第十四話 似ていた
中界のどこかにある荒んだ町。たくさんある家は全てボロボロだが、とある大きな一軒家だけは比較的綺麗だ。
その一軒家には明かりが点いていた。そこには、五人の人外が住んでいる。
「そういえば、サフィナちゃんの後ろにいた金髪のお兄さん、アジリアさんに結構似てたよね」
ソファーへ横になり、足をブラブラさせながら、曇海は今日の事を話す。
それに答えたのはアジリアと呼ばれた金髪の男だった。曇海が言うように、彼の容姿はとてもブレイクに似ている。ブレイクが顎髭を生やし、長い髪を首辺りまで切り、右目を包帯で隠せば、全く同じ人物が生まれそうなほどだ。
しかし、アジリアには一瞬で分かるほどの相違点がある。それはアジリアの背中から生えている何本もの触手だ。
ヴァヴェートたちはアジリアの蠢く触手をまるで気にしていない。そんな異様な中、会話は進んでいく。
「そりゃそうだろうな。その金髪……名前は確かブレイクだったか? そいつは私の御先祖様だ」
アジリアの返答に誰よりも驚いたのは、もうひとつのソファーに座っていたヴァヴェートだった。
「マァ~ジで!? え、もしかして攻撃しちゃ駄目だった感じ……?」
「……男の方は死なない程度なら好きにしろ。ブレイクが死んだら私の存在ごと無くなるぞ。それと、サフィナの方は傷ひとつ付けたら駄目だ。すまんな、私も先に言っとくべきだった」
アジリアは少し申し訳なさそうにした。
そんなアジリアの話を聞いて、先程まで喋らなかったティワトは、胸を撫で下ろすようにして呟いた。
「……危なかったな」
「次から戦いを仕掛ける時は気を付けないとね」
「まぁ、他のヤツら……アジリアの先祖とノーザイ以外の男三人衆いたじゃん? あいつら人間のくせに意外と奮闘してたから、次から集中的に狙って行こーぜ。そしたら、あとはサフィナ以外の女子供を殺るだけの簡単なお仕事だ」
曇海やヴァヴェートの次からという単語に、紅茶を飲んでいたマリアがムスッとした表情で突っ掛かる。
「ちょっとあんた達、反省してるの? 明日は丸一日かけて修理しに行くんだからね!? 絶対逃げるんじゃないわよ。サーラちゃんを怒らせたらどうなるか、あんた達も知ってるでしょ? 次の戦いの話より、まず先に明日の修理について考えなさいよ。私に全部丸投げは絶対許さないからね。……返事は?」
マリアの強めの問いに、三人はやる気のない返事を返すだけだった。そんな三人に対して、またマリアが大きな声で怒る。
それに反応したのか、家の周りにいたカラスたちも声を上げ、一目散に夜の中へ逃げるようにして飛んでいった。




