第35話 ナイジェル様の故郷です! 梅だああああああ!
後日、大量に作り直したシソふりかけ。
それを麦飯にふりかけて、麦茶を投入したお茶漬けを、家族の皆だけではなく、魔法使いの皆様、使用人のみんなにも食してもらって……。
十倍の数を注文したはずのボーラス・リーベルは、あっという間に消化され……。我がラインシュ侯爵家の定期購入物となりました……。
料理人の皆さんも気に入って、嬉々として作っているわシソふりかけ……。塩気が美味しいとかで、チーズにふりかけて食べている人もいるくらい。
お兄様たちも、酒のつまみになるって……。
これは……、きちんと梅干し用に取り分けておいてもらわないと、いざ使うときにボーラス・リーベルがなくなってしまうかもしれない……。
とりあえず「ボーラス・リーベル二十枚、アンズーを漬け終えた後に使います! 取っておくように!」と書いたメモを調理場の壁に貼っておいた。
……こ、これで大丈夫……。多分……。いや……取り分けて置いて、保冷庫に隠しておいた方が……。隠してもなくなったり……。
ま、また買えばいいかと言える侯爵家の財力にバンザイ三唱……。
あ、簡易トイレ事業が好調過ぎて……、我が家には金貨の山がザックザックとしているんですよ……。独占企業状態の上に、王族や高位貴族向けに、豪奢な簡易トイレも売り出したから……。売り上げが右肩上がりだそうで……怖い。
しかも、独立する気満々なお父様は、来年の税金を国に納める気はないらしい……。簡易トイレの開発費が莫大なため、今期の我が家は赤字ですって、しらっと二重帳簿も作っているらしいし……。怖いわ……。
わ、わたしは何にも知りませーん! 見てないし、聞いてないからねー!
……ということで、前振りはこのあたりにしまして。シソを確保したので、今度は梅です。
わたしは梅の里……ではなく、アンズーが取れるナイジェル様の故郷へと向かうことになりました。
そろそろ梅の実もなる季節。アンズーもきっと頃よし!
行くぞ! おーっ!
元々アンズーのお酒を作っているだけあって、まさにアンズーの里! なんて、看板を出したくなるくらいにアンズーの木がいっぱい植えられているんだそうです。
わくわくです!
もちろん移動手段はペガサスなので、ナイジェル様の故郷まであっという間に到着!
ラインシュ領は国の北側に位置し、ナイジェル様の故郷は国の東側だと言うのに。
これはあれね、北海道から東京に飛行機で飛ぶのと似ているかもしれないわね。うむ、よし!
そして……。
「うわぁ……。アレ、梅の木ですか⁉」
「いえ、アンズーの木です」
「でも、梅の木と似てますね」
「もう散りましたが花も似ていますかね。梅の花よりもすこし花弁は大きくて、花弁も反り返っている感じですが」
「向こうの世界では、アプリコットも梅も、どちらもバラ科サクラ属の落葉小高木ですから、こちらの世界のアンズーも似ていて当然なのかしら」
向こうの世界と異世界で、植生が同じではないまでも似ているのは僥倖! アンズーはきっと素敵な梅干しになる!
梅干しを作ったら、まずは梅茶漬け!
そして……、来年になるけど、アンズーの花見をしながら、梅のおにぎりもいいなーなんて。
ふふふ……。口の端からヨダレが垂れそう……。うふふふふ……。




