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読書してチート目指します。~本でスキルゲット!?チートですがなにか?~  作者: 本道 優守


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第二章14「働く理由」

全面的に自己責任でお願いします。

朝。


 優守は、いつものようにコーヒーを淹れていた。


 昨日も自然とパソコンを開き、気付けば仕事をしていた。


 生活のためではない。


 会社に命じられたわけでもない。


 それでも、自分は働いていた。


「何でやろうな」


 マグカップを手に、窓際へ向かう。


 雲ひとつない青空が広がっていた。


 急ぐ必要はない。


 締め切りに追われることもない。


 それでも頭の中では、新しい教材や企業向け研修のことを考えている。


 自分でも少し可笑しかった。


 パソコンを立ち上げる。


 メールを確認すると、一通の問い合わせが届いていた。


 以前、オンライン講座を受講した利用者からだった。


 件名は「ご報告」。


 優守はメールを開く。


『本堂先生


 以前受講した講座のおかげで、資格試験に合格しました。


 転職活動でも評価され、希望していた会社から内定をいただきました。


 本当にありがとうございました。』


 短い文章だった。


 営業メールでもなければ、追加購入の相談でもない。


 ただ、お礼を伝えたかっただけなのだろう。


 優守は思わず笑みを浮かべた。


「そうか。受かったんやな」


 メールを閉じる。


 特別大きな出来事ではない。


 売上が増えたわけでもない。


 それでも、不思議と心が温かくなった。


 しばらくして、教材販売サイトのレビューも確認する。


『説明が分かりやすく、実務ですぐに役立ちました。』


『初心者でも最後まで学べました。』


『次回作も楽しみにしています。』


 一つひとつは短い感想だ。


 だが、その一文一文が誰かの時間を変え、人生の後押しになっている。


 優守は椅子にもたれ掛かった。


(俺が作ったもんで、誰かが助かってるんか)


 昔の仕事では、そんな実感はあまりなかった。


 もちろん会社の仕事にも意味はある。


 誰かの役には立っていたはずだ。


 だが、自分の名前で感謝される機会はほとんどなかった。


 今は違う。


 本堂サポート事務所。


 その名前で作った教材が売れる。


 講座を受けた人が成長する。


 質問に答えれば、「ありがとうございます」と返ってくる。


 その積み重ねが、思っていた以上に嬉しかった。


「これかもしれんな」


 優守は小さく呟いた。


 生活費のためではない。


 出世のためでもない。


 見栄を張るためでもない。


 誰かが困っていることを解決する。


 その手助けをする。


 作ったものが役に立つ。


 それが、自分にとっての仕事になっていた。


 異世界の本も同じだった。


 知識を得るだけでは意味がない。


 活かしてこそ価値がある。


 だから優守は学び続ける。


 もっと分かりやすく伝えるために。


 もっと多くの人の役に立つために。


 その結果として収入が生まれる。


 順番が、昔とは逆になっていた。


 優守はノートを開き、新しいページに一行だけ書いた。


『役に立つものを作る。』


 それだけだった。


 難しい経営理論でもない。


 立派な経営理念でもない。


 だが、今の自分には、それが一番しっくりきた。


 パソコンの画面には、企業向け研修の企画書が表示されている。


 まだ完成には遠い。


 それでも焦る必要はなかった。


 優守は静かにキーボードへ手を置く。


「誰かの役に立つもんを作ろう」


 その言葉に迷いはなかった。


 働く理由は、ようやく見つかり始めていた。

読み終わってのクレームは、お止めください。

自己責任です。

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