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第34話:究極の対決

翌日。

村の広場は、かつてないほどの人で埋め尽くされていた。

村人だけでなく、近隣の町からも見物人が集まっている。

「すごい人だな……」

「当然だろ。美食結社の首領との対決だぞ」

緊張が高まる中――

ゴールドが現れた。

「準備はいいか、ケント」

「はい」

「では、始めよう」

運営委員が登場し、ルールを説明する。

「テーマは『自由』」

「制限時間は3時間」

「審査員は、観客全員」

「では――開始!」


俺は、食材を集めた。

「作るのは――」

色々な料理を組み合わせた、オリジナルのコース料理。

前菜は、カルパッチョ。

スープは、ミネストローネ。

メインは、ハンバーグ。

デザートは、フレンチトースト。

「今まで作ってきた、全ての料理を一つに」

それぞれの料理に、想いを込める。

リナとの出会い。

ユウとの出会い。

村人たちとの日々。

レオンさんとの友情。

全ての記憶を、料理に込めていく。

一方――

ゴールドは、何か巨大なものを作っていた。

「あれは……」

見たこともない料理。

七層のケーキのような構造。

各層に、異なる料理が盛り付けられている。

「すごい……」

技術も、発想も、全てが次元が違う。

「やばいな……」

でも――俺には俺のやり方がある。

心を込めて、丁寧に、一つ一つ作っていく。


3時間後。

両者の料理が完成した。

まずは、ゴールドの料理。

「『世界樹の饗宴』だ」

七層構造の、巨大な料理。

各層には、世界中の料理が盛り付けられている。

「これは……芸術を超えている……」

「神の領域だ……」

観客たちは、言葉を失った。

そして――試食。

一口食べた瞬間――

全員が、異世界にトリップしたかのような表情になった。

「すごい……」

「これが……究極の料理……」

「完璧だ……完璧すぎる……」

圧倒的だった。

「負けた……のか……?」

その時――

「待て」

レオンさんが声を上げた。

「この料理は、確かに完璧だ」

「だが――」

レオンさんは真剣な目で言った。

「心がない」

「……」

「技術の集大成。世界の料理の集合体」

「でも、作り手の想いが感じられない」

ゴールドは、静かに笑った。

「その通りだ」

「私の料理に、心はない」

「私が追求するのは、完璧な技術だけだ」

ゴールドは続けた。

「心など、料理に不要だ」

「そんな……」

俺は反論した。

「料理は、心が一番大事です」

「違う」

ゴールドは断言した。

「料理は、技術だ。科学だ」

「心などという曖昧なものは、必要ない」

「……」

「さあ、次は君の番だ」

「君の『心のこもった料理』とやらを見せてもらおう」

俺は、自分の料理を提示した。

「これが、俺の料理です」

シンプルなコース料理。

ゴールドの『世界樹の饗宴』と比べれば、見劣りする。

でも――

「どうぞ」

観客たちが、試食を始めた。

一口。

そして――

「――!!!」

全員が、涙を流し始めた。

「温かい……」

「心が……満たされる……」

「これは……愛だ……」

「幸せ……こんなに幸せな気持ち、初めて……」

次々と、感動の声が上がる。

「ケントの料理……」

「技術じゃない……心だ……」

「こんな料理……初めてだ……」

ゴールドも、一口食べた。

「……」

沈黙。

そして――

「なるほど」

ゴールドは、わずかに表情を変えた。

「これが、心か」

「……」

「確かに、私の料理にはないものだ」

ゴールドは認めた。

「だが――」

「技術には、心は必要ない」

「私の料理の方が、客観的に優れている」

そう言い切った。


投票の時間。

「それでは、ゴールドの料理が良かった人、手を挙げてください」

多くの手が上がった。

「次に、ケントの料理が良かった人」

さらに多くの手が――いや、圧倒的多数が上がった。

「勝者――ケント!」

「――!」

会場が、大歓声に包まれた。

「やった……!」

「ケント!!」

リナとユウが駆け寄ってくる。

「勝ったぞ、ケント!」

トムさんも喜んでいる。

ゴールドは――

「……負けた」

初めて、悔しそうな表情を見せた。

「私が……負けた……」

「ゴールドさん」

俺は彼に近づいた。

「あなたの料理、本当に素晴らしかったです」

「……」

「でも――料理は、技術だけじゃない」

「心を込めて作る。それが、本当の料理です」

ゴールドは、しばらく黙っていた。

そして――

「分かった」

彼は俺に手を差し出した。

「お前の勝ちだ」

「約束通り、美食結社はもうお前を狙わない」

「ありがとうございます」

「いや――」

ゴールドは微笑んだ。

「礼を言うのは、私の方だ」

「私は、料理の本質を忘れていた」

「お前が、それを思い出させてくれた」

「……」

「ケント、いつか――」

ゴールドは去り際に言った。

「もう一度、お前の料理が食べたい」

「その時は、私も『心』を込めて作ろう」

そう言い残して、ゴールドは去っていった。

こうして、美食結社との戦いは終わった。


ーー第35話に続く

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