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第348話:VS.【黙示録の天使】アルマゲドン② / 〜雲海を越えて〜


「ラムダ=エンシェントの脅威度を“戦艦級”と判定。大軍殲滅形態から対艦撃滅形態へと以降。永久機関“熾天炉心セラフィック・ドライヴ”――――出力を20パーセントから40パーセントへ向上……」


「なんだ……出力が上がったのか……!?」


「自己強化機構(ユニット)自己犠牲ティアティラ』――――駆動開始。手脚の硬度上昇。撃滅を開始します」



 意表を突いてアルマゲドンのウィングの一部を斬り落としたのも束の間、彼女は俺の実力を見定めたように淡々と判定の言葉をつづった。


 その直後、アルマゲドンの翼は天使を思わせるような形状から猛禽類もうきんるいのような大きく鋭く尖った形状へと変化し、彼女の華奢な白い手脚は微かに発光を開始する程のエネルギーを内包し始めていた。


 自己強化ユニット『自己犠牲ティアティラ』――――アルマゲドンの駆体ボディの強度や材質までを自在に変換する特殊な変換器。これによって彼女のウィングは形を変え、手脚は超合金のような硬度へと変化したのだろう。



《ラムダさん、アルマゲドンの攻撃が来ます! 急いで回避行動を!!》


「分かっている――って、魔剣を掴まれて……うわッ!?」



 至近距離での攻防、右眼の【脅威観測ファントム・メナス】は俺の身体へと振り下ろされるアルマゲドンの攻撃を朱い幻影ヴィジョンで示している。回避をしなくてはならない。


 そう判断して後方に下がろうとした瞬間だった、アルマゲドンは左手で魔剣の刀身を鷲掴みにして俺の後退を妨げた。そして、そのまま彼女は駆体ボディを大きくひねりながら回転、俺の右胸の部分に鋭い蹴りを打ち込んできた。


 間一髪、装甲アーマー障壁バリアを張った為に致命的なダメージこそ避けれた。だが、蹴りの勢いを受け止めきる事は出来ず、俺は凄まじい勢いで下方で飛行している戦艦ラストアーク目掛けて落下し始めた。



「このままじゃラストアークに叩きつけられる……! e.l.f(エルフ).、戦輪チャクラムによる転移を!」


「り、了解です、ご主人様! ハーピィ(ツー)、ハーピィ(ナイン)、次元連結! ハーピィ(ナイン)を戦輪ラストアークに水平になるように角度調整……!!」



 落下の勢いは自由落下よりも遥かに速い。そんな速度で戦艦ラストアークの船体に叩き付けられればただでは済まない。


 咄嗟に戦輪チャクラム【色欲翼輪ラスト】による空間転移による回避行動を思いついた俺はe.l.f(エルフ).に指示して戦輪チャクラムの二つを次元連結。落下軌道を戦艦ラストアークに対して“垂直”から“水平”に無理やり変更する事で船体に叩きつけられることをなんとか回避した。


 だが、それでも俺は蹴り飛ばされた勢いを受け切るのに苦戦し、静止できた頃には戦艦ラストアークの艦首部分まで吹き飛ばされていた。



「アルマゲドンの姿が視認出来ない……!? 妨害電波ジャミングをしているせいか……! くそっ、あいつが魔剣を持ったままなら位置を捕捉できたのに……!!」


《ラムダさん、聴こえますか!? このまま戦艦ラストアークを乱層雲の上に浮上させます! そうすればアルマゲドンを視認できるかと……!》


「頼む、ノア! けど、女神アーカーシャに補足されて【月の瞳】を出されないように気を付けて!」



 戦艦ラストアークの艦首部分はまだ乱層雲の中に沈んでおり、アルマゲドンの姿は視認できない。掴まれていた魔剣は蹴りと同時に彼女の手から離れて、まだ俺の左手に握られたままだ。


 このまま雲の中、視界不良の状態で戦うのは危険だろう。そう判断したのか、ノアは乱層雲の中に隠していた戦艦ラストアークを浮上させる事を決定。ふねは少しずつ雲の上に向かって浮上を開始した。



「『苦悶スミルナ形態変化モード・チェンジ――“光量子刀剣フォトン・ブレード”精製。攻撃開始」


「――――ッ! 【憤怒兵装ラース】形状変化――――魔杖形態! 上級防御魔法【祝福の盾】――――発動ッ!!」



 その瞬間、目の前の雲海で光る翡翠色の発光体。右眼の脅威判定ですぐに分かった、アルマゲドンが目にも留まらぬ速度で此方に向かって突撃している。


 咄嗟に【憤怒兵装ラース】を魔法の杖へと変化させた俺は、シリンダーに刻まれた防御魔法の詠唱に魔素マナを流し込んで魔法を発動。出現させた純白の盾でアルマゲドンの突進攻撃を寸前のところで防いでみせた。


 よく見ると彼女が両腕に装備した『苦悶スミルナ』は銃身から朱い光量子フォトンを放出させて巨大な大剣ブレードへと姿を変えている。これで俺を串刺しにする気だったのだろう。



《戦艦ラストアーク、乱層雲上に浮上します! シールド、ブースター、共に全開! なんとしてでも空域から脱出します!!》



 そして、俺とアルマゲドンが艦首上で膠着こうちゃくした時、戦艦ラストアークは乱層雲から浮上して青空の下へと姿を露わにした。


 白い雲の海を進む方舟。それまでもやが掛かっていた視界は一気に晴れ渡り、目の前には朱い“一つ目(モノ・アイ)”を光らせた熾天使セラフィムが仏頂面で刃を向けている。


 俺とアルマゲドンの間では純白の盾と朱い大剣が火花を散らして激突している。だが、このせめぎあいは長くは続かない。魔法の盾は少しずつひび割れて刃を通し始めている。このままでは押し負けるのは俺の方だ。



《ラムダーッ、対空砲を準備させた、アルマゲドンから離れろ! 戦輪チャクラムの転移で砲撃を直に叩き込む!!》


「無茶苦茶だな、ホープ!? e.l.f(エルフ).、頼む!」


「了解です! ハーピィ(ワン)、ハーピィ(ツー)、ハーピィ(スリー)、アルマゲドンに射角固定(セット)! 角度、水平を維持! ハーピィ(フォー)からハーピィ(ナイン)、対空砲の転移陣ポータル固定セット!!」


「“竜の翼(ドラゴン・ウィング)”――――全速後退!!」



 そんなタイミングで援護に出たのはホープだ。彼女は艦橋ブリッジから戦艦ラストアークの対空砲を起動させて加勢するつもりなのだろう。


 だが、如何に対空砲であっても戦艦ラストアークの船体に足を着けているアルマゲドンを攻撃する事はできない。そこで彼女は俺の【色欲翼輪ラスト】の転移陣ポータルを利用するようだ。対空砲の砲撃を戦輪チャクラムの次元転送を通じて無理やりアルマゲドンに叩き込むらしい。


 即座にホープの意図を理解した俺e.l.f(エルフ).の戦輪チャクラムを配置するように指示し、三基の戦輪チャクラムがアルマゲドンを狙うように配置され、残った九基の内の六基が対空砲の真正面に配置された。



 そして、俺が高速で後方へと離脱した瞬間――――


《対空砲、撃てーーッ!!》

「高出力砲の次元転送を確認……『ペルガモン』展開……」


 ――――ホープの号と共に対空砲は放たれ、戦輪チャクラム転移陣ポータルを通じて砲撃は次々とアルマゲドンを強襲した。



 四方しほうから絶え間なく飛来する砲撃が何度もアルマゲドンの居る場所を飲み込む。だが、障壁を展開した熾天使セラフィムは一歩も動じる事はない。


 このまま対空砲に頼っても倒せる見込みはないだろう。戦艦ラストアークの主砲である“絶海砲”もまだ未調整でまともに使えはしない。



「ノア、主砲の調整は済みそうか?」


《いまⅩⅠ(イレヴン)さんが出力の安定化を図っています、もう少しだけ時間を稼いでください! ラムダさんから預かった()()()()なら必ず役に立ちます!》


「今からちょっと攻めを激しくする! ノアはその間に主砲を一発でも撃てるようにしてくれ!」



 手をこまねいても何も事態が好転しないのも事実だ。だが、逆転の目はまだある。


 主砲はまだ使えない。出力が集束できず、このまま撃ち出してもエネルギーが霧散するだけだからだ。それを解決する為に、俺は()()()()をノアに託して、彼女はそれを使っての主砲完成に乗り出した。


 ノアの宣言した『“絶海砲”なら、アルマゲドンに致命打を与えられる』と言う言葉を信じて、俺はアルマゲドンを喰い止めるだけだ。



「戦艦ラストアークからの攻撃を確認。制圧ウィルスによる侵食への抵抗を確認。戦艦ラストアーク搭乗員による抵抗を認識。対艦撃滅形態から大国制圧形態へと移行。“熾天炉心セラフィック・ドライヴ”――――出力を40パーセントから75パーセントへ向上開始」


《――――チッ、やっぱ効果薄か……! ラムダ、見せての通りだ。対空砲じゃアルマゲドンを止めれねぇ! ()()()使()()()()()、お前が最後の砦だ!》


「戦艦ラストアーク、主砲の機能不全、情報更新。脅威判定を“C”に設定。早急の撃墜は不要と判断」


「ホープ、このまま対空砲で援護を! 俺がアルマゲドンを倒す!」



 たった一度の逆転の切り札を、確実にアルマゲドンに撃ち込む為に。

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