表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/34

第10話「佐伯の暴走、そして守りたい人」

翌朝。

教室に入ると、空気が昨日よりもさらに重かった。


「白石さん、また何かあったらしいぞ」

「昨日の靴箱の件、誰がやったんだよ……」

「佐伯じゃねぇの?」


ざわつきの中、僕――早見孝介は席に着いた。


乃愛はすでに来ていて、

僕を見ると安心したように微笑んだ。


「おはよう、孝介……」


声が少し震えている。


「大丈夫か?」


「うん……でも、ちょっと怖い」


乃愛は僕の袖をそっとつまんだ。


そのとき――

教室の後ろから鋭い視線を感じた。


佐伯だ。


昼休み。

僕が席を立とうとした瞬間、佐伯が近づいてきた。


「早見。話がある」


乃愛が不安そうに僕の腕を掴む。


「孝介……行かないで」


「大丈夫。すぐ戻るよ」


佐伯は無言で廊下へ向かい、

僕を人気のない階段裏へ連れていった。


「……白石さんの靴箱の件、知ってるよな?」


「知ってるよ。まさか、お前……」


佐伯は笑った。


「俺がやったって言いたいのか?

 証拠もないのに?」


その笑みは、明らかに“普通”ではなかった。


「でもな……

 白石さんの周りで“何か”が起きるのは、

 お前のせいだろ」


「どういう意味だよ」


佐伯は僕の胸ぐらを掴んだ。


「白石さんは俺のものだったはずなんだよ。

 お前が横から奪わなければ、

 こんなことにはならなかった」


「乃愛は“もの”じゃない。

 乃愛が選んだのは俺だ」


その瞬間、佐伯の目が完全に怒りに染まった。


「……後悔させてやるよ」


佐伯は僕を突き飛ばし、階段裏を去っていった。


胸に嫌な予感が残った。


放課後。

乃愛は僕の隣に来ると、

不安そうに僕の手を握った。


「孝介……佐伯くん、何か言ってた?」


「大丈夫。気にするな」


そう言うと、乃愛は首を横に振った。


「気にするよ……

 だって、孝介が傷つくのは嫌だもん……」


乃愛の目に涙が浮かんでいた。


「乃愛……」


「私のせいで、孝介が危ない目に遭うなんて……

 そんなの、絶対嫌……」


僕は乃愛の手を強く握り返した。


「大丈夫。

 俺は乃愛を守るためなら、何だってする」


乃愛は涙を拭い、

僕の胸に顔を埋めた。


「……ありがとう。

 孝介がいてくれるなら、怖くない」


その瞬間、

僕は“守る”という言葉の重さを理解した。


帰り道。

乃愛と手をつないで歩いていると、

突然、後ろから声がした。


「白石さん!」


振り返ると――

佐伯が立っていた。


乃愛が怯えたように僕の腕にしがみつく。


「佐伯くん……もうやめて……」


佐伯はゆっくりと歩み寄り、

僕たちの目の前で立ち止まった。


「白石さん。

 俺はまだ諦めてない」


「やめて……私は孝介が……」


「黙れよ」


佐伯の声は低く、冷たかった。


「白石さんは……俺のものだ」


その瞬間、僕は佐伯の腕を掴んだ。


「乃愛に触るな」


佐伯は僕を睨みつけた。


「……お前が邪魔なんだよ、早見」


その言葉と同時に、

佐伯は僕を突き飛ばした。


乃愛が悲鳴を上げる。


「孝介!!」


地面に倒れた僕を見下ろし、

佐伯は静かに言った。


「これは始まりだ。

 お前が白石さんを手放すまで、

 俺は何度でもやる」


そして佐伯は去っていった。


乃愛は泣きながら僕に駆け寄る。


「孝介……ごめん……ごめん……!」


僕は乃愛の手を握り、

ゆっくりと立ち上がった。


「乃愛……大丈夫だよ。

 俺は絶対に離れない」


乃愛は涙を流しながら、

僕の胸にしがみついた。


しかし――

佐伯の言葉は、

確実に“何かの始まり”を告げていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ