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愛をこの手に、弔い花を捧げましょう~死に戻り王女の幸せな復讐劇~  作者: 玉響なつめ
第七章

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幸せを掴むには、まだまだ遠い

 新兵を自身の護衛兵とするための根回しはマーサを通じて老公爵に任せた。

 おそらくニュクスの意を汲むだけでなく、その先まで読んで動いてくれることだろう。


 マーサにはついでにカルミア公爵領にいるという彼女の恋人との逢瀬を楽しんでもらいたいという意味でも、手紙を届けるついでに(・・・・)長めの休みを与えてある。


 今回の人生でのニュクスは、彼女を大切にしてくれた人に関しては親切で返したいと心から思っているのだ。

 今回の辺境地での話し合いについてきてもらっても大したドレスアップをするわけでもないし、父親が連れて来た使用人たちに手伝ってもらえば着られる簡素な旅装が中心だ。


(どうせ大げさに人数を連れていくだろうから、手が余っている人に手伝ってもらえばいいだけのことよ)


 幸いダンテの下についている使用人たちは以前の人生でも表立って敵対もなかったが味方でもなかった。

 今回の人生ではニュクスの努力が実ってか、好意的ですらあるからきっと快く手伝ってくれるに違いない。


 何より今回の辺境地での話し合いには『ニュクスが勉強のために〝無理を言って〟ついていく』ということになっているのだ。

 初めは勉強のためについていく、だけだったものがいつの間にかなかなかどうして、我が儘娘のような言葉がついたものだとニュクスは笑ったものである。


 どうやら女王(ベアトリス)に説明するにあたり、不満げだった女王のご機嫌をとるために『ニュクスが無理を言ってね、参っちゃうよね』というような形で納得させたらしい。

 ダンテを困らせる悪い娘ね! と女王はご機嫌になったそうだが……それを聞いてもニュクスは半眼で乾いた笑いを浮かべるしか出来なかった。


(まったく、勉強のためについていくのを我が儘にしなきゃいけない上に、それを失点として喜ぶ女王も一人で公務をこなせない王配もどうなのよ?)


 勿論ダンテの件に関しては、プレティシャス王国側からの要請が混じっているのだから彼だけに非があるとは言わない。

 言わない、が、それはそれで上手に躱せない外交下手だと言うことが露呈しただけだ。


(お祖母様はお父様のどこを評価したのかしらね……)


 女王の尻拭いのために頭を下げて回るだけの才覚だと言われたら、それが父親だということ自体が悲しくて恥ずかしい。

 祖母たる先代女王は他に才ある補佐官たちを育てるつもりだったのだろうが、先代女王がいなくなったらどうしようもないなんて計画の致命的欠陥過ぎるではないか。


 せめて先代女王がいなくなっても、その計画を進める……もしくは早い段階から有能なものをつけ、その後も補佐をする者たちを育ててもらえばよかったものを。

 そうニュクスは思わざるを得ないが、それはそれできっと揉めただろうなあ、とは思うのだ。


 何せ女王は苦労をするのは嫌いだし、難しい仕事は大嫌いだ。

 だからこそ王配のダンテにほぼ投げているし、文官たちにもよく仕事を投げているわけだが……それと同時に劣等感の塊でもある。


 賢君と言われた先代女王と比べられることを特に嫌がるため、先代女王が目をかけた優秀な人材を悉く退け、自分の補佐たちが成長してきて芽が出ると嫉妬して遠ざける。


「……衰退して当然だわ」


 ニュクスの苦い声が部屋の中に溶けて消えた。

 これに気付くまでの人生が長すぎたことで自分の愚かさを痛感するというのもなかなか辛いものがある。


 幾重にも愚かな辛さが積み重なってため息が止まらないが、そうも言っていられない。


 早く次の王朝に引き継ぐためにも、最低限片付ける――その量が膨大すぎて、どこから手をつけても時間が足りないなあ、とニュクスは嘆くのであった。


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― 新着の感想 ―
>衰退して当然 全くですな!(笑)
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