第73話:世界料理会議の閉幕
カイザーとの対決から3日後。
世界料理会議は、最終日を迎えた。
この3日間――
世界中の料理人たちが、交流し、学び合った。
技術を披露し合い。
食材について語り合い。
料理哲学を共有し合った。
そして――
みんな、同じ結論に至った。
「料理は、心だ」
閉会式。
アルフォンスさんが、壇上に立った。
「世界料理会議を、ここに閉会する」
拍手が起こる。
「この会議で、我々は多くを学んだ」
「技術の大切さ」
「食材の重要性」
「でも、それ以上に――」
アルフォンスさんは、力強く言った。
「心の大切さを学んだ!」
会場が、歓声に包まれた。
「料理は、人を幸せにするものだ」
「技術や食材は、手段に過ぎない」
「本当に大切なのは――」
「食べる人のことを想う、心だ!」
「そして、その真理を我々に教えてくれたのは――」
アルフォンスさんは、俺を指さした。
「ケントだ!」
「ケント!」
「ケント!」
会場中が、俺の名前を呼ぶ。
「ケント、壇上へ」
俺は、ゆっくりと壇上に上がった。
1000人以上の料理人が、見ている。
「ケント」
アルフォンスさんが言った。
「お前は、世界の料理界を変えた」
「技術至上主義から、心の料理へ」
「この変革を、お前が起こした」
「だから――」
アルフォンスさんは、一枚の証書を取り出した。
「お前に、『世界料理大師』の称号を授ける」
「え……」
「世界料理大師――」
「料理界最高の栄誉だ」
「歴史上、この称号を得たのは」
「たった3人しかいない」
「そして、お前が4人目だ」
アルフォンスさんは、証書を俺に手渡した。
「おめでとう、ケント」
「世界料理大師」
会場が、大拍手に包まれた。
「ケント!」
「世界料理大師!」
「すごい……」
リナが、涙を流して喜んでいる。
「ケント……すごいよ……」
ユウも、ソラも、みんな泣いている。
「ありがとうございます……」
俺は、深く頭を下げた。
「でも、俺一人の力じゃありません」
「みんながいてくれたから」
「リナ、ユウ、ソラ、セシリアさん、レオンさん、レイナさん」
「村のみんな」
「お客さんたち」
「全ての人のおかげです」
「ありがとうございます」
会場が、さらに大きな拍手に包まれた。
---
**閉会式の後。**
七賢人が、俺を囲んだ。
「ケント」
アルフォンスさんが言った。
「お前に、提案がある」
「提案……?」
「ああ」
「世界料理学院を、設立しようと思う」
「世界料理学院……?」
「そうだ」
ウィリアムさんが説明した。
「料理の技術と心、両方を教える学校だ」
「世界中から生徒を集めて」
「真の料理人を育てる」
「そして――」
イザベラさんが言った。
「あなたに、校長になってほしいの」
「え!?」
「校長!?」
「ああ」
アルフォンスさんは頷いた。
「お前以外に、ふさわしい人間はいない」
「でも、俺は……」
「俺は、村のカフェで料理を作り続けたいんです」
「分かっている」
アルフォンスさんは微笑んだ。
「だから、名誉校長でいい」
「実務は、我々がやる」
「お前は、時々学院に来て」
「生徒たちに、料理の心を教えてくれればいい」
「……」
「どうだ?」
俺は、みんなを見た。
リナたちが、頷いている。
「分かりました」
俺は答えた。
「名誉校長、引き受けます」
「よし!」
アルフォンスさんは、嬉しそうに笑った。
「では、準備を始めよう」
「学院は、王都に建設する」
「半年後には、開校できるだろう」
「楽しみだな」
カトリーヌさんが言った。
「世界中の若者に、料理の心を教えられる」
「素晴らしいわ」
マザー・エレナも微笑んだ。
「ケント、よろしく頼むわね」
「はい」
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**その夜。**
宿で、みんなと祝杯を上げた。
「ケント、おめでとう!」
リナが、嬉しそうだ。
「世界料理大師だって!」
「すごいですね、ケントさん」
ユウも、目を輝かせている。
「師匠、かっこよかったです!」
ソラも、興奮している。
「みんな、ありがとう」
「これからも、一緒に頑張ろうね」
リナが言った。
「ああ」
「村に戻ったら、また普通の日常だ」
「店を開いて、料理を作る」
「それが、俺の幸せだから」
「うん」
みんなで、笑い合った。
窓の外を見ると――
星が、綺麗に輝いている。
「世界料理大師か……」
まさか、こんな称号をもらえるなんて。
でも――
俺は変わらない。
辺境の村で、小さなカフェを営む。
お客さんのために、心を込めて料理を作る。
それが、俺の生きる道。
「さあ、明日は村に帰ろう」
「うん!」
こうして――
世界料理会議は、幕を閉じた。
そして――
俺たちは、村への帰路についた。
ーー第74話に続く




