出口
「は~は~は~」息が荒くしんどい。
もう体力も限界に近いな。
「ウ~ンナンダ、スデニシニカケデハナイカ」
悪魔は黒い大きな鳥のような姿をしている。
しかしこのニヤつき方は一緒だ。ムカつく!
「マーイイ、ズタボロ二シテヤロウ」
「悪いけどそう簡単にやられるつもりはないよ」
ポケットから小さな筒を取り出し蓋を開ける。ポンと手に当てると丸い玉が手の上に転がった。俺はそれを口に入れる。
「ゴクン」それを飲み込むと、蒼字の身体から湯気のような白いモヤが発生する。
「ふ~これはこれでしんどいけど力は戻った。今度こそお前をあの世に送り返してやるよ」
今飲んだのは『霊気玉』非常用に作っておいた霊気補充薬だ。俺の術は使う際に霊気と言われる力を使う。これは誰しもが持っている力だが訓練しなければ上手く扱うことは出来ない。今の俺は術を使いすぎて霊気がすっからかんで術が使えない。その為、霊気玉を飲んだ。お陰で回復した。けど無理やりの回復、身体への負荷が大きく使えるのは一回が限界だ。
「お兄ちゃん………」
「リコちゃん………マコちゃんと一緒離れていて、あいつはリコちゃんがいないとこちらには存在し続けるのは出来ないはずだ!必ずマコちゃんを狙ってくる」
「うん!わかったよ!絶体にマコちゃんは渡さない」
リコちゃんはマコちゃんの手を強く握りしめ走って離れていく。
「ゲゲゲ、イクナヨヤドヌシサマ~
ナカヨクシヨウゼ」
一歩一歩と近づいてくる悪魔。
「本当にお前達悪魔の存在は許せないよ! 人の悲しみ、怒り、妬み等の負の感情を欲し糧にする。 だから弱っている人を見つけ、陥れ、搾取する。
『いらね~んだよお前達はさっさと消えてくれ』」
悪魔は醜態な笑顔で言う。
「ナニヲイウ、ニンゲンガワレヲホッシタノダ
ワレハニンゲンノネガイヲカナエテ
ヤッテイルノダ、ウレシイデアロウ」
「そして騙して最後は魂を搾取するか、リコちゃん達の父親が変わってしまったのもお前のせいか?」
「ゲへへ、ケイヤクシャノオヤジノコトカ……」
「ああ!そうだ!お前達はあの家族を引き裂いた。これ以上はやらせない。言いな!!」
蒼字から強い威圧を発する。
ゆっくりと悪魔の前まで歩き足を止める。
「動くな!」
瞬時に筆を振り悪魔に印を書く。
「裁かれし者は愚かなる者 悪魔よ!
お前は俺が裁く何故なら……………………!
テメェーが気に食わないからだよ!」
「浄化印 煉獄『炎』」
「アギャーーーーーー」
悪魔は炎に包まれ焼かれ浄化され徐々に
小さくなっていく。
「オマエ…ヲ…ノロイ…コロ…ス」
「チリチリ」と小さくなって塵と化した。
危ながった今ので殆ど力が無くなりやがった。
俺は片膝をつき息を整える。
「「お兄ちゃん」」
リコちゃんとマコちゃんが心配そうに駆け寄ってきた。
「うん!大丈夫だよ!」
俺は出来るだけ優しく笑った。
「ごめん。リコちゃん、マコちゃん まだ終わってないんだ。あいつを倒しきれてない。さっきのは悪魔の力の大部分だったけど本体、その核となるものがまだ生きている。そいつがいるかぎりは何度でも復活する。」
「お兄ちゃん気にしないで、私はマコちゃんと会えたよ!すっごく今は嬉しいの、だから謝らないで!」
「お兄ちゃん、私もお姉ちゃんに会えた。寂しくて悲しくていつも泣いてたのに、今は幸せで胸が一杯だよ!お兄ちゃん本当にありがとう!」
リコちゃんもマコちゃんも満面の笑みで応えてくれた。
俺はこの二人を助けたいと強く感じることができた。ならやることは決まってる。
「リコちゃん、マコちゃんもう少し待ってて必ずまた来るから」
「うん!マコちゃんと待ってるね!」
「私、お姉ちゃんと一緒だから大丈夫だよ!お兄ちゃん頑張ってね!」
「おう!行ってくる!」1階へと降りていく。
…………▽
少し時間を遡り
湊斗達は1階を目指して階段を降りていた。幸いさっきまでいた亡霊は居なくなっており、2階に難なく行くことができた。
「ここからだよな」
「拓海、ビビッてないでいくわよ」
「仕方ないだろもしここで、また5階だったら、
おれ……………」
「大丈夫だよ。蒼字くんがいってたでしょ。絶対に出られるよ。」
「……………そうだ!蒼字が頑張ってるんだ!俺達がもたもたしてられね~みんないくぞ~」
湊斗は先陣をきって階段を降りていく。
「えっ!」
「嘘だろ!?」
「やったよ!さくら出られる」
「やったね!陽菜乃」
階段を降り階表示を見ると5階ではなく1階………あっさりと行くことができたのだ。
「今なら出られるよ!急いで!」
陽菜乃が声をだし入口の扉に向かう。
しかし、扉の付近に黒い霧がゆっくりと立ち込めていく。
「何あれ!?あの霧触れて大丈夫なの!」
「………でもあそことるしかないよ!さくら」
「お~俺はいくぜ!」
拓海は走って霧に突っ込むが、
「アアアアアアアア~」
霧に当たってすぐに拓海が倒れ絶叫がこだまする。
「なんだよ!どうした拓海ーー」
「痛い痛いタスケテくれー」
痛みに堪えるようにじたばたしてもがいている。
助けたいけど近づくと今の拓海と同じに只なるだけで助けることが出来ない。助ける方法が見当たらない為、動くことが全員出来なかった。
「どうすれば良いの………」
さくらも動こうとしては止まりを繰り返し、助けに行けなかった。
その時だった
「さくら怖がらないでお母さんに任せなさい!」
僅かにささやくような小さな声だった。
けど聞き間違える訳はないこの声は………
さくらの横を風が流れ誰かが通った。
なにもいないけど確かにそう感じた。
黒い霧は吹き飛ぶように入口から離れた。
「良し!黒い霧が消えた今なら入口を通れる行くしかない」
湊斗は拓海に近づき無理矢理立たせた。陽菜乃も急いで湊斗を手伝う。
「今のお母さんなの?」
さくらは周りを見回し母を探す。
でも、私達以外誰もいない。
「お母さん………助けてくれたの?」
「さくらーー急いで」
陽菜乃に呼ばれ入口を見るとドアが開いていた。このビルから出ることが出来る。
さくらは母のことが気になったが、
今はここを早くでなければ行けなかった。
後ろ髪を引かれる思いで入口へと走った。
…………▽
「さくら……良かった!怪我無いわよね!」
優しく笑い娘を見送る。
「一花さん!」
「蒼字くん良かった。無事なのね!」
「ギリギリでしたけどね。一花さんありがとうございます。みんなを助けてくれたみたいですね!」
入口の両サイドを見ると亡霊が
ぶっ倒れてもがいている。
「一花さんはやっぱり魂力が強いんですね。これだけの亡霊を一蹴ですか?」
「魂力なにそれ?ま~良いわ。蒼字くん、でもそれは違うはね!」
「娘を守る母はね~無限の力が湧くのよ!」
ビシッと指を指してポーズを取る。
この人は相変わらず………
「さ~て俺もでよっと」
「ちょっと無視~…………冗談はこのくらいにしてリコちゃんとマコちゃんは?………」
「すいません、まだ助けきれてはいません。
けどあの二人は絶対に助けますから!」
「そう、わかったわ!」
一花さんは一言だけ言って、
俺を責めることはしなかった。
俺はそのまま出口のドアを開け外に出る。
…………▽
ここはとある一室
周りには人魂苦しそうな声をだし飛び回る。
その中央には綺麗な服を着た。
白骨化した遺体が鎮座している。
そばには一人の男が佇んでいた。
「くそ~まだだ!まだ足りない。死ね!死ね死ね死んでしまえ!お前達全員餌だ!
あ~~~はやくはやく会いたいよ!……『ミコ』




