第77話:特別授業
開校式から3日後。
アルフォンスさんから、頼まれた。
「ケント、新入生に特別授業をしてくれないか」
「特別授業……?」
「ああ。お前の料理を、実演してほしい」
「そして、お前の料理哲学を教えてほしい」
「分かりました」
翌日――
大厨房に、新入生300人が集まった。
「今日は、ケント校長の特別授業だ!」
新入生たちが、興奮している。
「ケント校長の料理、見られる!」
「楽しみ!」
俺は、中央の調理台に立った。
「今日は、オムライスを作ります」
「オムライス……?」
「シンプルな料理ですね」
「ああ。でも、シンプルだからこそ」
「心が現れる料理だ」
俺は、調理を始めた。
まず、食材の説明。
「鶏肉、玉ねぎ、ご飯、卵、ケチャップ」
「どこでも手に入る、普通の食材だ」
「でも、この普通の食材で」
「人を幸せにする料理が作れる」
鶏肉を切る。
「包丁の使い方、見てください」
「丁寧に、一つ一つ」
「食材を大切に扱う」
「それが、料理の基本です」
新入生たちが、真剣に見ている。
玉ねぎを炒める。
「火加減が大事です」
「強すぎると、焦げる」
「弱すぎると、旨みが出ない」
「適切な火加減を、見極める」
「これも、料理の基本です」
チキンライスを作り――
卵で包む。
「卵は、優しく扱います」
「力任せにすると、形が崩れる」
「優しく、でも確実に」
綺麗なオムライスが、完成した。
ケチャップをかけて――
『調理の祝福』を込める。
```
【調理の祝福】が発動しました!
料理に『心の温もり・極大』『幸福感・大』『優しさの味・中』が付与されました。
```
「完成です」
---
「では、何人かに試食してもらいます」
手を挙げた生徒を、5人選ぶ。
その中には、リオもいた。
「では、どうぞ」
5人が、一口食べる。
「――!」
全員の表情が、変わった。
「美味しい……」
「温かい……」
「幸せ……」
リオが、涙を流していた。
「これが……ケント校長の料理……」
「こんなに、心が温かくなる……」
「すごい……」
他の新入生たちも、驚いている。
「シンプルなオムライスなのに……」
「なぜ、あんなに感動してるんだ……」
「それは――」
俺は説明した。
「心を込めたからです」
「技術だけじゃない」
「食べる人のことを想って作った」
「その想いが、料理に宿る」
「それが、人を感動させるんです」
新入生たちが、頷いている。
「分かりましたか?」
「はい!」
「では、みんなも作ってみてください」
「同じオムライスを」
「心を込めて」
新入生たちが、それぞれの調理台に向かった。
---
**2時間後。**
300人分のオムライスが完成した。
一つ一つ、味見していく。
技術的には、まだまだ。
でも――
心を込めて作った料理は、分かる。
「君のオムライス、美味しいよ」
「本当ですか!?」
「ああ。心がこもってる」
一人一人に、アドバイスする。
「君は、火加減をもう少し弱く」
「分かりました!」
「君は、卵の混ぜ方を、もっと優しく」
「はい!」
みんな、真剣に聞いている。
リオのオムライスは――
特に良かった。
「リオ、才能あるな」
「ありがとうございます!」
「これからも、頑張れ」
「はい!」
ーー第78話に続く




