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第75話:新たな弟子

「弟子に……?」



「はい!」


少女は、真剣な目で言った。



「私、料理人になりたいんです」



「ケントさんみたいな、素晴らしい料理人に」



「……」



「名前は?」



「エマです」


少女は答えた。



「エマ・ホワイト」



「エマか」



「家族は?」



「……いません」


エマは、俯いた。



「両親は、病気で亡くなりました」



「兄弟もいません」



「一人ぼっちです」



「そうか……」



俺は、エマの頭を撫でた。



「大変だったな」



「でも……」


エマは、顔を上げた。



「ケントさんの料理を食べて、思ったんです」



「こんなに人を幸せにできる料理を」


「私も作りたいって」



「だから――」



「お願いします!」


「弟子にしてください!」



「……」



俺は、みんなを見た。



リナは、頷いている。


ユウも、ソラも、みんな賛成の様子。



「分かった」


俺は答えた。



「弟子にしよう」



「本当ですか!?」



「ああ。ただし、厳しいぞ」



「大丈夫です!」


エマは、目を輝かせた。



「頑張ります!」



「よし」



こうして、新たな弟子――


エマが、仲間に加わった。


---


**その日から、エマの修行が始まった。**



「まず、野菜の切り方から教えるぞ」



「はい!」



エマは、真面目に練習する。



最初は、上手く切れなかった。


でも――


諦めずに、何度も挑戦する。



「エマ、頑張ってるね」


リナが、優しく見守っている。



「うん。才能あるかも」


ユウも感心している。



「俺も、最初はあんな感じだったな」


ソラが、懐かしそうに言った。



1週間後――


エマは、基本的な野菜の切り方をマスターした。



「すごい、エマ」



「ありがとうございます、ケント師匠!」



「次は、火加減を教えるぞ」



「はい!」



エマの成長は、早かった。


真面目で、素直で、努力家。



料理人としての才能が、ある。


---


**1ヶ月後。**



エマは、簡単な料理を作れるようになった。



「エマ、お前が作ったスープ、美味しいよ」


お客さんが、褒めてくれた。



「本当ですか!?ありがとうございます!」



エマは、嬉しそうに笑っている。



「エマ、成長したな」



「はい!」



「でも、まだまだです」


「もっと、上手くなりたいです」



「その気持ちを、忘れるな」



「料理人は、一生勉強だ」



「はい、師匠!」


---


**ある日の午後。**



店に、見慣れない老婆が入ってきた。



「いらっしゃいませ」



「……」



老婆は、じっとエマを見つめていた。



「エマ……」



「え?」


エマが、驚いた。



「あなた……」



「おばあちゃん!?」



「エマ……会いたかった……」



老婆は、エマの祖母だった。



「おばあちゃん、どうして……」



「お前を、探していたんだよ」



「両親が亡くなってから、ずっと……」



老婆は、涙を流した。



「やっと、見つけた……」



「おばあちゃん……」



エマも、涙を流している。



「よかった……無事で……」



二人は、抱き合った。


---


**しばらくして。**



老婆が、俺に頭を下げた。



「ケントさん、ありがとうございます」



「エマを、助けてくださって」



「いえ、当然のことを」



「これから、エマを引き取ります」



「一緒に、暮らします」



「……」



「でも――」


老婆は、続けた。



「エマが、料理人になりたいと言うなら」



「ここで、修行を続けさせてあげてください」



「もちろんです」



「エマは、才能がある」


「いい料理人になれます」



「ありがとうございます」



エマが、俺を見た。



「師匠、これからもお願いします!」



「ああ。一緒に頑張ろう」



「はい!」


---


**その夜。**



エマは、祖母と一緒に帰っていった。



「また明日、来ます!」



「ああ、待ってるぞ」



エマの笑顔を見て――


俺は、嬉しくなった。



「いい弟子が、できたな」


レオンさんが言った。



「ええ」



「あの子、きっと立派な料理人になる」



「そうですね」



「ケント」


リナが、隣に座った。



「幸せそうだね」



「ああ」



「エマを助けられて、よかった」



「うん」


リナは、微笑んだ。



「これが、ケントの料理だもんね」



「人を幸せにする料理」



「……」



「これからも、ずっとそうでいてね」



「ああ、約束する」



空を見上げる。


星が、綺麗に輝いている。



世界料理大師という称号を得ても――


俺の生き方は、変わらない。



この村で、小さなカフェを営む。


お客さん一人一人に、心を込めた料理を提供する。



それが、俺の幸せ。



「さあ、明日も頑張ろう」



「うん!」



新たな日常が、始まった。


ーー第76話に続く

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