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4・神殿に相談に行く

 

 学園で魔法の先生に呪いについて質問してみた。担任のアラン先生だ。

 

「呪いは魔法で作ることができる。闇の魔法だな。だが、闇魔法使いであっても、簡単に作れるものではない」

「呪われているのか調べることはできるのですか?あと、それを解除する方法も」

「うーん、そこらはやはり神殿が詳しいな」

 

 神殿は聖魔法の本拠地だ。先生はそちらに知り合いがいるとのことで、紹介状を用意してくれた。後でレポートにすれば点数をくれるとも。

 


*****



 休日に、私は一人で神殿を訪れた。そこには、治癒を求めて多くの人々がいた。紹介状貰っておいて、ガチ良かった。

 

「すみません、神官のトビア様にお会いしたいのですが。これ、紹介状です」

 

 紹介状のおかげで、すぐに別室に案内してもらう。

 

 やがて部屋に入ってきたのは、何故か騎士の格好をした男性だった。

 

「あ、あの、呪いについて相談に参ったのですが、なぜ騎士様が?」

「呪いはさまざまでな。あんなぴらぴらした服装では対処できない」

 

 なるほど。確かに神殿では、歩きにくい服装の人が多い。納得できる答えだ。

 それならと安心して侯爵家の話をした。もちろん家名は伏せて。

 

「呪いで、センスが壊滅的に悪くなることってあります?」

「ほほう。なかなか楽しそうな話題だな。出口はあちらに……」

「いや、本当のことなんです」

「センスは人それぞれだ。個性を呪いにされてもな」

「それなら言いますけど、今までは普通のセンスだったのに、急に家族全員が変な服を着始めたんですよ。金色とか泥色とか。あと、頭にトサカをつけているんです!」

「それは、気の毒に」

 

 神官のトビア氏がクスリと笑う。

 あ、こいつ、相手にしていない。私は立ち上がって、お辞儀をした。

 

「貴重なお時間を取らせて申し訳ございません。失礼します」

「短気なお嬢さんだな」

「だってあなた、はじめから聞くつもりもないんでしょ?嫌ねえ、思い込みに囚われる人って」

「なんだと?」

 

 ずっと笑顔で応対してくれているけど、目が笑っていないのよね。やってらんないわ。

 

「初めから私を見ようともしない。他の人に変更してもらいますわ」

 

 部屋を出ようとしたら、腕を引っ張られた。バランスを崩して転びそうになったが、意外にも彼が支えてくれた。

 

「本当に短気なお嬢さんだ。そうじゃない。まあ、そうとも言うが」

「どういうこと?」

「見ればわかるだろ?俺は美しい」

「やっぱ帰っていいですか」

「待てや。こう見えて俺はモテる。だから適当なことを言って相談にくる女が、毎日行列になる」

「今日は、私だけのようですが?」

「お前はちゃんと紹介状を持ってきたから、先に通しただけだ。他の奴らは裏で行列作ってる」

「出待ち・入り待ちかよ」

 

 紹介状貰って来て、マジよかった。そうじゃなきゃ、すんごく並んでしかも追い返されたのか。

 

「んじゃ、一応聞いてやる」

「だから、センスが悪くなる呪いです」

「なくは、ない」

「どうすれば、呪いかわかります?」

「本人を見るのが一番手っ取り早いが」

 

 うーん、そうなると、身分を明かさないといけないのか。

 

「どうした?」

「実は私は居候の身で、貴族の親戚にご厄介になっているんです。私は『訳あり』で、平民です」

「ほお」

「ですから、その、貴族の名前を出すのはちょっと躊躇うと言うか、ご迷惑をおかけしたら悪いというか」

「それでも呪われていたら大変だから、ここへ来たのだろう?」

「はい、そうなんですが……」

 

 ふふと、笑う声が聞こえた。俯いていた顔を上げると、トビア氏が笑っていた。

 

「お前は単純だなあ」

「そんな、清々しく悪口言わないでください」

「一応は、褒めているんだがな」

「いやいやいや」

 

 手をブンブン振っておく。

 

「俺はこう見えて貴族だ。半分な」

「え、ということは」

「俺も『訳あり』だ」

「はあ」

 

 意外だ。俺は貴族だぜーってオーラ出まくっていたのに。

 

「だがな、俺は偉い。なんてったって副神官長だからな」

「はあ」

「それにここには守秘義務もある。お前の家の名を聞いても問題はない。そもそも、何も聞かずに呪いが解けるわけないだろ?」

「ダメかー」

 

 残念。こそっと呪いを解除して、明日から普通のドレス生活は、無理かー。

 

「で、家名は?」

「はあ……ナイショですよ?バルディーニ侯爵家です」

「あそこかー。納得。マジにセンスがダサダサ一家だわ」

「知っているんかい」

「確かに昔は普通だったよな。イメチェンかと思っていたが」

「イメチェンで、トサカ着けるかーっ!」

「そうだな、呪いと言ったほうが近いか……。よし、出掛けよう」

 

 トビア氏が勢いよく立ち上がる。

 

「え、どこへ?」

「お前んちに決まってるだろ?」

「えええ、マジですか?早くないですか?」

「さっきまで文句言ってたくせにー」

「はい、すんません、すんません。よろしくお願いしますー」

「よし、裏口から出るぞ」

「え、ファンが待っているのでは?」

「そこを堂々と馬車で逃げるのが醍醐味だろ」

「あんた、サイテーだな」

 

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