大天使
「そうはさせぬ!」
急いでプライドがエフィドを無力化する為に雷を降らすがそれを前にしてエフィドは上を見上げるだけで微動だにしない。
(何だ?気が狂ったのか??)
(雷の速度が遅く見えるや……これなら《《掴める》》!!)
そしてエフィドに直撃する寸前、エフィドが手に魔力の膜を作り爆発的に動く。実体のないはずの雷を何と鷲掴みし地面に叩きつけた。
ズトォーーン
「は???」
本日2度目の「は???」を言った時にはエフィドが懐を侵略している。
「なっ、速い!」
急いで奴がバックステップを踏むがエフィドが猛追、距離を取らせない。そして追跡しながら〈大天使の裁剣〉が進化した〈天恵の宝剣〉を15本を奴に飛ばす。
「むおっ!」
(魔法の構築速度も上がっている、土壇場で成長したか!)
(早くこいつを無力化してフーラとアルテさんを治療する、アルテさんはまだ少し猶予があるがフーラはヤバい。後遺症を残らずにすむのは後一分くらいか……)
〈天啓〉でフーラの怪我の具合を正確に捉えエフィドは早期決着へと舵を切る。
(奴の目に焦りがある、おそらくはフーラだろう。なら少しの間は猛攻が続く、どう耐え忍ぶ……)
プライドが思考しながら全ての剣を豪雷槍で相殺すると案の定、エフィドが横薙ぎ。
(見えておる、これを外しカウンターを取る)
がなんと剣が20cmほど伸び、逆に紙一重の見切りが裏目に出る。それがアルテの斬り裂いた治療途中の腹をもう一度抉る。
「ぐおぉぉーー!!」
しかも足に鈍い痛み、プライドが下を見ると
(これは……小さい剣?)
何とエフィドは剣を小さくし撒菱のように使い、プライドの気をそらした。それにより更にプライドに隙ができる。そしてエフィドが上段に振りかざすが
(もうさっきの攻撃は通じん、距離は見切った)
プライドは『三武聖』と呼ばれる怪物、もう同じ攻撃は通じない。だが
(貴方は必ず対処する、だから仕掛けさせてもらった)
目に強敵への信頼を浮かべ断罪の刃を振る。
(何だこの目は……何かまずい!!)
気付いた時にはもう時既に遅し、何と剣が伸長し2mの長尺になる。
(なっ!!まさか後ろに避けると読んで……)
先程伸ばした距離を優に超える長尺になり、後方へ下がっている奴には躱せる道理はなかった。
「ぐかぁぁぁーー!!!」
(敵ながら……見事だ……)
それは豪快にプライドを斬り裂いた。そしてプライドは力無く崩れ落ち、自らが作った血溜まりに沈み意識を失った。
「はあはあ、ギリギリだった……」
魔力も殆ど底をつき満身創痍になりながらも、エフィドは『三武聖』を正面から下してみせた。
「早く……フーラを……」
霞む視界、鉄球を引き摺るように重い足、全身が軋み今すぐにでもバラバラになりそうな身体でもフーラに近づく。
「これでもう大丈夫……」
ボヤける思考でフーラの腹に開いた風穴を塞いでいく。すると
「大きな音がして来てみれば、酷い怪我だな」
何とクルトくんが来たんだ。
「成る程……後は任せてゆっくり休め」
彼は一瞬で状況を把握して僕に休むように言ってくれた。
「ありがと…う」
気を失う直前、アルテさんに駆け寄るクルトくんを見てたら、安心して疲労感がどっと来て僕はすぐ眠りについてしまった。
――
(エフィドの固有が〈権天使〉に進化したか。だがまさかベリーハードコアのプライドを正面から倒すとはな……俺の勇者支援計画は順調すぎると言っても過言ではない成果を見せてくれた。後は俺に任せろ)
そして俺はアルテとエフィドの傷を完璧に治し、全員を風属性魔法で浮かして病院に向かった。




