第37話:氷山の試練
村を出発して5日。
俺たちは、北の大地に到着した。
「寒い……」
息が白くなる。
あたり一面、雪と氷に覆われている。
「ここが、北の氷山地帯か」
レイナさんが言った。
「『永久氷の果実』は、この先の氷山の頂上にあるらしい」
アルベルトさんが地図を指さした。
「だが、そこに至るまでに、氷の魔物が数多く棲息している」
「氷の魔物……」
「ああ。特に強力なのが、氷竜だ」
「氷竜!?」
ユウが驚いた。
「竜といっても、私とは違う種族だ」
ドラグが説明した。
「あれは、純粋な魔物。知性はない」
「でも、強力です」
リナが不安そうに言った。
「大丈夫」
俺は励ました。
「みんなで力を合わせれば、きっと乗り越えられる」
「うん!」
氷山の麓。
「ここから、登山開始だ」
レイナさんが先頭を歩く。
道は険しく、滑りやすい。
「気をつけて」
リナが氷魔法で、足場を固めてくれる。
「ありがとう、リナ」
「えへへ」
登り始めて1時間――
「――!」
突然、氷の壁が崩れた。
「危ない!」
レイナさんが剣で壁を斬り、道を切り開く。
「これは……罠か?」
「いや、魔物だ」
ドラグが警戒した。
すると――
氷の中から、巨大な狼のような魔物が現れた。
「氷狼だ!」
「来るぞ!」
魔物が襲いかかってくる。
レイナさんとドラグが迎え撃つ。
「はあっ!」
レイナさんの剣が、氷狼を斬る。
ドラグの炎のブレスが、氷を溶かす。
「やった!」
でも――
「まだいるぞ!」
次々と、氷狼が現れた。
「数が多い……」
「リナ、頼む!」
「分かった!」
リナが氷魔法を発動。
「《氷結領域》!」
周囲の氷狼が、一瞬で凍りついた。
「すごい、リナ!」
「えへへ、成長したでしょ」
こうして、氷狼の群れを倒した。
さらに2時間登り――
ついに、氷山の頂上が見えてきた。
「あそこだ!」
頂上には、巨大な氷の樹が立っていた。
そして、その樹に――
青く輝く果実がなっている。
「あれが、『永久氷の果実』か……」
「ああ。だが――」
アルベルトさんが指さした。
氷の樹の根元に――
巨大な竜が眠っていた。
「氷竜……!」
全長20メートルはある。
青白い鱗、鋭い爪、巨大な翼。
「あれを倒さないと、果実は手に入らない」
「どうする?」
レオンさんが聞いてきた。
「……戦うしかない」
「よし」
レイナさんが剣を構えた。
「私が囮になる。その隙に、ケントが果実を取れ」
「でも、危険すぎます!」
「大丈夫。私はBランク冒険者だ」
「俺も手伝う」
ドラグも前に出た。
「竜対竜、勝負だ」
「みんな……」
「ケント、お前は果実を取ることに集中しろ」
レオンさんが言った。
「それが、お前の役目だ」
「分かりました……」
作戦開始。
「行くぞ!」
レイナさんが氷竜に斬りかかる。
「がおおおおっ!!」
氷竜が目を覚ました。
怒りの咆哮。
「来い!」
ドラグが炎のブレスを放つ。
氷竜も、氷のブレスで応戦。
二つのブレスがぶつかり合い、爆発を起こす。
「今だ、ケント!」
「はい!」
俺は氷の樹に駆け寄った。
果実に手を伸ばす――
「取った!」
『永久氷の果実』を手に入れた。
「よし!撤退だ!」
レイナさんが叫んだ。
全員で、一斉に山を駆け下りる。
氷竜が追ってくる――
「《氷壁》!」
リナが巨大な氷の壁を作り出した。
氷竜の進行を阻む。
「やった!」
「急げ!」
なんとか、氷山から脱出した。
麓のキャンプ。
「ふう……なんとか逃げ切ったな」
レイナさんが息を切らしている。
「みんな、無事でよかった」
「これで、一つ目の食材をゲットだ」
俺は『永久氷の果実』を見た。
青く輝く、美しい果実。
触ると、ひんやりと冷たい。
「この果実、どんな味がするんだろう」
「試してみるか?」
レオンさんが言った。
「でも……」
「少しだけなら、大丈夫だろう」
俺は、果実を小さく切って、一口食べてみた。
「――!」
「どうだ?」
「甘い……そして、爽やか」
「口の中が、氷のように冷たくなる」
「これは……素晴らしい食材だ」
「よかった」
「さあ、次は東の砂漠だ」
アルベルトさんが地図を広げた。
「『太陽の香辛料』を手に入れる」
「了解です」
ーー第38話に続く




