光で常夏のリゾートビーチになってるんですよ! 私が封印される前は、よくそこで泳いでました!」
ヤクちゃんの提案を聞き、ソファでノートパソコンを叩いていた『深淵の賢者』ことおじさんが、ピクッと反応した。
「ほう……。深海一万メートルにある、一般人には絶対アクセス不可能な超絶プライベート空間。しかも常夏のビーチ……素晴らしいですね! 慰安旅行のついでに、世界の超富裕層向けに『究極のシークレット・リゾート』として、不動産開発する視察も兼ねられます。行きましょう!」
すっかりコンサルタント脳になったおじさんの賛同もあり、ユウト農園初の社員旅行の行き先は「海底神殿リゾート」に決定したのだった。
◆
数日後——
我がユウト農園の精鋭メンバー(農作業はシフト制のため、今回は第一陣として幹部連中と一部の魔物たちが参加)は、魔王ルシフェードが展開した『超広域・次元転移ゲート』をくぐり抜けていた。
「おおおおっ! すごいなこれ!」
俺は目の前に広がる光景に、思わず感嘆の声を上げた。
ゲートを抜けた先は、ヤクちゃんの言葉通り、まさに「常夏のパラダイス」だった。頭上にはドーム状の透明な結界が張られており、その向こう側には深海の暗闇と、時折泳いでいく巨大な深海魚の姿が見える。しかし、結界の内側には人工の太陽が眩しく輝き、どこまでも続く真っ白な砂浜と、エメラルドグリーンに透き通った穏やかな海が広がっていた。
「はいっ、創造主様! 日焼け止め(※あらゆる神話級の熱線を無効化する聖なる軟膏)をお塗りいたしますわ!」
振り返ると、美しいエルフの女王・エルリアさんが、自ら紡いだ『世界樹の糸と神話の蜘蛛の糸をブレンドした純白のビキニ』という、目のやり場に困るほど破壊力抜群の姿で立っていた。
「あ、ありがとう、エルリアさん。似合ってるよ」
「っ……! 創造主様にお褒めいただいた……っ! ああっ、私の全細胞が歓喜の歌を……!」
俺の何気ない一言で、エルリアさんは顔を真っ赤にして限界突破しそうになっている。
「ヒャッハー! 見ろよゼクサル! 砂浜だぜ! 汚れ一つねェ、完璧なキャンバスだ!」
「ふはははは! 我ら暗黒の軍団の力、今こそ『究極の砂城』として具現化してくれようぞ!」
海辺では、魔王軍第一軍団長のゼクサルと第二軍団長のヴァルグが、なぜか気合の入った赤と黒のふんどし姿になり、超高速で砂浜を掘り返しては、魔王城より立派な砂の城を建築し始めていた。
「ワフゥゥン!」
「キュルルルルッ!」
神獣のポチとブルーも、犬かきと蛇行でエメラルドグリーンの海をバシャバシャと泳ぎ回っている。特にブルーは元々が海皇龍なので、水を得た魚どころか、水を得た神話の化身として恐ろしいスピードで波に乗っていた。
「いやぁ、本当にいい場所だな。ヤクちゃん、紹介してくれてありがとね」
俺が、スクール水着のような可愛らしいワンピース水着を着たヤクちゃんに声をかけると、彼女は誇らしげに胸を張った。
「えへへ! そうでしょう! ここを管理してる『レヴィおじさん』はちょっと気難しいですけど、根はいい神様なんですよ。あっ、そういえば事前に許可を取るのを忘れてましたけど、まあ大丈夫ですよね!」
ヤクちゃんが、ペロッと舌を出して笑った、その瞬間だった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォッ!!!
突如として、穏やかだったエメラルドグリーンの海面が爆発するように盛り上がり、天を突くほどの巨大な水柱が立ち上がった。空気を震わせる凄まじい咆哮と共に、水柱の中から『超巨大な水竜』が姿を現した。
全身を覆う鱗はサファイアのように輝き、その瞳は深海の闇のように冷たく、周囲の空間の水分をすべて掌握するほどの『圧倒的な神格』を放っている。
「何奴だ……!! 我が聖なる眠りを妨げ、許可なくこの神殿に足を踏み入れた愚か者どもは!!」
海神リヴァイアサン——神話の時代よりこの深海を統べる、絶対的な水の支配者である。その怒りの声だけで、結界内の大気が凍りつき、巨大な津波が砂浜に向かって押し寄せてきた。
「ひぃぃぃぃっ! で、出たぁぁぁっ! 海神レヴィアタン様だぁぁぁ!」
魔物たちがパニックになって逃げ惑う。
「ち、ちぃっ! せっかくの慰安旅行に水を差すとは……! ヴァルグ、迎撃するぞ!」
ゼクサルたちが、ふんどし姿のまま、暗黒闘気を練り上げようと構えた。
だが、俺はのんびりとビーチパラソルの下から立ち上がった。
「あーあ。ヤクちゃん、勝手に入っちゃダメだったんじゃないか。ほら、プールの監視員のおじさんが怒って来ちゃったぞ」
【おいおいおいwww】
【神話の海神を捕まえて、プールの監視員扱いwww】
【ユウト様の目には、怒り狂う神様が『市民プールの厳しいおっちゃん』にしか見えてない】
【津波が来てるぞ! 逃げてユウト様!!】
【いや、ユウト様なら絶対なんとかする(確信)】
ドローン配信のコメント欄が爆速で流れる中、俺は押し寄せる高さ数十メートルの津波に向かって、ひょいっと右手をかざした。
「まあまあ、監視員さん。そんなに怒らないでください。俺たち、ちゃんとゴミは持ち帰るし、綺麗に使いますから」
俺が『限界突破オーラ』を込めて海面をポンッと撫でた瞬間。
ドォォォォォォォォォンッ!!!
すべてを飲み込むはずだった巨大津波は、まるで透明なガラスの壁にぶつかったかのようにピタリと静止し、そのまま「シュウゥゥゥ……」と音を立てて、ただの心地よいミスト状のシャワーへと変換されてしまった。
「な……っ!? 我が絶対の権能たる【滅びの海嘯】が、ただの霧に……!? 貴様、ただの人間ではないな!?」
巨大な水竜が、驚愕に見開かれた目を俺に向けた。
「暑い中を見回りお疲れ様です。これ、うちの農園で採れたスイカなんですけど、冷えてて美味しいですよ。一緒に食べませんか?」
俺はクーラーボックスから、限界突破オーラを吸って育った『世界樹のスイカ(※一口で全魔力回復&水属性完全耐性付与)』を取り出し、スパッと半分に割って、海竜の目の前へと放り投げた。
「ふんっ! 人間からの施しなど——」
海竜は威嚇するように口を開けたが、放り投げられたスイカがスポンッと口の中に入ってしまった。
その瞬間——
カッ!!!!!(海神の脳内宇宙ビッグバン)
「!!!!!!!!」
巨大な海竜の体がビクンッと跳ね上がり、全身を覆っていた怒りのオーラが、一瞬にして極上の癒やしへと変換された。
「な、なんだこの果実はァァァァァッ!!? 瑞々しい果肉が口の中で弾け、我が数万年の渇きを瞬時に潤していく……っ! 深海のどの珍味よりも甘く、そして……優しい味……!!」
海竜は涙を流しながら光に包まれ、やがてその巨大な体はギュルルルンッと縮小し、気付けばこんがりと日焼けした肌に、サーフパンツ一丁の『超絶マッチョなイケメンのお兄さん』の姿になって砂浜に降り立っていた。
「いやぁ、美味かった! 悪かったな、あんちゃん! 俺ぁ、この海を管理してるレヴィアタンだ! レヴィって呼んでくれ!」
爽やかな笑顔でサムズアップを決める海神。
【ファッ!?!?!?】
【海神様、スイカ一切れで即落ちwwwww】
【ユウト様の食べ物外交、もはや宇宙の真理】
【監視員のおじさんから、陽気なサーファーのお兄さんにジョブチェンジしちゃったよ】
【ヤクちゃんといい、この世界の神様チョロすぎない?】
「あはは、話が分かってくれてよかった。俺はユウト。こっちはうちの農園の従業員さんたちだよ。今日は社員旅行で遊びに来させてもらったんだ」
俺が握手を交わすと、レヴィは俺の背後にいる面々をぐるりと見渡した。
「なるほど、ヤクモの嬢ちゃんもいるし、見たところ魔界の連中もいるな。……だが、ただ遊ばせてやるだけってのも癪だな! この神聖な海底神殿のビーチを使うからには、お前たちの『情熱』ってもんを見せてもらおうじゃねえか!」
レヴィはバシッと自分の大胸筋を叩き、砂浜を指差した。
「海辺の情熱といえばコレだ! 『第一回・海底神殿ビーチバレー大会 兼 水着コンテスト』の開催だァァァッ!! 俺を満足させるプレーとパッションを見せた奴には、このリゾートの永久無料パスポートをくれてやるぜ!」
かくして、人類滅亡の危機は回避され、なぜか神話の海神を巻き込んだ前代未聞のビーチバレー大会が幕を開けたのである。
◆
「行くぞォォォッ! 我が暗黒のサーブ、『虚空圧縮・絶望の流星』!!」
「オラァッ! それにオレの『次元断層・防壁』を合わせるぜェェェッ!」
砂浜に急遽設営されたビーチバレーのコート上では、ゼクサルとヴァルグのふんどしコンビが、ビーチボール(※限界突破オーラに耐えきれず、すでに質量が超新星爆発寸前の星のコアと同等になっている)を挟んで、レヴィと激しい攻防を繰り広げていた。
「甘いぜ魔族の兄ちゃんたち! 海の神を舐めるなよ!【リヴァイアサン・スマッシュ|《ルビを入力…》】ッ!!」
レヴィが跳躍し、空間の水分を極限まで圧縮した腕でボールを叩き落とす。ボールは完全に光の矢と化し、空間を削り取りながら、ゼクサルたちのコートへ突き刺さろうとする。
「うおおおっ、速い! 拾えねぇぇぇぇぇぇ!!」
「くそっ、ここまでか……!」
ボールが砂浜に直撃し、海底神殿ごと消し飛ぶかと思われたその時——
「おっと、オーライオーライ。俺がもらうよ」
俺は、首に巻いた今治タオルをなびかせながら、スッと落下地点に入り込んだ。そして両腕を柔らかく組み、基本に忠実なアンダーハンドレシーブの姿勢をとった。
ポシュッ……
神話級の破壊力を秘めたスパイクは、俺の腕に触れた瞬間、すべての運動エネルギーを『絶対的な平和』へと書き換えられ、ふんわりと綺麗な放物線を描いて空高く舞い上がった。
「な……なにィィィィィィッ!?!? 俺の全力のスパイクが、あんな気の抜けたレシーブで完全に無効化されただと!?」
レヴィが空中で目玉を飛び出させて驚愕する。
「ルシフェードさん! トスお願い!」
「承知しました社長!【魔王の絶対命令】!!」
スーツのジャケットだけを脱いだルシフェードが、完璧なタイミングでボールをネット際へと上げる。俺は軽く助走をつけ、砂浜を蹴って跳躍した。
「よっ……と! 必殺、ユウト農園特製・大根引っこ抜きスパイク!!」
俺の手のひらがボールを捉えた瞬間——
パァァァァァァァンッ!!!!!
ボールから放たれた衝撃波が、ネットを超えてレヴィの脇をすり抜け、さらにその後ろに広がるエメラルドグリーンの海を、モーセの十戒のごとく、真っ二つに叩き割った。海が割れ、海底の岩盤が露わになり、遥か彼方の水平線まで一本の道ができるという、あまりにも理不尽な光景。
ボールはそのまま深海の彼方へと消え去り、遅れて凄まじい爆音が神殿内に響き渡った。
「「「「…………」」」」
コートに静寂が訪れる。
「あー……ごめん。ちょっと力入れすぎたかな。ボール、どっか行っちゃった」
俺が頭を掻きながら着地すると、レヴィは膝から崩れ落ち、砂浜に両手をついた。
「……完敗だ。なんだアンタ、人間じゃねえだろ。あんなスパイク見せられたら、海の神としてのプライドが木っ端微塵だぜ……」
「いやいや、レヴィのスパイクもすごかったよ。さすが監視員のお兄さんだ」
「だから監視員じゃねえって……」
こうして、ビーチバレー大会は俺たちユウト農園チームの圧倒的勝利(物理)に終わった。
続く『水着コンテスト』は、もはやコンテストと呼べるものではなかった。
「はいっ! 創造主様のため、このエルリア、全身全霊の美を捧げますわ!」
エルリアさんがポーズを決めるたびに、その神々しい美しさと「絶対に日焼けしない神話級のオーラ」が周囲の空間を浄化していく。
「あ、あの……私も、ちょっとは……似合ってますか?」
ヤクちゃんが恥ずかしそうにモジモジすると、かつて世界を滅ぼしかけた厄災の面影は完全に消え失せ、ただの守りたくなる小動物オーラが爆発する。
「ふははは! オレのふんどしの食い込みを見よ!」
ゼクサルが無駄にポーズをとる。
審査員席に座ったレヴィは、もう白目を剥きながら「10点」「10点」「100点」「神」というプラカードを機械的に掲げるマシーンと化していた。
「……もう、お前ら好きに使ってくれ。俺の負けだ。このリゾートは、お前らユウト農園の専用施設として明け渡す……」
すっかり毒気を抜かれたレヴィは、燃え尽きたように砂浜に横たわった。
「明け渡すって……俺たちはただ旅行に来ただけだから、ここを奪うつもりなんてないよ」
俺が冷えた麦茶を差し出すと、レヴィは不思議そうに俺を見上げた。
「それに、こんな綺麗な海を管理できるのは、やっぱりレヴィしかいないよ。そうだ、もしよかったらだけど……うちの農園の『水産事業部・本部長』として働いてみない?」
「……は? 水産事業部?」
「うん。うちの野菜は世界中で売れてるんだけど、魚介類の取り扱いがなくて困ってたんだ。この綺麗な海底神殿の海で、レヴィの力を使って安全で美味しい魚を養殖してくれたら、絶対に大ヒットすると思うんだよ。もちろん、給料もうちの野菜を現物支給でどう?」
俺の提案に、深淵の賢者がコタツ(なぜか砂浜にコタツを持ち込んでいる)の中から親指を立てた。
「完璧なビジネスモデルです。神話級の海神が育てたオーガニック・シーフード。一杯の海鮮丼が、中東の石油王に一億円で売れるでしょう。私が完璧な流通ルートを構築しますよ」
レヴィは、俺の顔と、先ほど食べた『世界樹のスイカ』の残骸を交互に見つめ……やがて、ニカッと太陽のような笑顔を浮かべた。
「……面白え! 数万年寝てて退屈してたところだ。お前のその規格外の力と、美味すぎる飯があるなら、俺も一肌脱いじゃるぜ! ユウト社長、今日から俺をここの養殖場長としてこき使ってくれや!」
レヴィが俺の手をガシッと握り返した瞬間、海底神殿内に歓声が巻き起こった。
【神話の海神、まさかの養殖場長に就任wwww】
【これでユウト農園、ついに水産業にまで進出かよ!】
【海産物まで神話級になったら、もう地球の食卓がユウト様に支配されるぞ】
【監視員のお兄さん(海神)、めちゃくちゃいいキャラしてて草】
【慰安旅行に来たはずが、ちゃっかり超優秀な人材と新しい事業拠点をゲットして帰る男、ユウト】
かくして、ユウト農園の第一回社員旅行は、誰も怪我することなく、全員が心からのリフレッシュを果たし、ついでに神話の海神を、水産事業部長としてヘッドハンティングするという大成功のまま幕を閉じた。
「あー、楽しかった! やっぱり、みんなでワイワイやる旅行は最高だな」
夕日(人工太陽)が沈みゆく海底神殿のビーチで、俺はエルリアさんやヤクちゃん、そして魔王軍の連中が笑い合う姿を眺めながら、最高に美味いビール(※一口で不老不死になる麦酒)を飲み干した。
俺の理想とするスローライフは、農園の枠を飛び出し、ついに海へとその広がりを見せていた。




