表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人外だらけの世界に飛ばされた人間様御一行の記録  作者: 南野


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/55

第十話 人外VS人間


 大剣と刀では大きさは歴然としている。それに加え、戦いに慣れている人外と普通に過ごしていた人間では差がありすぎる。

どうにかギリギリで耐えているが、正直もう腕が限界だ。

 ヴァヴェートはちからでブレイクを押し潰そうとしてくる。


「お前ら人間は大人しく食われて栄養となるか、無様ぶざまに死んで見せ物になるか、その二択しかないんだよ!」

「ふざけんな! 誰がそんな二択選ぶかよ」


 ヴァヴェートのふざけた選択に、ブレイクは久し振りに大声を出した。

 他の応戦をしていたサフィナは、すぐに二人の間に入りヴァヴェートの大剣を弾く。

そして、その後ろから徳札とくさねが首を狙いドスを刺そうとするが、まるで踊るようにけられ徳札とくさねは舌打ちをする。


「……チッ」

「背後から奇襲きしゅうを仕掛けようとしても無駄。俺にはぜーんぶ見えてるんだからな」


 そんなブレイクたちの後ろでは、大きな声を上げながら必死に何かからけている白金しろがねがいた。


「うぉおお!? 炎はアカンって! 拳銃じゃ対処できんのはよくないで!」

「逃げてばかりじゃ面白くないよー?」

「いやでも俺凄くない? 今のところ全部回避(かいひ)しとるで……アカン! これ言っちゃいけんやつ! 言った瞬間当たるやつや、フラグになるやつ!」


 曇海どんかいの出した炎の玉が白金しろがねを狙っていく。なんとか炎の玉を回避かいひしているが、速さはあちらの方が上だ。白金しろがねに炎の玉が直撃しそうになった時、その炎は水によって消火され威力を失う。

 白金しろがねの前に立ったのはノーザイだった。


「大丈夫?」

「ありがとぉ、助かったわ……ってノーザイくん水属性なん!? 髪赤いから勝手に炎属性やと思ってたわ」

「炎は使えないけど、こうやって水を氷にする事はできるよっ!」


ノーザイは白金しろがねにそう答えながら、発生させた水を氷柱つららに変え敵に飛ばし、徳札とくさね高峰たかみね援護えんごをしていく。

そのまま氷で剣を作り、ノーザイは高峰たかみねと戦っているティワトに向けて、横からりかかるがティワトはそれをやりで弾く。


「この前もサーラおばさんに怒られてたのに、何度も同じことを繰り返そうとするなんて、あんたらは本当に考え無しが過ぎるよ」

「俺は止めました。けど、あの馬鹿二人が止まらなかったので……。それなら、諦めておたくらと戦った方がいいかと思いまして」

「諦めて戦うんじゃなくて、せめて傍観ぼうかんしてくれた方が、こっちとしては嬉しかったけどね!」


ノーザイとティワトが氷の剣とやりで攻防をしている中、高峰たかみねはティワトの背後を取り、頭にメリケンのパンチを与える。

 ゴッと音が鳴り、ティワトはよろめきながら体勢を整え後ろを振り向き、布からわずかに見えた口が笑う。ティワトの顔をおおう白い布には『(>o<")』という顔文字が浮かんでいた。


「いたた……今のは結構痛かったですよ。しかし、こうして殺されないよう抵抗ていこうしている時の顔が一番輝いていて、興奮しますね」

「え、なに、特殊性癖とくしゅせいへき?」


 高峰たかみねの何気ない一言に、ティワトは動きを止める。

そして、持っていたやりを下ろして、高峰たかみねに震えた声で問い掛ける。彼の顔の布には『困惑こんわく』の文字が現れた。


「違います……え、違いますよね? 殺されないよう必死に抵抗ていこうする相手の顔が好きなんですけど、もしかして普通ではない?」

「そういうのが好きなヤツもいると思うけど、あんまり見ない気がする……」

「そうか……あんまり言わない方がいいのかもしれない」


顔をおおう布には『( ´・ω・`)』の顔文字が現れ、肩を下げしょんぼりしたティワトを見た高峰たかみねは、ティワトの肩に手を置き優しく語る。


「そんなことない、好きなものは好きと言っていい。いつか同士が見つかるかもしれないだろ。だが、気を付けろ。それを不快に思う相手だっている。だから見極みきわめるんだ。その性癖せいへきを伝え、ぶちまけていい相手かどうか、その目で見定みさだめろ。大事なのは相互理解そうごりかいだ。お互いにお互いの性癖せいへきを認め合い高め合える、そんな相手を見つけるんだ」


 真剣な眼差しで言う高峰たかみねにティワトは感動したようで、顔の布に『感激かんげき』の文字が浮かんでいた。

 高峰たかみねはティワトの顔の布を見て思った。戦ってる最中はそれどころではなく気付かなかったが、ティワトの布は彼の感情に合わせて単語や顔文字が現れるらしい。

今は『大事』という文字が現れており、ティワトは横で戦っているヴァヴェートと曇海どんかいの顔を思い浮かべる。


「……あぁ、いますね。俺には、俺の性癖せいへきを笑わない、否定しない、そんな彼らが周りにいる。俺は幸せ者だったんですね。そうか、俺の性癖せいへきを受け入れてくれる彼らは、俺にとって大事な存在だったんだ」

「ふっ、なんだ。すでに分かり合える仲間がいたか。なら、そいつらに伝えてやれ。お前らに合えて良かった。自分の性癖せいへきに引かず笑わず、そばにいてくれてありがとうってな」


 ヴァヴェートや曇海どんかいの方を眺めるティワトに、高峰たかみねはティワトの背中を優しく叩き、親指を立ててウインクをした。

ティワトはそんな高峰たかみねをしっかりと見た。ティワトの顔をおおう布には『見直し』の文字が浮かんでいた。

周りが火花を散らしているというのに、彼らの周りは何故かほんわかとしているように見えた。


「おたく、人間なのにいいかたですね。ちょっと人間のこと見直させてもらいます」

「あぁ、是非ぜひそうしてくれ」


まるで友達のように、高峰たかみねとティワトが普通に話している姿を見て、白金しろがね曇海どんかいは手と足が止まっていた。


「なぁちょっと、なんかあそこ仲良くなっとらん!? あそこだけ戦うのやめて友達みたいになっとる……!」

「ティワトくーん、おぬしはまたそうやってほだされる! 会話してないで、戦いなよ! 戦わないとおぬしの好きな顔見れないでしょ!?」


 はしで会話を進める二人とツッコミの二人がいるそんな中、ブレイクと徳札とくさねすきを付いて、ヴァヴェートは桜音さくらね姉妹へ近付き大剣を振るう。


百奈ももなさん! 百花ももかさん!」


 徳札とくさね桜音さくらね姉妹の名前を呼び、徳札とくさねとブレイクが走り出し、ノーザイも氷柱つららをヴァヴェートへ飛ばすが間に合わない。

 ブレイクが拳銃の照準しょうじゅんを合わせようとする前に、ヴァヴェートと桜音さくらね姉妹の間にひとりの少女が飛び込み、ヴァヴェートの大剣を刀で受け止める。

 ヴァヴェートの大剣をそのまま振り払ったサフィナは、かすみかまえでヴァヴェートを睨み付ける。


「ここにいるみなさんは、私の大事な人達です。戦う意思のない相手にも容赦ようしゃなく手を出すというのなら、私も貴方に容赦ようしゃいたしません」

「俺はお前とやる気なんてないけど、邪魔するならお前も殺す。人間の味方する人外なんて、いなくなっても問題ねぇもんな!」


 ヴァヴェートはサフィナに大検を振りかざすが、サフィナは刀でそれを受け流し反撃する。そのすきを見て、ブレイクもヴァヴェートに攻撃を仕掛ける。

ヴァヴェートは二人の刀から間一髪かんいっぱつけるが、頬に切り傷が入り横髪が少し切れる。

 ヴァヴェートはサメのようなギザギザの歯を見せるように口角を上げた。


「いいね、楽しくなってきた」


 目の前で繰り広げられる戦いに百奈ももなは、どうすればこの戦いを止められるのか、何か良い案はないか周りを見渡すが、周りは沢山の観衆かんしゅうに囲まれているだけだった。これだけ多いと誰かに被弾しそうだが、相手側は止まる気配がない。

そして何より、周りの誰もが止めようとしない。心配そうに見てる子供も、何かを言い合っている大人も、まるで透明な壁があるように、一定数離れた位置から動かない。

 周りの群衆は何かを待っているようにも見えた。


「ちょっとマズいね。応戦しつつ守りもしないといけないし、戦闘力的にもが悪い」


 ノーザイはそう口から溢す。

このままだと消耗戦しょうもうせんで負ける可能性がある。ノーザイとサフィナ以外は戦いに慣れていない、ましてや人外相手に戦うなど彼らは人生で初めてだろう。

棚部たなべさんが来るまで持ちこたえるしかないのか。ノーザイがそう考えていた時、とある声がヴァヴェート達の動きを止めた。


「コラァー! ここでドンパチするのはやめなさいって言ったでしょ!?」


 可愛らしくも威圧いあつを感じる大きな声が、この地区一帯(いったい)に響き渡る。

その声の発生源は教会の屋根に立っていた。

 そこにいたのは、大きく長いウサギのような獣耳をピコピコと動かし、珊瑚色さんごいろのふわふわな長い髪をなびかせた、なんとも可愛らしい少女だ。

 彼女は腰に手を当て仁王立ちでこちらを見下ろしていた。その表情はプンプンという擬音が聞こえてきそうなほど、分かりやすく怒っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ