第64話:第三の試練
三日目。
「私の番ね」
シェフ・イザベラが、妖艶に微笑んだ。
美しい女性。
でも、その目には厳しさがある。
「ケント」
「はい」
「私の試練は――」
イザベラさんは、テーマを告げた。
「情熱よ」
「情熱……」
「そう。料理には、情熱が必要」
「冷めた心で作った料理は、人を感動させない」
「あなたの情熱を、料理で見せなさい」
「制限時間は2時間」
「テーマは自由よ」
「分かりました」
---
情熱――
俺の情熱とは、何だろう。
料理への情熱。
人を幸せにしたいという情熱。
仲間への想い。
この村への愛。
「……そうだ」
俺が作るのは――
『パエリア』
スペイン料理の代表格。
色とりどりの食材が、鍋の中で踊る。
米、サフラン、魚介、野菜――
全ての食材を、丁寧に準備する。
フライパンで、米を炒める。
サフランを加えて、黄金色に。
魚介を加え、野菜を加え――
一つ一つの食材に、語りかける。
「お前たちの命を、無駄にしない」
「最高の料理にする」
「みんなを、幸せにする」
俺の想いを、全て込める。
そして――
『調理の祝福』を発動。
```
【調理の祝福】が真・神級発動しました!
料理に『燃える情熱・極大』『生命の躍動・大』『希望の炎・中』『絆の力・中』が付与されました。
```
パエリアが、まるで太陽のように輝いている。
「完成した」
---
イザベラさんが、パエリアを見つめる。
「……美しいわね」
一口、食べる。
「――!!」
イザベラさんの目が、炎のように輝いた。
「これは……」
「情熱が、伝わってくる……!」
「料理への愛」
「人への想い」
「全てが、この一皿に……!」
他の賢人たちも、圧倒されている。
「すごい……」
「これが、情熱か……」
「心が、熱くなる……」
イザベラさんは、満面の笑みを浮かべた。
「ケント」
「はい」
「あなた、最高よ」
「あなたの料理には、確かに情熱がある」
「それも、誰かのための情熱」
「素晴らしいわ」
「合格よ」
「ありがとうございます」
「第三の試練、クリア」
アルフォンスさんが言った。
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**その夜。**
また、リナの体が光った。
「リナ!」
今度は、さっきより強い光。
「う……」
リナが、苦しそうに顔をしかめる。
「リナ!大丈夫か!?」
光が消えた。
リナは、額に汗をかいている。
「ケント……」
「どうした?」
「分からない……」
「体の中で、何かが……目覚めようとしてる……」
「……」
「怖い……」
リナが、俺にしがみついてきた。
「大丈夫、俺がいる」
俺は、リナを抱きしめた。
「何があっても、守るから」
「ケント……」
その時――
ドラグが現れた。
「リナエル姫!」
「ドラグ!?」
「姫の異変を感じて、駆けつけました」
ドラグは、リナを見て、驚愕した。
「これは……」
「知っているのか?」
「はい」
ドラグは、真剣な顔で言った。
「姫の中に眠る、氷竜の力が目覚めつつあります」
「氷竜の力……?」
「リナエル姫は、氷竜の王族」
「その血には、強大な力が眠っています」
「しかし、その力は――」
ドラグは、暗い表情をした。
「制御できなければ、姫を蝕みます」
「――!」
「最悪の場合――」
「姫は、氷竜に変わってしまうかもしれません」
「そんな……」
ーー第65話に続く




