第27話「新しいスタート -サッカー部とマネージャーと二人の未来-」
サッカー部体験期間の最終日。
放課後のグラウンドは、夕日でオレンジ色に染まっていた。
僕――早見孝介は、
練習を終えて水を飲んでいると、
キャプテンの三年生が近づいてきた。
「早見。ちょっといいか?」
「はい」
キャプテンは真剣な表情で言った。
「お前、運動神経も走力もある。
チームとしても欲しい戦力だ。
……正式に、サッカー部に入らないか?」
胸が熱くなる。
(……誘われた)
その瞬間、
フェンスの外でこちらを見ていた乃愛と目が合った。
乃愛は驚いたように目を丸くし、
すぐに嬉しそうに微笑んだ。
僕はキャプテンに向き直り、
迷いなく言った。
「……入ります。
サッカー部に」
キャプテンは満足そうに頷いた。
「よし、期待してるぞ!」
部員たちも声を上げる。
「早見、よろしくな!」
「一緒に頑張ろうぜ!」
「アンカーの走り、忘れねぇからな!」
その声に、胸が熱くなった。
(ここで頑張りたい。
乃愛にも、胸を張れるように)
練習後。
乃愛が駆け寄ってきた。
「孝介……!
入部、おめでとう……!」
「ありがとう。
乃愛、見てたんだな」
「うん……すごく嬉しかった」
乃愛は胸の前で手をぎゅっと握り、
少しだけ深呼吸してから言った。
「ねぇ孝介……
私もね……決めたの」
「決めた?」
乃愛は真剣な瞳で僕を見つめた。
「私……サッカー部のマネージャーになる」
「乃愛……!」
「孝介のためだけじゃなくて、
“私自身がやりたい”って思えたから。
誰かを支えるのって、すごく素敵だなって思ったの」
乃愛は少し照れながら続けた。
「それに……
孝介が頑張ってる姿を、
もっと近くで見ていたいから」
その言葉は、
風よりも夕日よりも温かかった。
二人で顧問の先生のところへ行く。
「先生。
早見孝介、サッカー部に正式に入部します」
「白石乃愛、マネージャーとして入りたいです」
先生は驚いたように目を丸くした。
「おお……二人ともか。
歓迎するよ。
白石さん、マネージャーは大変だけど大丈夫か?」
乃愛は迷いなく頷いた。
「はい。頑張ります」
「よし。じゃあ二人とも、よろしく頼む」
こうして――
僕と乃愛は、同じ部活で新しいスタートを切った。
夕暮れの帰り道。
乃愛は僕の隣で歩きながら言った。
「ねぇ孝介……
これから、もっと忙しくなるね」
「そうだな。
でも……乃愛がそばにいてくれるなら、頑張れるよ」
乃愛は照れながら、
僕の左手をそっと握った。
「……私も。
孝介が頑張ってる姿を見ると、
もっと応援したくなるの」
「じゃあ……
二人で強くなっていこうな」
「うん……!」
乃愛は嬉しそうに微笑んだ。
その笑顔は、
新しい日々の始まりを照らしていた。




