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勇者が二人産まれたら  作者: みそすーぱー


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91/95

#91 勇者一行の報告会

閲覧いただき、ありがとうございます。

みそすーぱーです。


noteにて、文字数を1/3以下に抑え、かつ「これだけ読めば話が追える」という情報量を目指して本作を要約したあらすじを公開しています。


初めての方はお試しとして、既にお読みいただいている方は復習などに、是非ご活用ください。


https://note.com/miso_soup_er/m/m0e9e0ffa3562


以下、前回の内容を覚えていらっしゃれば、本編までお読み飛ばしください。


~前回のあらすじ~

洞窟の外でリエネがクレンから情報を引き出そうとする一方、中ではスウォルとリリニシアが、ガガーニムたちと進めた話をシェリル、レピ、ラツンジパに共有する。

その最中、ロガーメーポが口にした"ワーサック"について、ヤクノサニユ出身の三人は語り合った。

「そっかぁ…。う~ん、誰なんだろう…。陛下なら知ってるのかな」


 元老院の一人、ロガーメーポ・ムータオヒカが口にした、自分たちと同じ家名を持つ"ワーサック・ドラベレアル"。

 父クーヤイが国王(ゼオラジム)に仕えていた縁からリリニシアに尋ねるも"知らない"と返され、シェリルは腕を組んで唸ると、リリニシアは複雑そうな表情で、小さく頷いた。


「…そうかも知れませんわね」


 "ワーサック"の名を初めて聞き、考え込むシェリルと異なり、既に自分の中で"分からないモノ"として消化しているスウォルはサラリと流す。


「次に戻ったら聞いてみようぜ」

「うん…そうだね」


 シェリルが頷くのを合図に話が落ち着いたと見たラツンジパは、レピの背から手を離しながら、洞窟の出入り口に目を向けた。


「さて、俺も外に行くわ」

「ラツンジパさん?どうしてですの?」

「え?それは…監視しておかねぇと、ハリソノイア人をよ」

「待ってくれよ、監視って…リエネさんは何も──」

「スウォル!」


 ラツンジパの物言いに食って掛かろうとしたスウォルの肩を、シェリルは掴んで止める。


「姉ちゃん?」

「ラツンジパさん。…()()()()()()

「な…姉ちゃん!?」

「ふん…」


 ペコリと頭を下げたシェリルにスウォルが絶句する中、ラツンジパは鼻を鳴らし、何も言わずに出入り口へと向かって行った。


「なに言ってんだよ姉ちゃん!監視って──」

「大丈夫。ラツンジパさん、本気でそう思ってる訳じゃないよ」

「はぁ?どういうことだよ?」

「照れ屋さんなんだよ、ラツンジパさん」

「て、照れ屋?」

「そ。だから大丈夫。ですよね?レピさん」


 シェリルに話を振られ、丸まった背筋を伸ばしながら、レピは頷く。


「はい、僕も同感です」

「えぇ…?」

「ふふ…スウォルは目を覚ましてからお食事を頂く間だけしか、お話する機会がありませんでしたものね」


 狼狽えるスウォルに微笑みながら、リリニシアも続いた。


「なんなんだよ、皆して…」

「…ところで、シェリルはさっきから何をしてるんですの?」



 シェリルはさりげなく、スウォルの体に顔を寄せ、小さくスン、スンと鼻を鳴らしていたのは、スウォル本人には気付かれずとも、ハタから見ているリリニシアには一目瞭然だった。


「え!?あ、いや…お、お風呂は無理でも、水浴びくらいはしてたかなって思って!あはは…」

「え゛っ、俺クサい!?やっぱニオイ気になるか!?」

「そ、そんなことないよ!?」


 その瞬間、リリニシアは僅かに目を見開き、顔を強張らせる。

 レピはそれを見逃さなかったが、何も口にはしなかった。


「ハッキリ言ってくれよ…。ガガーニム様たちにも言われたんだ、"人じゃねぇニオイがする"ってよ…」

「そ…そんなことないってば!」


 シェリルはクレンの言葉を思い出し、詰まりながらも必死に否定する。

 しかきスウォルは納得せず、次なる仲間に意見を求めた。


「なぁレピさん、レピさんなら分かるか?」


 レピはチラリと、表情を強張らせるリリニシアに視線をやる。

 これこそが耳打ちされた"後で話したいこと"だと直感した。


「…いえ、そんなことはないと思いますよ」

「本当か…?気になったら教えてくれよ、本当に…」

「ま…まぁまぁ、いいじゃありませんの、その話は。それより、そちらのお話も聞かせて貰えませんこと?」

「!」


 動揺を見せないよう努めるリリニシアに話の矛先を向けられ、朗らかな雰囲気から一転、今度はシェリルの表情が凍る。


「姉ちゃん?どうした?」

「ううん…なんでもない…」

「…?」

「シェリル?」

「そうですね、お話しておきましょう」


 シェリルに代わり、レピが話を引き取った。


「まず、はぐれてしまった後のことですが…あの巨大生物は、なんとか倒すことが出来ました」


 瞬間、スウォルとリリニシアは目を大きく見開いた。


「倒した!?あのバカデカいバケモンをか!?」

「ど、どうやってですの?やっぱりシェリルの剣で魔力核を?」

「…いえ、核を叩かずとも息絶えました。そしてその後、亡骸は瞬く間に朽ちて崩れ…」


 レピは"どうやって倒したか"には言及せず、かと言って嘘はつかずに事実だけを"加工"して、二人に語り聞かせる。


 "激昂したシェリルが、既に事切れた死骸に対し、何度も刃を叩きつけた"ことを二人に明かすべきでも、シェリルに思い出させるべきでもない──そう考えた。


「これは僕の推測ですが、アレは"ボロガブザリの近縁種ではないか"と考えています」

「…そ、そういえばそんなこと言ってましたわね」


 リリニシアが当時の、スウォルが蹴り飛ばされる直前の話を思い出す一方、蹴り飛ばされる程の至近距離で一人、囮として気を引いていたスウォルは──。


「近縁種!?って…親戚みたいなモンってことか!?」

「まぁ、はい。そんな理解で結構です」

「いやいや…ちっとも似てなかっただろ!?」

「見た目については同意見ですが…全く無関係の別種とするには、共通点が多いんです。まずは今言った、死後すぐに朽ち果てる亡骸」


 そう言いながらレピは人差し指を立て、有無を言わさず説明に入る。

 スウォルとリリニシアは"あ、長くなるな"と察したが回避には至らず、レピは二本目の指を立てていた。


「第二に、スウォルくんとリエネさんが確認してくれた、再生の速度が遅い点」

「確かに遅かったけどさ」

「第三に、これもスウォルくんが確認してくれた、盾に触れず、弾き飛ばされた点」

「…うん、そうだった」


 淀みなく次々に共通点を挙げるレピの話に、スウォルも真剣に耳を傾ける。


「第四、これは推測に推測を重ねることになるのですが…恐らく、二人の"接近しても、剣と盾が反応しない"点」

「待ってくれレピさん、ボロガブザリん時は反応したぞ(コイツ)


 そう言いながら、スウォルは左腕を──装備した盾を小さく持ち上げたが、レピは動じることなく続ける。


「お二人とも、ボロガブザリが現れた時のことを覚えてますか?」

「そりゃあもちろん覚えていますわよ。魔物同士で戦ってたんですもの、そうそう忘れられませんわ」

「そうです、あの…僕の苦手な、小さな魔物と」

「かわいいと思うんですけれどねぇ…」


 リリニシアが回想しながら答えると、レピは改めてスウォルに問う。


「スウォルくん」

「な、なんすか」

「その盾は、ボロガブザリではなく小さな魔物に反応していた。──その可能性はありませんか」

「それは…ある、かも知んねぇけど…」


 困惑しながら小さく頷くスウォルに、レピは質問を重ねた。


「最初に言った通り、これは推測です。全くの見当違いの可能性だって十分あります。…しかし、無視できない一致だとは思いませんか?」

「…」


 反論を失い、スウォルは黙り込む。


 ──レピが有無を言わさず説明を始めたのには意図がある。


 衝撃の大きな話で上書きし、"どうやって倒したのか"──敢えて伏せた情報から意識を逸らすこと。

 この後はガガーニムに話を振り、より遠くに引き離すつもりだった。

 その必要がなくなったのは──。


「失礼、よろしいですかな」


 当のガガーニム自身が、話に割って入ったからだ。


「その巨大な生物については、お二人から伺っておりますが…"ボロガブザリ"というのは?」

「我々が旅の途中で遭遇した、先に話したような特徴を持つ…魔物の()()()()()です。巨大生物ともども、僕は魔物と獣の混血種ではないかと考えています」

「混血…!?」


 レピの言葉に、スウォルとリリニシアは口をあんぐりと開けながら声を揃え、驚愕した。


「えぇ。言うまでもなく、これも推測ですが」

「混血、ですか…」

「はい。信じがたい話ではありますが、否定できる根拠も存在しないかと」

「ふむ…」

「それから、ジスタム卿」


 腕を組んで考え込むガガーニムに、レピは更に言葉を重ねる。


「なんでしょう?」

「後ほど、少々お時間をいただけますでしょうか?二人でお話したいことが」

「な、なんだよレピさん、二人でって…」


 爪弾きにされ、不服そうなスウォルに、レピは穏やかな微笑みを向けた。


「申し訳ありません。マキューロ人同士、他国の皆さんには聞かせられない話もありまして」

「…分かりました、時間を作りましょう」

「ありがとうございます」


 承諾を得たレピは丁重に、ガガーニムに頭を下げる。



 一方、洞窟の入り口──。


「よう、リエネさん。…どうした?何かあったのか!?」


 月明かりの元、ラツンジパの目の前でリエネは一人、両膝を折って地面に着いていた。


「ラツンジパ…」

「しっかりしろ!何が──」

「ラツンジパ!」


 助け起こそうとするラツンジパの名を、リエネは大声で呼び直す。


「な、なんだよ…どうしたんだ」

「ハッキリ答えてくれ!スウォルからクレン(あの女)が言ったような…"変なニオイ"はしたか!?」

お読みいただき、ありがとうございました。

よろしければ評価・ブックマークなどお願い致します。

また温かいご感想は励みとして、ご批判・ご指摘・アドバイスなどは厳しい物であっても勉強として、それぞれありがたく受け取らせていただきますので、忌憚なくお寄せいただければ幸いです。

次回は8月17日19時頃にXでの先行公開を、18日19時に本公開を行う予定です。

よろしければフォローいただけますと大変嬉しいです。


~次回予告~

クレンとの対話を経たリエネは、ラツンジパに対し"スウォルの変なニオイ"について強く問い詰める。

困惑しながら否定するラツンジパだったが、リエネは安堵することなく、更に思案を深めた。


次回「リエネと"仲間"」

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