第二十九話 射ち続ける疲労
媛工が射位に立つ頃、雨は本降りとなった。湿度が上がり、滑り止めの松ヤニが離れの邪魔をしていた。
団体戦は媛工が4本外し予選結果の集計となった。
団体地区予選は上位2校が進出となる。
一位は西方高校。二位に北方高校となり団体地区予選は通過。
個人戦は午前午後共に皆中が五名。
外れたら退場となる。
媛工2名、西方1名、媛商1名、北方1名となった。
五名の先頭は媛工、礼をして他が続く。
一番手、媛工的中。
二番手、媛工的中。
三番手、西方外れ、退場。
四番手、媛商外れ、退場。
五番手、北方的中。
休む間もなく、二回目開始となる。
外れたら順位が決まる怖さが迫り来る
一番手、媛工的中。
二番手、媛工的中。
三番手、北方的中。
三回目には精神的な圧迫が襲いかかる。
外す怖さは精神に負荷を与え続ける。
一番手、媛工外れ、退場。
二番手、媛工的中。
三番手、北方的中。
四回目には集中力は欠け雑音混じりの戦いになった。もはや、己との戦いに変わる。
一番手、媛工外れたが退場せず。
北方が外れた場合、やり直しとなる。
二番手、北方
すでに雨音が屋根を叩く音が耳障り、下半身は支えが効かなくなっている。
会。
手の震えが筋肉の限界と知らせている。
弦は伸びきらず…。
離れ。いや、離してしまった…。
ひょろひょろした矢は「カツっ」と的の枠を叩いた。
的中と認められれば道場端の判定に○。
外れた場合は╳となる。
結果は…
的確認となり、○か╳かもわからず。
媛工生も湊も立っているのがやっと。再戦する気力も筋力も無かった。
西方高校の下級生が湊の的を抱え練士の元へ運ぶ。
「優勝、北方高校!」
「二位、愛媛工業高校!」
その場に力尽きる二人。
「おめでとう」と名前もわからない媛工から声をかけられる。
「また、やろう。」湊は本心で返答した。
会場からは池田主将の力強い拍手から一気に拍手が拡がる。
雨はゆっくり止み始め、閉会式となった。




