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転生悪役令嬢はお茶漬けが食べたい【長編版】  作者: 藍銅 紅@『お姉様はずるい』コミカライズ連載中


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第54話 トリクシー・フォン・カイエン男爵令嬢です!

カッコ仮とはいえ、婚約者。

つまり、わたしはナイジェル様と親密にお付き合いしても良いという家族からの許可をいただいたことになるので……。


「では! ナイジェル様! わたしと共に行きましょう! 更なる東の地へ! まだ見ぬ食材、そして、米を求めて!」


婚約者(仮)なんだから、一緒に旅行したっていいよね!

いや、カイエン男爵領までも一緒に来たけどさ!

それは建前上は、私がカイエン男爵領のアンズーを欲しいから、その案内役とペガサスという特殊な移動手段のために、ナイジェル様に同行してもらったという体裁を整えたわけですよ、一応ね!


ほら、わたし、阿呆殿下との婚約を破棄したばかりだったからね!

さっさと次にお相手を見繕うには時期的には少し早すぎるって貴族のめんどくさい常識があったりなかったり。いや、あるんだけどね。


もう阿呆殿下なんてどーでもいいじゃん。あっち有責で婚約無くしたし。

ナイジェル様とは婚約に向けて動いているんだから、建前なしに一緒に旅行してもいいじゃん。


そんな感じー。


どっかから文句が出るのなら。ラインシュ侯爵家の独立、早めてもいいんですよ? なーんてね。


武力行使は……多分簡単にできる。

ナイジェル様のムキムキペガサス部隊だけで、王城占拠して、国王陛下とか拘束とかできそうだし。


ただねえ。

占領してはい終り! じゃないのよ。一国を興すのって大変なの!


ブラウンシュヴァイク=リューネブルク王国の北側から東側、ごっそりと新制ラインシュ王国(仮)にするつもりで、それぞれの領地の領主たちと目下色々水面下で協議中だからね。

憲法とか税の制度とか、真っ当に作っていないうちに、先走って「独立認めさせましたー」なんてやっちゃったら。


……膨大な仕事量と各方面への調整で、お父様、お母様、フォルカーお兄様は確実に過労死しそう。独立したのに、初代国王、初代王妃、初代王太子が過労死したら本末転倒もいいところ。

ギュンターお兄様と魔法使いの皆さんは、多分いつ独立しても大丈夫っぽいですけどねえ。武力十分。寧ろ過剰?

法整備とか、近隣諸国への根回しとか。ちゃんと準備をしてから独立しないとね。


わたしだってそうよ。

今すぐに独立されたら漬け込んだばかりのアンズーを放置しないといけなくなる!

梅干しだけではなく、ラインシュ領からカイエン男爵領までの大街道が完成した後とかに、独立してほしいなー……なんて、わたしの希望ですが。


ま、時期はお父様にお任せするとして。


わたしはのんびりと、梅干しならぬアンズー干しの仕込みが次の段階に入るまでのぽっかり空いた期間で、お米様を探しに東に行きたいのだ。


と言っても、東の土地に詳しいわけではない。


一か月程度で行って、米とか探して、またカイエン男爵領に戻るには……。


「ラモン氏の伝手で、デヴォーン王国まで行ってみますかー!」


ラモン氏はブラウンシュヴァイク=リューネブルク王国の東隣の国、デヴォーン王国出身……というか、祖父の代に一家そろって、こっちの国に来た。

その際に、デヴォーンの植物あわ・ひえ・きび・小豆、黒豆、雑穀なんかを一緒に持ってきた。


つまりは、デヴォーン王国に行けば、米に近い何かがあるかもしれない。

雑穀……の中に、米、入っていないかなあ……?



とりあえず、侯爵令嬢の身分で他国に行くのはとってもとってもめんどくさい。

しかもわたしはこっちの国の阿呆王太子との婚約をなくしたばかりのご令嬢。

他国に向かうとですね……、他国の高位貴族の令息や王族とかとのお見合いに来たと誤解される可能性が大。


ナイジェル様との婚約(仮)状態で、他国の令息とのお見合い話なんかを持ってこられるなんて、冗談ではない!


……というわけで、身分偽造。


まず、ナイジェル様のご実家、キースさんのお宅にナイジェル様だけではなく、トリクシーという娘がいたことにして。

そのトリクシーがカイエン男爵家でメイドをしていた時に、才覚を見込んでもらって、養女となった……という体裁を整えた。もちろん書類だけね!


ということで!

トリクシー・フォン・カイエン男爵令嬢爆誕です! いや、爆とつけるほどのものではないけどさ(笑)









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