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第48話:仲間たちの決意

その日の夜。


閉店後、みんなを集めて話し合った。


「帝国の皇帝を、救う……?」


リナが、驚いた顔をしている。


「すごい依頼だね……」


ユウも、緊張した様子だ。


「ケント、どうするつもりだ?」


レイナさんが聞いてきた。


「正直、迷ってる」


俺は本音を言った。


「皇帝を救うのは、もちろん良いことだ」


「でも――」


「でも?」


「帝国は、強大すぎる国だ」


「もし失敗したら、国際問題になる」


「それに――」


セシリアさんが口を開いた。


「帝国内部には、複雑な政治事情があります」


「皇帝派と反皇帝派の対立が、深刻だと聞いています」


「つまり?」


「皇帝陛下が回復されては、困る勢力がいるということです」


「彼らは、あなたを妨害するでしょう」


「危険だ、ということか……」


「ええ。暗殺の危険性もあります」


重い沈黙が流れた。


「でも――」


リナが、小さく声を上げた。


「それでも、ケントは行くんでしょ?」


「え?」


「だって、苦しんでいる人がいるんだもん」


「ケントは、放っておけないと思う」


「リナ……」


「私、知ってる」


リナは微笑んだ。


「ケントは、誰かが困っていたら、必ず助ける」


「それが、ケントだから」


「……そうかもしれない」


俺は認めた。


「皇帝が誰であれ、苦しんでいる人がいるなら――」


「俺の料理で救いたい」


「よし、なら決まりだな」


レイナさんが立ち上がった。


「俺たちも一緒に行く」


「え?」


「当然だろ。お前一人じゃ、危険すぎる」


「私も行きます」


リナが手を挙げた。


「僕も! ケントさんを守りたい」


ユウも続く。


「私も同行させていただきますわ」


セシリアさんも言った。


「帝国の貴族社会には、多少心得がありますから」


「私も、まだまだ学びたいことがある」


レオンさんも微笑んだ。


「それに――」


レオンさんは真剣な目をした。


「料理人として、人の命を救う挑戦を見逃すわけにはいかない」


「みんな……」


胸が熱くなった。


「ありがとう。じゃあ、みんなで行こう」


「おお!」


翌日。


オズワルドさんに、答えを伝えた。


「帝国に行きます。皇帝陛下を救います」


オズワルドさんの顔が、ぱっと明るくなった。


「本当ですか! ありがとうございます!」


「ただし、条件があります」


「何でも。仰ってください」


「俺の仲間たちも、一緒に連れて行きます」


「もちろんです。護衛も必要でしょう」


「それと――」


俺は続けた。


「治療に必要な食材や道具、全て帝国で用意してください」


「承知しました。帝国の資源を、全て使っていただいて結構です」


「分かりました。では、いつ出発しますか?」


「準備が整い次第――」


オズワルドさんは言った。


「明日、出発しましょう」


「明日!?」


「はい。一刻を争う状況です」


「皇帝陛下の容態が、日に日に悪化しているのです」


「……分かりました」


その日は、村中が大騒ぎだった。


「ケントが、帝国に行くって!?」


「皇帝を救うんだって!」


「すごいな、ケント!」


村人たちが、次々と店に来る。


「ケント、これ持っていけ」


トムさんが、お守りを渡してくれた。


「村のみんなで作ったんだ」


「ありがとう……」


「無理するなよ」


「でも、お前なら大丈夫だ」


村長さんも来てくれた。


「ケント、お主は村の誇りじゃ」


「村長さん……」


「どんな時も、お主らしくあれ」


「技術ではなく、心で料理を作れ」


「はい、忘れません」


夜。


最後の準備をしていると――


ソラが、涙目で入ってきた。


「ケント師匠……」


「どうした、ソラ」


「僕も、一緒に行きたいです」


「ソラ……」


「でも――」


俺は首を横に振った。


「お前には、店を守ってもらいたい」


「え……?」


「俺たちがいない間、誰かが店を守らないと」


「お前なら、できるだろ?」


「……はい」


ソラは、涙を拭いた。


「分かりました。店、しっかり守ります」


「頼んだぞ」


「でも、必ず帰ってきてください」


「ああ、約束する」


俺は、ソラの頭を撫でた。


「お前は、もう立派な料理人だ」


「自信を持て」


「はい!」

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