表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛をこの手に、弔い花を捧げましょう~死に戻り王女の幸せな復讐劇~  作者: 玉響なつめ
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/50

難しい問題である

 マーサに頼んで状況を確認してもらったが、本当に大国の――この国の成り立ちで言えば、ロレアヌスの一派の出身国である大国、プレティシャスの第二王子に声をかけたというではないか。


(前回の人生でプレティシャスの第二王子と言えば……腹黒で宰相になって王家を裏から操っていた、っていう人物じゃない)


 そんな男がこの国にわざわざ足を運ぶ理由とはなんだ、とニュクスは扇子の柄を握りしめる。

 どう考えたって『噂の可愛いアンネローゼ姫』を目的としているとは思えないし、ニュクスを廃して傀儡姫(アンネローゼ)を妻とし国の乗っ取りと考えるのが一番手っ取り早い気がする。


(そういう意味では女王の願ったとおりになるわけだし)


 プレティシャス王家の属国になるということでもあるが。

 それをあの女王(ははおや)が理解しているかどうかはわからないが、少なくとも王配(ちちおや)の方は理解しているらしく最近はあちこちに走り回っているようだ。


 そんな今更焦るくらいならば、書状を出す前に気付いて止めて欲しかったとニュクスは思う。


(ただの現状視察であるなら、問題は私とシグムンドよね。カルミア公爵家が後ろ盾だから今から何かを仕掛けてくるとは思わないけれど……)


 将来的に危うい王家の人間を排除するのに協力するから属国にならないか、なんて持ちかけられる可能性だってゼロとは言えまい。

 愚かな傀儡を据えて国を衰退させては、属国にしたところでプレティシャス王国にはなんにも旨みがないからだ。


 前回の人生での噂が本当であるならば、あちらの第二王子はやり手(・・・)の人物だ。

 こんな小国の王となるより、母国を裏から牛耳る方がよっぽどやり甲斐もあるに違いない。

 少なくともニュクスの目にはそう見える。


「ニュクス姫? どうしたんだ……?」


「あ、ええ……シグムンド。そうね、シグムンドもエリオット様ももう耳にしているかもしれないけれど、妹のアンネローゼが見合いをするの」


「そうらしいね。いいことじゃないのか?」


 シグムンドのきょとりとした表情に、ふふっと笑みが浮かんだ。

 馬鹿にしているわけではない。

 彼がいくら作法や知識を詰め込んだとはいえ、まだ半年程度のこと。


 状況を学んだからと言って即答えを導き出せるようになるのであれば、誰だって苦労しないのだ。

 そういう意味ではむしろ真っ直ぐでニュクスからして見たらとても、とても素晴らしいことだと思う。


「いいことだとは思うけれど、何かしらの意図がそこにあるようにしか思えなくて。……正直、表に出せるほど礼儀作法の勉強も進んでいるかどうかすら怪しいわ」


 ニュクスの耳にも大々的に見合いの話は聞こえてきていた。

 というよりはあえて聞かせてくれているのだろう。


 そこに女王と妹の『お前よりもより素晴らしい婿を得てやる』という意図が透けて見えて滑稽でしかないのだが、それよりもこの国にとって害悪となってくれては困るという気持ちの方が強い。


(そうよね、さすがに八才の女の子を挑発して無礼を引き出して難癖つけようとは思わないわよね……?)


 ニュクスはそんなことを考えてしまう自分が悲しい。

 しかしながら社交の人生三回分の社交の経験が、ありとあらゆる失策を人々が練っている事実を突きつけてくるのだ。


(私もシグムンドみたいに素直に喜んであげられたら良かったのかしら?)


 そう思ったが、すぐにそれを否定する。

 なんならこれまでの人生では寄り添う姉として何でもかんでも喜んであげたはずだが結果として良くなかったのだから、素直なことが良いこととはならないのだろう。


「シグムンドはそのままでいてちょうだいね。それが私の救いになるわ」


「? はい」


 ニュクスのその言葉に素直に頷くシグムンドと、その後ろで苦笑するエリオットの姿は微笑ましくもあり、また、滑稽でもあった。


「それはそうとして、今回の件はカルミア公爵家はどう見ているの? 最悪……何か手を打つ必要はあると思います?」


「さて、慶事に繋がればそれでいいと思ってはおりますが……他派閥の方々は少しばかり警戒しているようですね」


「それはそう……ね」


 ロレアヌス王朝はかつてのプレティシャス王国の人間だった、その末裔だ。

 追放された者たちの末裔である以上、袂を分かった存在ではあるが、それでも他の国に比べれば親近感がある……と言えなくもないかもしれない。


 あくまで人の感情として、でしかないが。

 ちなみにニュクスからして見ればどうでもいい。

 大半はそのはずであるが、そうでない人もいるので世の中は複雑なのである。


「それにしたって、よりにもよってあの第二王子だなんて……本当に女王陛下は人を見る目があること!」


 少なくとも、有能であることは間違いないのだ。

 それが国にとって有益かどうかは別として。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ