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第55話:皇帝との対面

部屋に入ると――


豪華なベッドに、一人の男性が横たわっていた。


皇帝だ。


60代くらいだろうか。


顔色が悪く、息も弱々しい。


「陛下……」


オズワルドさんが、悲しそうに呼びかけた。


「こちらが、ケント殿です」


俺は、ベッドに近づいた。


「陛下、聞こえますか?」


皇帝は、わずかに目を開けた。


「……お前が……ケント……か」


か細い声。


「はい」


「オズワルドから……聞いた……」


「お前の料理で……世界を……救ったと……」


「はい……」


「頼む……」


皇帝は、必死に言葉を紡ぐ。


「この国を……救ってくれ……」


「……」


「私が死ねば……内乱が……」


「民が……苦しむ……」


「分かりました」


俺は、力強く言った。


「必ず、陛下を救います」


「……頼んだ……」


皇帝は、また目を閉じた。


部屋を出て――


「どうです、ケント殿」


オズワルドさんが聞いてきた。


「……重症ですね」


「はい」


「魔力が、完全に暴走している」


「体内で、渦を巻いています」


レオンさんが、分析した。


「このままでは、あと数日……」


「そんなに……」


「ケント、どうする?」


レイナさんが聞いてきた。


「料理を作ります」


「すぐにですか?」


「いえ」


俺は、考えた。


「まず、魔力を鎮める食材を集めないと」


「どんな食材が必要だ?」


「深海の海藻」


「高山の薬草」


「魔力の結晶」


「聖なる水」


「全て、希少なものばかりだな……」


「はい。でも、これらがないと、料理が作れません」


「分かりました」


オズワルドさんが言った。


「すぐに集めます」


「帝国の力を総動員します」


「お願いします」


2時間後。




信じられないことに――




全ての食材が揃った。




「早い……」




「これが、帝国の力です」




オズワルドさんは、誇らしげに言った。




「さすがだな……」




レオンさんも、感心している。




「では、すぐに料理を作ります」




「厨房を案内します」




皇城の厨房。




最高級の設備が揃っている。




王都の厨房以上だ。




「すごい……」




「どうぞ、お使いください」




「ありがとうございます」




俺は、集中して料理を作り始めた。




深海の海藻を、丁寧に洗う。




高山の薬草を、細かく刻む。




魔力の結晶を、砕いて粉末に。




聖なる水で、全てを煮込む。




そして――




『調理の祝福』を込める。




【調理の祝福】が発動しました。




料理に


『魔力鎮静・極大』


『生命回復・大』


『浄化・中』


『希望の光・微』




が付与されました。




「希望の光……」




新しい効果だ。




でも、今の皇帝には必要な効果かもしれない。




「完成した……」




『魔力鎮静スープ』




これを、皇帝に飲ませれば――



ーー第56話に続く

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