序列決闘
エフィドが落雷のような踏み込みで突進する
(クソったれ!踏み込みの速さも別次元になってやがる、だが問題ないよ)
(踏み込みの速度、技が上がっている、あれ以降も鍛錬は怠っていないようだ)
グラトが迎撃の属性下位魔法〈火槍〉を50本を展開する。
「なっ!! 」
(幾ら下位魔法とはいえこの速度で展開するなんて、学園長よりも…でもこれくらいなら!! )
(小手調べで学園長よりも少し多いくらいか、やはり化け物だな)
だが彼も即座に反応、〈大天使の裁剣〉で全て斬り払った。
(クソ、この程度ではもう対処出来るようになったのか。入られたが、近接する気はないよ。エフィドの土俵では何が起きるかわからない)
彼が軽く地面を蹴ると地面が砕け散り散弾銃のようにエフィドを襲う、だがエフィドは意に介さずそのまま突っ切る。だがグラトは反動で後ろに跳んでいて魔法を放てる隙間が出来たため、瞬き《まばた》の間に〈火槍〉《フレアランス》が200本展開される。
「えっ!! 」
(これ学園長でも無理なんじゃ)
(おお!でも展開数にまだまだ余裕がありそうだな、そうしないのは経験値を与えたくないからか……それにしても魔法発動時に一切の魔力漏れがない。こうなると読みにくくなるな、俺も出来るし想定内ではあるが)
流石にあの数量を捌く事は出来ず何本かがエフィドを掠め炎上する。それを見たグラトが声をかける。
「実力差は見せた、もう降りろ」
(これ以上追い詰めても覚醒とかされても面倒だし、ここらが潮時だろう)
(合理的だ……逆の立場なら俺もそうするな)
でもエフィドは
「気を遣ってくれてありがとう、でも僕は大丈夫まだまだやれるよ!! 」
持ち前の超主人公解釈を発揮、まさかの降りない。
(気なんか使ってない! なんなら今ここで爆発四散してくれても構わないのだが!!)
(大変だなぁ〜)
そしてまたも突っ込んでくる。
「ハッ! 芸のない奴だ」
だがエフィドは今度はジグザグで走っている
(先の一幕で直線ではボクの魔法の餌食になるのを学習したか)
(エフィドの脚力もまた人並外れている。これを単純に放っただけの魔法では捉えるのはほぼ不可能だろう。だが奴も天才だ、これは対処するだろう。具体的には先読みか面での制圧か)
「問題はないなぁ! 」
グラトは200本の火槍を壁のように並べてエフィドに向かって飛ばす。
「それを待ってたよ!! 」
(やはり点と面では面での方が細かい所の制圧力はどうしても落ちる。そこを突きたいのだろうが、それは彼も織り込み済みだろうよ)
エフィドがそれを斬り裂いたが、何とその後ろにまた燃え盛る火の槍壁が迫っていた。
「あっ……」
(まさかもう一枚展開できるなんて、これは……躱わせないし〈妨害〉も間に合わないな)
(これはチェックメイトだな)
そしてそれが激突しエフィドの意識は闇に落ちた。
ーーー
「大丈夫か! 意識がない、念の為保健室だ」
先生がエフィドを担いで去っていく。
「嘘だろ、エフィドを火槍だけで……」
「まさに圧倒ね、これは序列1位も納得だわ……」
彼が引いている観客を一瞥した後
「無為な時間を過ごした……」
そう言い残して闘技場を去った。
(彼思った以上に悪役貴族頑張ってるんだな……それにしてもこれを始末しろとはかなり難題だね、本当に一つのミスが死に直結するな。まあ俺としても彼の実力の一端を見れたのは大きい、対策に有効活用しよう)
ーーー
保健室にて
パチパチ
「あれ僕は何でこんなとこに……ああ、僕はグラトくんに負けたのか……」
(悔しいな……でも僕はまだ強くなれる!! いつか必ずグラトくんに追いついてみせるから!!)
流石主人公、持ち前の明るさを活かし即座に回復する。
「それにしても驚いたなぁ〜、まさか2連発できるなんて」
(まるで僕の思考を見透かしたかのように追い詰められた、まるで《《チェス》》みたいに美しい戦術だった…また戦えるかな? )
「僕も更に強くなるぞぉ〜〜!! 」
すると勢いよくカーテンがシャッと開く。
「人居ないからまだ良いけど、ここ保健室だから静かに」
「……はい、すみませんでした」




