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第350話:VS.【黙示録の天使】アルマゲドン④ / 〜音速の戦い〜


「ラムダ=エンシェント、飛行速度――――マッハ3。脅威判定――――“SS”で変更なし。対処容易。引き続き撃破を継続します」


「――――チッ、まだ俺の事を格下だと認識してやがる……! なるほど、ミカエルが目のかたきにするわけだ! いいぜ、とことんやってやる! お前の相手にしている男こそが、世界最強の男だって事を理解わからせてやる!!」


「ラムダ=エンシェント、戦意向上。原因不明。脅威判定の更新――――必要なし」



 戦艦ラストアークから足を離して、俺は音の壁を突破しながら青空へと飛翔した。そして、アルマゲドンも俺を追って冬の空へと羽ばたいてくる。


 共に音速を越えての空中戦闘ドッグ・ファイト――――それが戦艦ラストアークの眼下に見下ろす高高度で繰り広げられる事になった。先ず背後を取ったのはアルマゲドン。故に、俺は今から【魔王装甲アポカリプス】の“機動力マニューバ”を駆使して彼女から背後を奪取しなければならない。


 これは空中戦を華とする“竜騎士”であるツヴァイ姉さんに教えてもらった事だ。『空で背中はいごを見せた者は死ぬ』と。実際に、以前の戦争でツヴァイ姉さんは仲間を逃がそうとしてルシファーに背後を晒した事が原因で捕縛される憂き目に遭っている。


 理由は簡単だ――――人間おれたちには後ろに眼は付いていない。背後は視えないのだ。真後ろからの攻撃を視認できない以上、回避も困難になってくる。だからこそ、空中戦闘ドッグファイトでは背後なり真上なり、相手の死角に位置取りする事が重要視されてくる。


 そして、今の俺はアルマゲドンに背後を取られながら飛行している。これはさっきの話をかんがみれば明らかに悪手あくしゅだ。幸いにな事に空域には至る所に雲が点在しており、其処を縫うように飛行することでアルマゲドンの眼を撹乱する事は出来ているが、このまま飛び続けてもジリ貧だ。


 それに、アルマゲドンが万が一にも戦艦ラストアークを標的にするかもしれない。あまり掛ける時間も無い。



e.l.f(エルフ).、色欲翼輪ラスト、駆動斬撃刃セイバービット準備セット! アルマゲドンの攻撃を戦輪チャクラムさばきつつ、駆動斬撃刃セイバービット射撃形態ライフル・モードにして背面を撃つんだ!」


「うごごご……! 一度に複数の僚機ビットを操るなんて、私の頭脳プロセッサちませ〜ん(泣)」


「つべこべ言うな、俺も手伝うっての! このまま二人仲良く撃ち落とされたくないだろ!?」



 そこでe.l.f(エルフ).の出番だ。彼女が背後を見てくれるなら、空中にいても俺の死角は無くなる。


 あとは迫りくるアルマゲドンに向けてありったけの攻撃を撃ち込むだけだ。戦輪チャクラム転移陣ポータルから駆動斬撃刃セイバービットを出現させた俺とe.l.f(エルフ).は後をぴったりと付けてくる敵に向かって射撃攻撃をし始めた。



「ラムダ=エンシェントからの攻撃、射撃精度……精密。『ペルガモン』展開。解析開始…………高度演算装置の存在を認識、反撃に移ります。自律型制圧兵装『友愛フィラデルフィア』――――駆動開始」


「げっ……!? ご主人様、アルマゲドンが僚機ビットを繰り出して来ましたけど……」


「分かってる! 手数は此方こっちの方が多いんだ、撃って撃って撃ちまくれ! “竜の翼(ドラゴン・ウィング)”――――ブースト全開!!」



 俺たちの攻撃は豪雨のように苛烈、だがアルマゲドンは表情一つ崩さずに迫りくる弾丸を『ペルガモン』で防ぎきり、反撃とばかりに次の一手を繰り出して来た。


 自律型制圧兵装『友愛フィラデルフィア』――――アルマゲドンの翼の根本に格納されていた戦輪チャクラム型の兵器で、ミカエルの扱っていた【天使の輪(エンジェル・ハイロゥ)】の上位機。


 斬撃武器や転移陣ポータルとして使用出来るのは当然のこと、更には孔を砲身に見立てた高出力砲まで発射出来ると言う代物だ。そんないかにも燃費の悪そうな戦輪リングをアルマゲドンは六基召喚すると、それを空中の至る所に拡散して配置し始めた。



「あれで私たちを攻撃しないのでしょうか……?」


「今の俺たちは速度が出過ぎている。アルマゲドン側からの攻撃はきっと俺たちには追いつかないんだろう……」


「なら、アルマゲドンの目的は……」


()()()()だ。俺たちの動きを予測して、巧みに誘導して、構えていた戦輪リングに俺たちが接近したら迎え撃つつもりなんだろう……!」



 あっと言う間に散開して彼方此方あちこちの雲の狭間へと消えていくアルマゲドンの戦輪リング。その目論見はだいたい想像が付く、彼女は、今から『狩り』を行なう気だ。


 設置された『友愛フィラデルフィア』は言わば“罠”――――その場所に迂闊に近付けば、俺は恐ろしい業火に晒される事になるだろう。そして、アルマゲドンは其処に追い込むつもりだ。



「『苦悶スミルナ』――――刀身ブレード展開。空間転移開始」


「ご主人様、アルマゲドンの反応、消えました! 空間転移テレポートです!!」



 その懸念は見事的中。アルマゲドンは俺が進行方向上の乱層雲に突入すると同時に空間転移テレポートで姿を暗ました。



「あぁ、分かっている――――来るぞ!!」


「転移完了。殲滅執行。排除せよ、排除せよ、排除せよ」


「【憤怒兵装ラース】形状変化――――大剣形態バスタードソード!! 【暴食冥道グラトニー】魔力エナジー放出――――“舌剣形態ぜっけんけいたい”!!」



 そして数秒後、乱層雲を突っ切って反対側へと飛び出した俺を待ち受けていたのは、両手の武装を翡翠エメラルド色に輝く剣にして浮遊していたアルマゲドンの姿だった。


 彼女の武装『苦悶スミルナ』の刀身は2メートル。そんな自分の身長の倍近くあるつるぎをアルマゲドンは軽々と振り回し、俺を両脇から挟み込むように振り抜いいた。その攻撃を俺は【憤怒兵装ラース】と【暴食冥道グラトニー】をそれぞれ大剣へと変化させて阻止。周囲に衝撃波は放ち、背後にあった乱層雲を吹き飛ばしながら俺たちは再び激突した。



「〜〜〜〜ッ!! 小さい身体なのに腕力が強すぎる……! このままじゃ押し切られる……!!」


「『自己犠牲ティアティラ』――――腕力強化。ラムダ=エンシェントを挟み切ります」


「冗談じゃ無い! こんな空で一人淋しく死ねるかっての!! “竜の翼(ドラゴン・ウィング)”ブースト全開――――脱出ッ!!」


「【行動予測】――――進路捕捉。空間転移開始」



 挟むように剣を振り、腕力を強めていくアルマゲドン。その怪力は華奢な少女の駆体ボディからはとても想像できない程に強い。まるで数トンはありそうな巨大な岩石を相手に相撲をしている気分だ。気を抜けばあっと言う間に真っ二つにされてしまう。


 それを恐れてか、俺は真上に飛んで回避行動を取ってしまった。それこそがアルマゲドンの思惑だと確信しつつも。



「『自己犠牲ティアティラ』――――脚力強化」

「しまっ――――」


「撃墜開始」

「――――つッ、あぁぁああああ!?」



 そして、大きく飛翔した俺に対してアルマゲドンは空間転移テレポートで追撃を開始。頭部を大地に向けた逆さま状態で俺の目前に出現した彼女は、自己強化ユニットで強化した右脚を思いっ切り振り下ろして俺の胸部に渾身の蹴りを放ってきた。


 そのまま俺は下方に向けて制御不能の速さで墜落していく。胸部のダメージは装甲アーマーが肩代わりしてくれた。身体には傷は付いていない。だが、蹴りの威力を押し殺すまで時間を要してしまい、俺は数秒間錐揉(きりも)み回転を続けながら落下して乱層雲の中に突入してしまった。



「うっぷ……気持ち悪い……! さっき食べた炒飯チャーハンが胃の中でぐるぐるしているぅ……!」


「食い意地を張るからですよ、自業自得です! それよりも早く体勢を立て直して脱出を! アルマゲドンの『友愛フィラデルフィア』に狙われています!!」


「やっぱそうなるよな……! くそったれがぁぁーーッ!!」



 ようやく姿勢の制御ができて乱層雲の中で静止したが、其処こそがアルマゲドンの『狩り場』だ。落下の衝撃で少しふらついた俺に待っているのは無慈悲な熾天使セラフィムによる裁きの光。


 雲の中で不気味な紅い光が輝いた瞬間、アルマゲドンの『友愛フィラデルフィア』から放たれた巨大な閃光が俺たちに襲い掛かって来るのだった。



 

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