第四十一話 孤独
新年の北方弓道部のジンクスが当たる。
国体県予選惨敗…。
国体県予選までは進出した北方団体、個人であったが一回戦で敗退となった。
団体戦の敗因は新古や宮下そして湊の不調、池田主将も的中率が低下していた。
三年生、一番手の池田主将が最後の放った矢は的から外れた時、
残心が崩れていた。
高校弓士として終わったのだ…。
そう感じたのは二番手から五番手まで皆がそう思った。
試合後、宮下に主将を託し池田主将が道場に来ることはなかった。
冬が去り、桜の蕾が咲いた3月。池田主将の卒業を見送った。
卒業後は地元の実家で時計店を引き継ぐそうだ。
翌月、新一年生を迎えるにまた壇上で北方部活紹介が始まる。
例年なら次の主将となる二年が壇上に上がるはずだが、宮下が新年の射ち始めに射ち損じた事を払拭させてほしいと懇願する為、異例の三年生宮下が壇上に上がった。
新一年生たちは始めてみる弓道に興味深く見ている。
そして宮下は会に入ろうとする。
部員全員が
放すな!放すな!我慢しろ!
願いは…。
届かない。
直ぐ放してしまい的には当たらず…。
二回目のやらかしに、もう怒鳴る池田主将は居ない。
部員の中で寂しい気持ちが広がっていた。
北方弓道部男子、新入生0人。
北方弓道部女子、新入生6人。
団体戦は湊の代で参加不可となった。
「やらかした…。」
宮下が走り込みの準備をしていた。
改めて池田主将の存在が大きかったと部員全員が思っていた。
湊は県大会予選での敗退、沙織との距離を置いた生活にも慣れ、以前の様に弓道へのめり込んでいた。
「湊、湊!」
ようやく集中から解け新古の声が聞こえた。
「あ、ああ、どした?」
「少し休まないか?」
裏店にジュースを買いに行く途中、松沢さんと別れたと聴いて驚いた。
「最近は喧嘩が多くて。その…この間、イラついて湊に八つ当たりしてしもた。すまん。」
「色々話し合ってさ、松沢さんは進学して俺は実家の水道引き継ぐつもりなんよ。」
「もう休みは親父の手伝い始めてる。」
身近な新古がすでに進路を考えていた、松沢さんも進学を決め二人で話し合って別れたなら仕方ないと思った。
「湊は?連絡ずっとしてないんか?」
「ああ、僕からは出来ないよ」
「勉強集中したいって言われたら出来ないだろ?」
「そういうもんかな?」
「そういうもんだ!」
二人で苦笑いしながら歩いていた。
すれ違った一年生たちはまだ着慣れていない制服に真新しい通学バックを重たそうに持っている。どこかの部活に入ったんだろう。
新古や宮下たちと走り回った外周も今は新一年が走っていた。
身近な新古も松沢さんもそして、沙織も進路先を決めている中で自分の進路をまだ決めかねていた湊は何故か孤独が増していた。




