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第56話:奇跡の回復

皇帝の病室に戻る。


「陛下、これを飲んでください」


スープを、皇帝の口に運ぶ。


一口――


二口――


三口――


皇帝の顔色が、わずかに良くなった気がする。


「もう少し……」


さらに、飲ませる。


すると――


皇帝の体が、淡く光り始めた。


「これは……!」


オズワルドさんが、驚愕した。


「魔力が……鎮静化していく……」


側近の魔法使いが、驚きの声を上げた。


「信じられない……」


「暴走していた魔力が、収まっている……」


皇帝が、ゆっくりと目を開けた。


「……ここは?」


「陛下!お目覚めになられましたか!」


オズワルドさんが、涙を流した。


「オズワルド……私は……」


「倒れておられたのです」


「しかし、この方が救ってくださいました」


皇帝は、俺を見た。


「お前が……ケントか」


「はい」


「……私を、救ってくれたのか」


「当然のことをしただけです」


皇帝は、ゆっくりと体を起こした。


「体が……軽い……」


「魔力の暴走が、完全に収まっています!」


魔法使いが、興奮気味に報告した。


「本当か……」


「はい!これは、奇跡です!」


皇帝は、俺の手を握った。


「ケント……お前は、命の恩人だ」


「いえ……」


「いや、感謝する」


皇帝は、微笑んだ。


「お前に、何か褒美をやりたい」


「何でも言ってくれ」


「褒美は、結構です」


「そうか……謙虚だな」


「ただ――」


俺は、言った。


「一つだけ、お願いがあります」


「何だ?言ってみろ」


「帝国と王国……仲良くしてください」


「……」


「争いは、誰も幸せにしません」


「料理は、人を幸せにするものです」


「だから、争いではなく――」


「料理で、世界を幸せにしたいんです」


皇帝は、しばらく黙っていた。


そして――


「……分かった」


皇帝は、頷いた。


「お前の願い、聞き届けよう」


「本当ですか!」


「ああ。私も、争いは望まない」


「これから、王国と友好関係を築こう」


「ありがとうございます!」


皇帝は、立ち上がった。


「オズワルド、すぐに使者を王国に送れ」


「友好条約を結ぶと伝えろ」


「はい、陛下!」


こうして、俺は皇帝を救った。


そして――


帝国と王国の、新たな時代が始まろうとしていた。


ーー第57話に続く

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