表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生悪役令嬢はお茶漬けが食べたい【長編版】  作者: 藍銅 紅@『お姉様はずるい』コミカライズ連載中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
39/57

第39話 初めまして、カイエン男爵。突然すみません!


ぽかーんと。

ええ、マジでポカーンと。


わたしは馬車の小窓から頭を出して、屋根の上できらりと光るしゃちほこを見上げてしまった。


さすがに日本の城ではなかったんだけど、カイエン男爵のお屋敷は……、屋根飾りにたくさんのしゃちほこがいた……。


ヨーロッパ的なお屋敷に、しゃちほこ……。


違和感がありすぎるわっ!


も、過去に日本人転生者が居たこと確定!

たまたま一致しただけの偶然とか言われたら、ちゃぶ台ひっくり返すよ!


「……変わった飾りですね。とりあえず、お嬢様。小窓から身を乗り出すのではなく、馬車を降りましょう」

「そうね!」


淑女が馬車の小窓から頭を出して外を見るなんて、してはいけませんわおほほほほ~。なーんて。小芝居をしている場合ではない。


わたしは馬車を止めてもらってから、馬車を降りた。……ちょうど玄関先の庭だから、ここで止めてもいいよねえ。玄関ホールまで馬車で入って行くべきなんだろうけどさあ。


わたしとナイジェル様、そしてエリンが下りた馬車の横に立って、屋根の上を見上げる。どこからどう見ても、やっぱりあれはしゃちほこだ。


「しゃちほこって言うのよ、あの屋根の飾り」

「シャーチホコ……で、ございますか……?」

「うん。火事から建物を守るためのおまじないみたいなもの」


紙と木でできた昔の日本の建物にとって、火事は天敵だからね。でも、この似非ヨーロッパ的世界の石造りのお屋敷で、しゃちほこを飾って、火事よけ祈願とかする意味はあるのかなー?


「魔法……ですか?」

「ううん。実際に火事が起こった時に火を消すような魔法の力はないよ、多分。ただね、鯱っていう伝説の生き物がいて、その鯱は口から水を吐くらしいの」

「はあ……。では、シャーチとは神獣のようなものですか?」

「まー、そんな感じかな。実際に、屋根のあの飾りが水を吐くわけじゃないと思うけど……」


いや、もしかして、カイエン男爵のお屋敷のしゃちほこは水を吐く? 排水的な何かとして使っているのかな? でも、別に雨どいとかとも繋がっていないし。うん、単なる飾りだと思うのよね……。


うんうんと頷いたところで。

馬車の向こうから「よくご存じですね」というイケメンボイスが聞こえてきた。


「トリクシー・フォン・ラインシュ侯爵令嬢とそのご一行様ですね。私がノーブナガ・フォン・カイエンです。ようこそ我が領へ」


聞こえた声に、ご挨拶を……と思ったんだけど……。

馬車の向こうから現れたカイエン男爵。


ええと、どこからツッコミを入れればいいの⁉


まず名前。ノーブナガって信長か! 

それに着用している服! どこからどう見ても剣道着と袴! 

イケメンボイスとか、口髭がちょっとセクシーなイケオジ様とか。そう言うのがぶっ飛ぶくらいのツッコミどころっ!


「トトトトトトトトリクシー・フォン・ラインシュですわっ! 初めまして! この度は突然の、不躾な訪問、お許しくださいませねっ!」


どもったー! 

嚙んだー!


取り繕うようにカーテシーでも……って思ったけど、こっちは侯爵令嬢、あっちは男爵。お世話になるにしても、頭を下げちゃいけない貴族社会!


「それにしても……、あのしゃちほこ。現物をこちらの世界で見たのはわたくし初めてですわ!」


さりげなく(?)探る。

だって、カイエン男爵、あなたは日本人転生者ですか……なんて、いきなり聞いたら変な人かもだし!

ホントに日本人転生者ならいいんだけどさ。違ったら、なにそれの世界。


「ああ……、アレですね。シャーチホコは、祖父の故郷では有名だったとかで……」


は⁉ おじい様⁉ 


「もしやおじい様の故郷は日本ですか⁉ 名古屋ですか⁉」


前のめりに聞いたら。カイエン男爵は驚いたように言った。


「よくご存じですねえ……。はい、祖父はニーホンがナーゴヤの出身と……」


マジかー! 日本人転生者はカイエン男爵ではなく、おじい様でいらっしゃったか! でもいた!


「名古屋飯! 味噌カツ! きしめん! 手羽先! 小倉トースト! ひつまぶし!」


叫んだ。思わず叫んだ。

だって、もしかして、ひつまぶしがあれば!


三杯目はお茶漬け―――――――――!


期待でわくわくしちゃうぞ!


キラキラした目でカイエン男爵を見つめれば。


「ええと、ミーソカツ、テーバサキ、ヒーツマブシは言葉だけは聞いたことがありますが……」

「な、ないですか……?」

「申し訳ない。祖父が作りしオーグラトーストとキーシメンは、我が男爵領では皆好んで食しますが」

「きしめんがある⁉ 小倉トーストも⁉」


マジか―――――――!


「はい。ご用意いたしましょうか?」


もちろんですとも!










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ