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第72話:新大陸の挑戦

翌日。


世界料理会議の会場は、かつてないほどの熱気に包まれていた。



「ケント vs カイザー!」


「新大陸最強 vs 世界を救った英雄!」


「どっちが勝つんだ!?」



観客たちの興奮が、伝わってくる。



中央ステージに、二つの調理台が設置されている。



一つは、カイザー用。


もう一つは、俺用。



「ケント、準備はいいか?」


アルフォンスさんが聞いてきた。



「はい」



「緊張しているか?」



「少しだけ」



「大丈夫だ」


アルフォンスさんは、微笑んだ。



「お前らしく、やればいい」



「はい」



その時――


カイザーが現れた。



「よう、ケント」



「おはようございます」



「緊張してるか?」


カイザーは、不敵に笑った。



「少しだけ」



「正直でいいな」


カイザーは、調理台に向かった。



「でも、緊張は無駄だぜ」



「俺が勝つんだから」



「……」



「冗談だ」


カイザーは、振り返った。



「全力でやろうぜ、ケント」



「料理人として、最高の戦いをしよう」



「はい」



その言葉に、カイザーへの印象が少し変わった。



自信家だけど――


料理への情熱は、本物だ。


---


「それでは、料理対決を始める!」


アルフォンスさんが宣言した。



「テーマは『自由』」


「制限時間は3時間」



「審査員は――」


「我々七賢人と、会場の料理人たち全員だ!」



会場がどよめいた。



「準備はいいか?」



「はい!」



「では――開始!」


---


カイザーは、すぐに動き出した。



調理台の下から、見たことのない食材を次々と取り出す。



「あれは……」



「新大陸の食材だ」


レオンさんが説明してくれた。



「あの赤い果実は、ドラゴンフルーツ」


「青い貝は、オーシャンパール」


「黒い肉は、ダークビースト」



「全て、新大陸でしか採れない、希少な食材だ」



「すごい……」



カイザーの動きは、素早く、正確。


高度な技術を持っているのが、一目で分かる。



「さすが、新大陸最強……」


---


一方、俺は――



シンプルな食材を選んだ。



米、卵、野菜、肉、魚――


どこでも手に入る、普通の食材。



「ケント、それで大丈夫か?」


観客の一人が、心配そうに言った。



「はい」


俺は答えた。



「特別な食材じゃなくても」


「心を込めれば、美味しい料理は作れます」



「……」



俺が作ることにしたのは――


『家族の食卓』



毎日、家族で囲む食卓をイメージした料理。



ご飯、味噌汁、焼き魚、煮物、サラダ――


シンプルだけど、心が温まる料理。



一つ一つ、丁寧に作る。



米を研ぐ。


一粒一粒、大切に。



出汁を取る。


丁寧に、時間をかけて。



魚を焼く。


火加減を見極めて、完璧に。



煮物を作る。


野菜の旨みを、引き出して。



サラダを作る。


新鮮な野菜を、美しく盛り付けて。



全ての料理に――


想いを込める。



家族で食卓を囲む、幸せな時間。


温かい会話。


笑顔。



そんな日常の幸せを、料理で表現する。



『調理の祝福』が発動――



```

【調理の祝福】が真・神級発動しました!

料理に『家族の絆・極大』『日常の幸せ・極大』『温かな時間・大』『笑顔の食卓・大』『愛情の結晶・中』が付与されました。

```


---


**3時間後。**



両者の料理が完成した。



まず、カイザーの料理。



「『新大陸の神秘』だ」



七層構造の、豪華な料理。


各層に、新大陸の希少食材が使われている。



ドラゴンフルーツのソース。


オーシャンパールのグリル。


ダークビーストのロースト。



見たこともない、美しい盛り付け。



「これは……芸術だ……」



「すごい……」



審査員たちが、試食する。



一口食べた瞬間――



「――!!」



全員が、驚愕の表情を浮かべた。



「美味い……!」



「こんな味、初めて……!」



「新大陸の食材、すごすぎる……!」



「これが、カイザーの実力か……!」



カイザーは、自信満々に腕を組んでいる。



「どうだ?」



「俺の料理、最高だろ?」


---


次に、俺の料理。



「『家族の食卓』です」



シンプルな、日本の定食。



「……これは?」



「普通の……定食?」



審査員たちが、戸惑っている。



カイザーの豪華な料理の後だから――


余計に、シンプルに見える。



「大丈夫か、ケント……」


観客の一人が、心配そうに呟いた。



でも――



審査員たちが、一口食べると――



「――!!!」



全員の表情が、変わった。



「なんだ……これは……」



「温かい……」



「心が……温かい……」



「懐かしい……」



一人の審査員が、涙を流し始めた。



「家族で食事をした、あの日々を思い出す……」



「父が、母が、兄弟が……」



「みんなで食卓を囲んだ……」



「幸せだった……あの時間……」



次々と、審査員たちが涙を流す。



「これは……料理を超えている……」



「これは……愛だ……」



「家族への愛……」



「日常への感謝……」



アルフォンスさんも、涙を流していた。



「ケント……」



「お前の料理は……」



「技術じゃない……」



「心だ……」



「人の心を、動かす……」


---


**投票の時間。**



「それでは、カイザーの料理が良かった人、手を挙げてください」



多くの手が上がった。



カイザーの料理は、確かに素晴らしかった。


新大陸の希少食材、高度な技術――



「次に、ケントの料理が良かった人」



さらに多くの手が――



いや、圧倒的多数が上がった。



「勝者――ケント!!」



会場が、大歓声に包まれた。



「ケント!!」


「ケント!!」



「やった……」



リナとユウが、駆け寄ってくる。



「ケント、すごい!」


「勝ったね!」



カイザーは――



「……負けた」



呆然としていた。



「まさか……俺が負けるなんて……」



「カイザーさん」


俺は、彼に近づいた。



「あなたの料理、本当に素晴らしかったです」



「……」



「新大陸の食材、技術、全てが最高レベルでした」



「でも、負けた」


カイザーは、悔しそうに言った。



「なぜだ……」



「なぜ、俺の完璧な料理が負けた……」



「それは――」


俺は、優しく言った。



「あなたの料理には、心が足りなかったからです」



「心……」



「はい」



「料理は、技術だけじゃない」


「食材の希少性だけじゃない」



「食べる人のことを想って作る」



「その心が、人を感動させるんです」



カイザーは、しばらく黙っていた。



そして――



「……分かった」



彼は、俺に手を差し出した。



「お前の勝ちだ」



「認めるぜ」



「ありがとうございます」



「だが――」


カイザーは、不敵に笑った。



「次は負けない」



「俺も、心を込めた料理を作れるようになる」



「その時、また勝負しよう」



「はい。お待ちしてます」



カイザーは、力強く俺の手を握った。


ーー第73話に続く

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