第40話「海デート ― 夏の光に照らされる君」
夏休みの朝。
僕――早見孝介は、
駅前で乃愛を待っていた。
(乃愛、どんな水着なんだろ)
そんなことを考えていると――
「こ、孝介……!」
乃愛が小走りでやってきた。
まだパーカーとショートパンツ姿だけど、
どこかそわそわしている。
「おはよう、乃愛」
「お、おはよう……!
あのね……海に着いたら、ちゃんと着替えるから……」
(……可愛い)
海に着くと、
乃愛は更衣室の前で立ち止まった。
「孝介……ちょっと待っててね。
すぐ着替えてくるから……!」
「うん、ゆっくりでいいよ」
乃愛はパーカーの裾をぎゅっと握り、
恥ずかしそうに更衣室へ入っていった。
(どんな水着なんだろ……)
胸が少しだけ高鳴る。
数分後。
「こ、孝介……!」
振り向いた瞬間、
息が止まりそうになった。
乃愛は
白と水色の爽やかなビキニに、
薄いパーカーを軽く羽織っていた。
健康的で、夏らしくて、
とにかく“似合っていた”。
「に、似合ってる……」
「ほ、ほんと……?
変じゃない……?」
「変じゃない。
すごく可愛いよ」
乃愛は顔を真っ赤にして、
パーカーの袖をぎゅっと握った。
「……よかった……」
海に入ると、
乃愛は楽しそうに笑った。
「孝介、見て!
水、すっごく冷たいよ!」
「ほんとだな」
「えいっ!」
ぱしゃっ!
乃愛が水をかけてくる。
「おいっ!」
「きゃははっ!
孝介、反応遅いよ!」
「やったな……!」
二人で水をかけ合い、
笑いながら走り回る。
(……乃愛の笑顔、夏の光みたいだ)
砂浜に座って休憩していると、
乃愛がそっと言った。
「ねぇ孝介……
今日ね……ずっと緊張してたの」
「なんで?」
「だって……
孝介にビキニ見られるの……
ちょっと恥ずかしくて……」
乃愛は膝を抱えながら、
砂に指で線を描いた。
「でも……
“可愛い”って言ってくれて……
すごく嬉しかった」
「乃愛は、何着ても似合うよ」
乃愛は顔を真っ赤にして、
小さく笑った。
「……ありがとう」
夕方。
海辺の風が少し涼しくなる。
乃愛がそっと僕の手を握った。
「ねぇ孝介……
今日ね……
すごく幸せだった」
「俺もだよ」
「また……
海、来たいな。
孝介と一緒に」
「もちろん」
乃愛は嬉しそうに微笑んだ。
「……孝介、大好き」
その言葉は、
今日の海よりも眩しかった。




