第53話:古都ヴェルサール
5日目。
古都ヴェルサールに到着。
「ここは、帝国で二番目に大きな都市です」
オズワルドさんが説明した。
「首都ほどではありませんが、歴史ある街です」
街は、美しかった。
古い石造りの建物。
広場の噴水。
美しい並木道。
「綺麗……」
セシリアさんが、感動している。
「この街で、1泊しましょう」
「明日、首都に向けて出発します」
「分かりました」
宿に荷物を置いて、街を散策。
「せっかくだから、街を見て回ろう」
レオンさんが提案した。
「いいですね」
みんなで、街を歩く。
広場では、大道芸人がパフォーマンスをしている。
市場では、様々な商品が売られている。
「これ、可愛い!」
リナが、小さな人形を手に取った。
「氷の妖精だって」
「似合うね、リナに」
「買っちゃおうかな」
「いいんじゃない?」
リナは、嬉しそうに人形を買った。
歩いていると――
美味しそうな匂いがした。
「あれ、何の匂いだろう?」
ユウが、鼻をひくひくさせている。
「……パンの匂いだ」
匂いの元を辿ると――
小さなパン屋があった。
「入ってみよう」
店に入ると――
「いらっしゃい!」
老齢の男性が、笑顔で迎えてくれた。
「どれも、焼きたてだよ」
ショーケースには、様々なパンが並んでいる。
「どれも美味しそう……」
「あんた、料理人かい?」
「え、分かるんですか?」
「ああ、目を見れば分かる」
「料理を愛している目だ」
「ありがとうございます」
「一つ、サービスするよ」
老人は、特製のパンを渡してくれた。
「これは?」
「俺の自信作だ」
一口食べてみる。
「……美味しい」
「だろ?」
「このパン、どうやって作ったんですか?」
「企業秘密だよ」
老人は、いたずらっぽく笑った。
「でも、一つだけ教えてやろう」
「何ですか?」
「愛情だ」
「愛情……?」
「パンに、愛情を込めて作る」
「それが、一番大事な材料だ」
「……」
「あんたも、そうだろう?」
「料理に、愛情を込めてる」
「はい」
「なら、大丈夫だ」
「あんたの料理は、必ず人を幸せにする」
老人の言葉が、心に響いた。
「ありがとうございます」
店を出て、みんなのもとに戻る。
「どうだった?」
レオンさんが聞いてきた。
「いい店主でした」
「料理への愛情を、改めて教えてもらった気がします」
「そうか」
「さあ、宿に戻ろう」
ーー第54話に続く




