第51話:森の襲撃
2日目。
朝早く出発し、森の中の道を進んでいた。
「この森を抜ければ、次の街だ」
オズワルドさんが言った。
「あとどれくらいですか?」
「2時間ほどです」
森は深く、薄暗い。
大きな木々が、空を覆っている。
「少し、不気味だね」
リナが、窓の外を見ながら言った。
ーー第52話に続く
「ああ。魔物も出るかもしれない」
レイナさんが警戒している。
その時――
馬車が、急停止した。
「どうした!?」
オズワルドさんが、御者に聞く。
「道が、塞がれています!」
外を見ると――
道に、大きな木が倒れていた。
「これは……」
「罠だ!」
レイナさんが叫んだ瞬間――
森の中から、矢が飛んできた。
「――!」
「伏せろ!」
全員、馬車の中に身を隠す。
「敵襲だ!」
森の中から、黒装束の男たちが現れた。
10人、20人――
いや、もっといる。
「暗殺者か……!」
「誰が差し向けた!?」
オズワルドさんが、苦々しく言った。
「帝国の反乱派です」
「反乱派……?」
「皇帝陛下を救われては、困る者たちがいるのです」
「そんな……」
「ケント殿、申し訳ありません」
「いえ、気にしないでください」
「さあ、どうする?」
レイナさんが、剣を抜いた。
「戦うしかない」
「分かった」
「リナ、ユウ、セシリアさんは馬車の中に」
「でも……」
「お前たちは、戦闘に慣れていない」
「ここは、俺たちに任せろ」
リナは不安そうだったが、頷いた。
「分かった……気をつけてね」
「ああ」
俺、レイナさん、レオンさんが馬車から出た。
暗殺者たちが、こちらを囲んでいる。
「30人はいるな……」
「多いな」
「だが、やるしかない」
レイナさんが、構えた。
暗殺者たちが、一斉に襲いかかってくる――
戦いが始まった。
「はあっ!」
レイナさんの剣が、暗殺者を斬る。
「《炎の剣》!」
レオンさんも、炎の魔法剣で応戦。
「すごい……」
レオンさんは料理人だと思っていたが、戦闘もできるのか。
「ケント、ぼーっとするな!」
「はい!」
俺も――
『調理の祝福』を応用する。
「《料理の刃》!」
包丁に、魔力を込めて投げる。
暗殺者に命中――
でも、致命傷には至らない。
「やっぱり、俺は戦闘向きじゃないな……」
でも――
「《癒しの霧》!」
俺は、回復魔法を発動。
レイナさんとレオンさんの傷を癒す。
「助かる、ケント!」
「俺は後方支援に徹します!」
「よし!」
戦いは、徐々にこちらが優勢になっていく。
レイナさんの剣技は、圧倒的。
レオンさんの魔法も、強力。
そして――
俺の回復魔法で、二人は疲れ知らず。
「くっ……」
暗殺者たちが、後退し始めた。
「撤退だ!」
「逃がすな!」
レイナさんが追おうとしたが――
「待て、深追いは危険だ」
レオンさんが止めた。
「……分かった」
暗殺者たちは、森の中に消えていった。
「ふう……なんとか、撃退したな」
レイナさんが、息を吐いた。
「大丈夫ですか?」
「ああ、かすり傷程度だ」
「レオンさんも?」
「私も大丈夫だ」
「よかった……」
馬車に戻ると――
「ケント!」
リナが飛びついてきた。
「大丈夫だった!?」
「ああ、無事だよ」
「よかった……」
リナの目に、涙が浮かんでいた。
「心配かけて、ごめん」
「ううん、無事でよかった」
オズワルドさんが、深く頭を下げた。
「申し訳ございません」
「危険に晒してしまって……」
「いえ、気にしないでください」
「これから先も、もっと危険になるかもしれません」
「覚悟はできています」
「……ありがとうございます」
倒れた木を片付けて、馬車を進める。
「これから、もっと警戒しないとな」
レイナさんが言った。
「ああ。次は、もっと強い敵が来るかもしれない」
「でも、俺たちなら大丈夫」
「そうだな」
馬車は、再び森の中を進んでいった。




