グラト視点 アジト潰し
グラトの自室にて彼は柔らかいソファーに腰を深く掛けながら思案を続けている。
「エフィドにはそんな経験値《餌》を与えずに倒せたね、何てたって火槍のみで倒したからね」
これで序列決闘《第2章開始イベント》は問題ないだろう。
「とすると問題はボクの死亡フラグだね、でもこれは準決勝に参加できなかったから問題はないはず」
原作通りだとクルトに負けてプライドがズタボロのところに重ねてエフィドに負け、それにより奴はエフィドとクルトに憎しみを抱き始める。グラト家はグラトの母であるアリアを病から治す為に貴族派に所属していたのだが、その内の1人から物凄く強くなれる薬を貰いグラトはそれを飲み暴走。最後はエフィドが悲しい顔を浮かべながら心臓を貫かれて絶命するエンド。
(でもボクは転生して数日で母の病は治したし負けてないから問題ない。それにしても貴族派ね〜、やってる事はただのテロリストだけど)
彼らはもっと他の大国と関わるべきと主張しているのだが、実態は自分の利権の為王国を売っているのだ。
(実際貴族派は帝国と結託して銃などの帝国最新の武器を仕入れクーデターを起こして王国を潰し、帝国に組入り自分達はそこで公爵や侯爵などのくらいの高い地位を貰おうとする下種達ばかり)
でも相手悪すぎだよ、王族派には国の番犬ダグラス家にボク達ブラッテリー家がいて4公爵家でも影響力1と2位が王族派。勝てる通りなんて無いけどね。
(多分クルト辺りが動いてある程度の証拠は押さえられてるだろうし、間違いなく彼らはこの第2章で破滅する。その辺はボクはこの世界で生き残る事を目標にしてるから関係ない。ボクに関連する問題はそこではない)
クルトは優秀、『アストラル・ゲート』の公式設定集でもクルトはグラトに次いで2位のステータスを誇り差と言っても1、2くらいしかない。つまり何が言いたいかと言うと下手したらクルトに第2章を取られる可能性がある。
(実際プレイヤーはエフィドになって操作しているが、証拠を見つけるのが遅れるとエフィドですら第2章から弾かれる)
要は善は急げ、主人公弱体化計画の一環にもなるし態々シナリオを守ってやる必要もない。早速彼らに関連する組織でも潰しに行こう。
(ならこの前は魔王教団に攻め込まれて負担を掛けたルビーを労いも兼ねて連れて行こう)
『お~いルビー、今から少し外出しない?』
ボクが一般魔法〈念話〉でルビーと繋ぐと
『うえっ!!グラト様!?』
ドシーン
『だ、大丈夫?』
『大丈夫です!椅子から転げ落ちただけですので』
『そ、そう?痛かったら言ってね……』
『はい!!お気遣いありがとうございます』
〈念話〉越しにでも伝わる喜びの感情に気圧されつつも本題を話す。
『大きめの犯罪組織を潰していきたいのだけど心当たりある?ルビーは王国担当でしょ』
『それでしたら部下達が見つけてくれた支部があります、そこを潰したら繋がるかもしれません。どうしましょう?』
『じゃあ頼むよ、じゃあ直ぐにそっちに向かうね』
『分かりました!!』
ルビーの居場所は逆探知で分かってる、ボクは転移魔法陣を構築し転移する。
「じゃあ行こうか」
(まだ早く展開出来たな、もう少しで0.1秒切りを達成できるぞ!!)
「は、はい!」
(やっぱりグラト様は凄い!!前兆も全く無かった!!こんな事、魔王教団の第一傑や五宝トップのマリン様でも出来ないのに!!)
裏路地をしばし歩いていくとルビーが止まった。
「ここは麻薬組織〈ネクロス〉の東部支部で、王国内では2番目に大きいです」
「案内ありがとう」
(マジで!いきなり大ボスに関係する犯罪組織に到達できたぞ、〈虚無〉作ってよかった〜。いきなり第2章終わらせるんじゃないか?)
そしてドアを軽く蹴って中に入る。中は蹴破られ真っ二つになったドアが何人かを巻き込んで壁に減り込んでいて辺りには埃が舞っている。
「誰だテメェは!!ぶち殺すぞ!!」
「〈ネクロス〉を舐めとんのか!!」
「死ね!!!」
一斉に銃弾が雨のように降り注ぐが
「なっ!!当たってるのに死なねえ!!」
「どうなってやがる!!」
(ふっふっふ、ボクは生き残る為に防御を優先して鍛えてきた。そのおかげでボクは24時間フルオートで薄い膜状の〈暴食〉を展開して全ての攻撃を食べる事が出来るようになった!勿論有害と無害の識別もできる、いや〜これを成功するのに転生したのが12だから2年を用した。でも鍛えておいてよかったね)
「どうした、もう終いか?」
「舐めんじゃねえ!!」
全員銃から剣などに持ち替えてボクに切りかかったが、ボクに当たった瞬間剣が無くなった。
「「「は???」」」
「済まない盗ってしまった、返そう」
そして
「ガハッ!!」
「ゴベッ!!」
何と剣が奴らを斬り3人を血の海に沈めた。
「ど、どういう事だ、あいつ丸腰だよな……」
全員訳が分からない光景に足を止める。
(〈暴食〉で食べた物は全て〈胃空間〉に送られるのだけど、ボクはエネルギー等を保ったまま保管できるように努力した。それに加えて放出出来る空間も自由自在に出来るようになった、原理は〈胃空間〉をこことリンクさせてそこから放出する感じ)
「ではコチラからも行かせてもらおう」
ボクは黒い穴を2個ほど作り出しそれを奴らに向かわせると道中の物全てを飲み込んでいった。
「グギャーー!!」
「ひっ!!来るな来るなーー!!」
「アギャーー、俺の腕が!腕がぁーー!!」
(うんうん、暗黒口もいい感じだね)
「ねえねえルビー、第1コロニーどんな感じ」
「うぎゃーー!助けてくれーー!!」
「そうですね、研究施設や武器、大魔結晶などはかなり破壊されてしまいましたが死者は出ませんでした。ありがとうございます、皆んなを治療してくれて」
「こ、降参する。だ、だから、うぁぁーーー!!来るなぁーーー!!」
「いいよ、皆んなボクの仲間だし」
「……はい!!」
(やっぱりこの方は優しい!!)
(おっ!静かになった、全員殺れたみたいだ)
そして2人で手分けして探すも顧客リストや輸入経路などは見つかるが一番重要な本部の場所については見つからず。
「無かったな」
「そうですね、では次の場所へ」
ーーー
「ぎゃあーーーー!!来るなーー!!」
「と、投降するだから助けてくれ!!」
「……」
シーン
ガサゴソガサゴソ
「やっぱり無いな」
(大きめな組織を潰したんだけどなこの組織も本部の場所は持っていない、明らかに不自然だな……)
「申し訳ございません」
「別にいいよ、でも2つも大きめな組織を潰したのに見つからないのか」
(うーん、もしかして規制が入ってるのか?第2章そのものが無くなるようなショートカットは出来なくなってるのかも……)
「ルビー、今日の所は帰ろうか」
「分かりました」
(この世界の事をまた一つ知れた!これはゲーマーとして物凄く嬉しい。『アストラル・ゲート』の世界で生きてるって感じがする
。じゃあエフィドに監査役でもつけようか)




