第76話:世界料理学院開校
エマが弟子になってから3ヶ月。
ある日、アルフォンスさんから手紙が届いた。
『世界料理学院、ついに開校』
『開校式に、ぜひご出席を』
「ついに、開校か」
「行くの?」
リナが聞いてきた。
「ああ。名誉校長だからな」
「じゃあ、私も一緒に行く」
「僕も!」
ユウも手を挙げた。
「俺も行きたいです!」
ソラも。
「私も」
エマも目を輝かせている。
「分かった。みんなで行こう」
---
**1週間後。**
王都に到着した。
街の外れに――
巨大な建物が建っていた。
「あれが……世界料理学院……」
白い壁、広い敷地。
美しい庭園。
「すごい……」
正門には、大きな看板。
『世界料理学院』
『名誉校長 ケント』
「俺の名前が……」
「すごいね、ケント」
リナが、感心している。
門をくぐると――
アルフォンスさんが出迎えてくれた。
「ようこそ、ケント」
「お久しぶりです」
「学院、立派になっただろう」
「ええ、本当に」
「中を案内しよう」
---
学院の中は、さらに素晴らしかった。
最新の調理設備が揃った厨房。
広い講義室。
充実した図書館。
快適な寮。
「全部で、30の厨房がある」
アルフォンスさんが説明した。
「生徒は、1000人受け入れられる」
「1000人……」
「ああ。世界中から、応募があった」
「その中から、選ばれた300人が」
「今年の新入生だ」
「300人……」
「みんな、お前の教えを受けたいと言っている」
「俺の……」
「ああ。お前の『心を込めた料理』をな」
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**開校式。**
大講堂に、300人の新入生が集まった。
年齢は、10歳から30歳まで様々。
国籍も、様々。
みんな、料理人になる夢を持っている。
壇上に、アルフォンスさんと七賢人。
そして、俺。
「世界料理学院の開校を、宣言する!」
アルフォンスさんが宣言した。
拍手が起こる。
「この学院は、世界初の」
「技術と心、両方を教える料理学校だ」
「ただ美味しい料理を作るだけではない」
「人を幸せにする料理を作る」
「それが、この学院の理念だ」
アルフォンスさんは、俺を指さした。
「そして、その理念を体現しているのが」
「名誉校長のケントだ」
会場が、拍手に包まれた。
「ケント、一言頼む」
「はい」
俺は、壇上の中央に立った。
300人の新入生が、俺を見ている。
「……」
深呼吸して、話し始めた。
「みんな、入学おめでとう」
「ありがとうございます!」
「俺は、特別な料理人じゃない」
「でも、一つだけ大切にしていることがある」
「それは――」
「料理は、人を幸せにするためのものだということ」
会場が、静かになった。
「技術も大事」
「知識も大事」
「でも、一番大事なのは」
「食べる人のことを想う、心だ」
「その心を、この学院で学んでほしい」
「そして――」
「世界中の人を、幸せにする料理人になってほしい」
俺の言葉に、新入生たちが頷いている。
「頑張ろう、みんな」
「はい!」
大きな返事が、会場に響いた。
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**開校式の後。**
新入生たちが、俺のもとに集まってきた。
「ケント校長!サインください!」
「写真撮ってください!」
「ああ、いいよ」
一人一人、丁寧に対応する。
その時――
一人の少年が、俺の前に来た。
15歳くらいだろうか。
真剣な目をしている。
「ケント校長」
「はい」
「僕は、リオと言います」
「リオか」
「僕、将来――」
リオは、力強く言った。
「ケント校長みたいな料理人になりたいです」
「……」
「人を幸せにする料理を作りたいです」
「そうか」
俺は、リオの肩を叩いた。
「頑張れ。応援してる」
「はい!」
リオの目が、輝いていた。
ーー第77話に続く




