身勝手な愛は美しい
僕たち救済士は癒しの神を崇め人々を怪我や病から救うのが宿命なはずだった……はずなのに……。
今回の依頼主はこの国の貴族の家だった。内容は…………【死なせること】
思考に耽っていると道中ウィルトゥースを祀る教会から教導者が教えを解いている声が聞こえてきた。
「我ら人類は神から世界の管理者を任された唯一の存在であり選ばれし存在である。だからこそ!我らは神に忠誠を示すために神に人生を賭けなければならず、身勝手な死など許されることではない!我らの生活をより良いものにするために尽力し、邪教徒共をより多く殺し、神が定められた時が来るまで生きることが我々の至高の人生である!。」
これはこの世界の当たり前であり多くの人々は死が最高の救いであることを知ることも至高の人生を疑うことも奪われている。
知ることができ選択できるのは真に選ばれた者だけであり【望んだ死は権力者のものになった。】
″救済″士は救うことが宿命であり終わらせることもまた救いと知りながら他人に教えることはない。
人々を騙し、厚い慈悲の皮を被り欺瞞の絶対者となる。
歩みを止め重い足取りで鈍く痛む心臓を無視して豪華な屋敷の門を叩いた。
中から出てきたのは依頼者の妻だった。綺麗な人なのだが顔は血色の悪く視線はどこか遠くを見ているような不気味な人だった。
屋敷に通してもらい最後の意思確認をするために依頼者と2人にしてもらう。
「やあ。いい天気だ。最高の気分だ。」「妻にはもう治らず、治っても1人では何もできないから死を選ぶっと伝えてくれ。」そこには大病で精神を病んでいるとされている男が酒のはいったグラスを傾け楽しそうに笑っていた。意思は変わらないか、意味のない質問をし豪華な寝具に男を寝かせる。変形して細長く鋭利になっていく耳を確認し、[ペレーリの名において死を与えよ。]………………。
唱えた瞬間男の体を温かな光が包み二度と動かなくなった。
すぐさま部屋から出て彼の妻に終わったことを告げにいく。
彼女は祈るように床に伏していた。こちらの姿を視界に収めるとすがるように「彼は!プロディトールは!」血走った目で僕を見て僕が何も言わずに報酬の入った袋を片手にしているのを見つけると壊れたように泣き叫び笑っていた。僕は報酬袋の下に敷いてあった紙に書かれた依頼を遂行するため彼女に向けて死を唱えた。
……………………………………………「一人ではつまらぬ。妻もよこしてくれ。」




