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第349話:VS.【黙示録の天使】アルマゲドン③ / 〜Sonic Boom〜


次元湾曲じげんわんきょく虚数(きょすう)干渉(かんしょう)飛翔(ひしょう)加速翼(かそくよく)願望エフェソ』――――エナジー集束開始。極近未来観測演算装置『七式観測眼セブンス・アナライザー:ルミナス・カレイドスコープ』――――起動。ラムダ=エンシェントの行動――――予測開始」


「今までの【大天使アーク・エンジェル】に比べて可愛げが無さすぎる……! 図体ずうたいは小さい癖に感じる圧力は空中要塞メサイアみたいだ……!」



 戦艦ラストアークの主砲である“絶海砲”を絡めた必殺の一撃。それを成功させる為の戦いに俺は臨もうとしていた。


 そこに立ちはだかるはあまりにも強大な出力パワーを誇る機械天使ティタノマキナの頂点。


 アルマゲドンの翼はさらに形状を変化させ、猛禽類の翼から今度は荒ぶる“ドラゴン”の翼へと姿を変えていた。雲の海に響き渡るのは荒々しい竜の咆哮を思わせるような空気の乱れる音。そして、動力炉ドライヴの出力が上がったのが原因か、アルマゲドンの白い駆体ボディには紅く輝くライン状の模様がいくつも浮かび上がって、そこから紅い粒子を放出している。


 大国制圧形態――――つまり今の彼女は“一国”を相手取る戦闘状態になっている。そこまでしてでも、孤高の【熾天使セラフィム】は俺を倒したいらしい。



「【憤怒兵装ラース】、【暴食冥道グラトニー】――――起動! さぁ、何処からでも掛かって来い、アルマゲドン!!」



 なら、こちらとしても好都合だ。


 俺の作戦は『意表を突いてアルマゲドンに“絶海砲”叩き込んで倒す』と言うもの。出来ればこの手で直接倒したいが彼我ひがの性能差は歴然、現状はアルマゲドンの方が優勢すぎる。


 故に、“正々堂々”にはこだわってはいられない。そんな手段を使ってでも勝たなければならない。その為の作戦が戦艦ラストアークの主砲だ。


 だが、“絶海砲”が発射可能になりつつあることをアルマゲドンの悟られてはならない。あくまでも全力で彼女と戦い、一瞬の隙を突いて主砲の攻撃範囲に誘導しなければ成功は難しいだろう。もし、アルマゲドンに此方こちらの思惑を知られれば、彼女は主砲を無力化してくる。


 故に、ここからは俺もより全力を出していくしかない。あわよくば、アルマゲドンを自力で倒したい。そう密かに息巻いて、俺は両腕に再び大型武装を装着し直した。



 そして、武器の先端をアルマゲドンに向けようとした瞬間だった――――


「ラムダ=エンシェントに向けて――――攻撃開始」

「えっ……アルマゲドンが……消えた……?」


 ――――瞬きと同時に彼女は俺の視界から消失していた。



 何が起きたのか理解できない。先程まで荒々しい暴風を放っていたアルマゲドンは忽然と消えて、俺の視界には戦艦ラストアークの白銀の装甲と冬の青空が広がっているだけだった。


 そして、ふねの進行方向に背中を向けていた俺の顔に当たったのは一陣の突風だけ。恐らくはアルマゲドンが発生させた風の名残だろう。その風を装甲アーマー越しに感じ取った瞬間、俺の全身を悪寒おかんが走り抜けた。



〘油断するな、ラムダ=エンシェント。敵は左舷から来る。急いで武器を構えろ。〙


「まさか……アルマゲドンは音速で飛行を――――ッ!?」



 その数秒後、頭部装甲ヘルメットに表示された敵襲を報せる『ⅩⅠ(イレヴン)』の警告、俺が咄嗟に盾に形状を変化させた【憤怒兵装ラース】を構えた瞬間に訪れた重い衝撃。どうやら、右手の盾に高速で飛来した何かが接触したようだ。


 言うまでもない、その正体はアルマゲドンだ。


 彼女は俺の目の間から高速で飛翔し、速度を落とさないように大きく旋回をしつつ突撃をしてきていた。右手の盾の先には光量子フォトンで生成したと思われる騎槍ランスを構えたアルマゲドンが視える。



「音速突撃に対する防衛反応を確認。ラムダ=エンシェントの反応速度を修整。次段攻撃速度の修正を実施。加速開始」


「――――チッ、またか……!」



 だが、アルマゲドンの姿を目視したのも束の間、彼女は騎槍ランスを霧散させると再び加速して俺の視界から消え、再び戦艦ラストアークから距離を取るように旋回を始めだしていた。


 音速で攻撃を仕掛け続け、俺が反応できなくなるのを待っているのだろう。確かに、このまま音速で右往左往して揺さぶられれば、いずれ俺は不意を晒してしまいかねない。如何に攻撃の軌道が予測できるとは言え、身体が反応できなければ意味は無い。



e.l.f(エルフ).、戦輪チャクラムを次元障壁形態で周囲に展開してくれ!」


「了解しました! ハーピィ(ワン)からハーピィ(トゥエルブ)、『次元障壁陣形フォーメーション・ディメンションウォール』――――展開開始!」


「さぁ、何処からでも掛かって来い、アルマゲドン!」



 先ずはアルマゲドンの動きを見切る事が最優先だ。その為に戦輪チャクラムを自分を覆うドーム状に展開し、俺は音速で飛行する敵への対処を取る。


 『次元障壁陣形フォーメーション・ディメンションウォール』――――色欲翼輪ラストを丸天井ドーム状に展開した防御布陣。敵の攻撃に戦輪チャクラムが自動反応して動き、転移陣ポータルを通じて攻撃を別の戦輪チャクラムに転移させて逃がす絶対回避の防御陣。


 これならアルマゲドンが音速で此方こちらに突っ込んで来ても、転移陣ポータルを通じてあらぬ方向に転移させれば被弾は免れる。



「ご主人様、確かに鉄壁の布陣のような気もしますが、なんだか嫌な予感がします……」


「奇遇だな、俺もだよ……」



 だが、問題点がある。それは――――


空間転移テレポート――――次元障壁突破」

「あぁ……やっぱりなっ!」


 ――――アルマゲドンが空間転移の使い手なら、この布陣はまったく意味を成さないと言うことだろう。



 次元の壁を引き裂いて俺の目の前に出現したアルマゲドンは、再び騎槍ランスを突き立てようと腕を伸ばす。だが、間一髪のところで伸ばした【暴食冥道グラトニー】の口が騎槍ランスの先端に喰らいついて、貫かれると言う最悪の事態は回避できた。


 そして、俺とアルマゲドンは再び膠着状態に入ってしまった。出来れば、このまま彼女を抑えつけたいが、それも難しいだろう。万が一にも、足下の戦艦ラストアークに危害を加えられたら元も子もない。


 なら、俺が取れる選択肢はあと一つ。



「“竜の翼(ドラゴン・ウィング)”――――超加速形態ブースト・モードへと移行! 急速離脱開始!」


「ラムダ=エンシェント、転移陣ポータル使用による離脱を確認。追跡を開始します」


「そうだ、追って来い! 空中ここで殺りあおうじゃないか! お前に俺が捕まえられるかな?」



 戦艦ラストアーク周辺での空中戦、それが俺の選択肢だ。

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