雷帝
ゴロゴロ ドシャーン!!
凄まじい雷撃が絶え間ない協奏曲のように降り注ぐ。それは神話の時代にあった、『世界の終わり』に出てくる『熾天使』の一角『殲雷 バルライト』に引け劣らないであろう規模だ。それをフーラは空気を操作してずらし、エフィドは超人的な脚力を活かして何とか逃げ惑っている。
「どうした、そのままでは一生儂には勝てんぞ」
「くっ……」
(奴の言う通りこのままじゃジリ貧だ、どうすれば)
「ねえ、エフィド今更だけど逃げてもいいのよ」
「そんな事するわけない!! 」
「いい友情だ、いい友を持ったなフーラ」
そう言いつつも全く攻撃の手を緩めない、光輝く豪雷槍が20本が豪速で発射される。
(これなら……いける!!)
過去に戦ってきた強敵は皆遠距離攻撃を使ってきた、それは戦闘の申し子であるエフィドに遠距離攻撃への適応をほぼ完璧にしたと言ってもいいくらいに。
「〈大天使の裁剣〉」
エフィドが巨大な光輝く剣を作り出す。
(まだ待て……今だ!!)
そして全力でフルスイング、何とそれは豪雷槍を10本程弾き飛ばし他の槍も風圧などで見当違いの方向に飛んでいく。
(あのスキンヘッドの男の重い武器の振り方がここで役立つなんて)
「は????」
それはプライドの意表を大いに突いた。奴は意味のわからないといった表情を浮かべ数秒固まった、それはこの死闘において十分過ぎる隙。
「穿風槍」
暴風渦巻く風槍がゴウ!と爆音を立てながらプライドに猛接近
「ぬおっ!!」
(マズイ!!)
急いで奴が体に電気を流し思考速度・移動速度を上げるが
ゴボォ!!
「ぐうぅおおーー!!」
避けきれず脇腹が消し飛ぶ、その隙にもうエフィドがあの大剣を更に大きくしてから面を向けて振り下ろしている。
「むぅ!」
(これでは押し潰される、だがそれより速くここは抜け出せる!)
時間にして0.01秒、もう範囲外に出かかった時
チリン
鈴の音が鳴った、その直後世界が凍り付いたような錯覚と共に奴の身体が金縛りにあったように急激に停止する。
(何だ!?これはまさか若き剣豪アルテ・アルカードの固有!?)
奴の予測を裏付けるように目の前にアルテが現れる。
(抵抗して……これは間に合わんな)
解除するよりも速くアルテの横薙ぎが奴の胴体に迫る。
(だがいくら剣豪と言えど、所詮は15の小娘よ。 儂の〈障壁〉は切れぬ!!)
そう判断し即座に〈障壁〉を構築したが、何とそれが豆腐のように切断される。
(なっ!!いくら何でも抵抗が無さすぎる!?)
しかも上からはエフィドの大剣が
(これは……無理か)
そしてプライドの腹を切り裂き血が溢れる、そしてその数瞬後辺りを押し潰す強烈な大剣が地面に激突する。
ズドガーーン
地面が炸裂し辺り一面に砂煙が立ち込める。
立ち上がってくる気配がないのが分かると、張り詰めていた空気が少し弛緩する。そして勝利を確信したエフィド達がフラグを立て始めた。
「アルテさんありがとう、最高のタイミングだったよ!!」
「エフィドもあの大剣は目を見張る物があったぞ」
そしてフーラが2人に向き直りお礼を告げる。
「2人とも本当にありがとう、私だけではお父様を倒すのは不可能だったわ」
「いいよそんな事は、フーラとは友達だもん!」
「問題ない、悪事を裁くのは騎士団の仕事だ」
彼らが一件落着といった雰囲気で話しているが、次の瞬間黄金色のバチバチと弾ける魔力があたりに吹き荒れる。
「なっ!!」
「まだまだ青い!敵の生死を確認をせず勝利の余韻に浸るとはなぁ!」
――死の危機に直面した時、奴は迅速に無傷での生存を諦めた。
(最早無傷での突破は叶わん、なら女の剣撃は魔力を集め腹筋を固め防ぐ。儂の体には電気も流れておる、それにより減速もするであろうから臓器には届かん。ならあの大剣を最優先事項として対処する)
奴は大剣に電荷を集めて最大出力で大剣に雷を当てる。それにより大剣を抉り更に電気と魔力で爆発的に向上した膂力を持って抉った箇所をぶち抜く。それにより腹部に深い裂傷と右肩までの開放骨折を負うも奴は絶体絶命の状態から見事生還してみせたのだ。
ーーー
そして奴はシンプルに脚力でまずフーラに接近
ズン!!
豪速の蹴撃でフーラの土手っ腹をぶち抜く。最早蹴りと言うより砲撃と言う方が近く、フーラの腹を貫通し更に部屋の壁にまで吹き飛ばした。
「フーラ!!」
(あの傷は不味い、直ぐに直さないと命に関わる!!)
エフィドがフーラに気を取られた、その一瞬の隙にプライドが左手のストレートを放つ。
「エフィド!!」
アルテはエフィド庇う為、剣を縦にして止めようとする、が……
ズバァーーン
「かはっ……」
(剣で受けたのにそれを貫通した……)
アルテの胸に拳が突き刺さり至近距離で爆破を喰らったかのように吹き飛ぶ。
だがそれにより気を取り戻したエフィドが、その後隙を狙い剣を振り下ろすが
「遥かに遅い」
もう既に回し蹴りがエフィドの肋骨に突き刺さった。
ゴッ、バキバキ
「ごはっ!」
(肋骨の6番7番が逝った……)
エフィドが綿のように吹き飛び壁に激突する。そしてゆるりとプライドが近づいてくる。
「儂にここまで深手を負わすとは大したものだ。貴様おそらく勇者の固有だろう、フーラの代わりに貴様の固有を使ってやろう……ふふふ、ふはは、ふははは 勇者の固有を生贄に作りだした固有魔法があれば最早私は神になれる!!!」
プライドが手を伸ばそうとしたその時、プライドが異変を捉える。
(何だ?奴の周りから白いオーラが出ている……まさか、覚醒か!?)




