4・神殿に相談に行く
学園で魔法の先生に呪いについて質問してみた。担任のアラン先生だ。
「呪いは魔法で作ることができる。闇の魔法だな。だが、闇魔法使いであっても、簡単に作れるものではない」
「呪われているのか調べることはできるのですか?あと、それを解除する方法も」
「うーん、そこらはやはり神殿が詳しいな」
神殿は聖魔法の本拠地だ。先生はそちらに知り合いがいるとのことで、紹介状を用意してくれた。後でレポートにすれば点数をくれるとも。
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休日に、私は一人で神殿を訪れた。そこには、治癒を求めて多くの人々がいた。紹介状貰っておいて、ガチ良かった。
「すみません、神官のトビア様にお会いしたいのですが。これ、紹介状です」
紹介状のおかげで、すぐに別室に案内してもらう。
やがて部屋に入ってきたのは、何故か騎士の格好をした男性だった。
「あ、あの、呪いについて相談に参ったのですが、なぜ騎士様が?」
「呪いはさまざまでな。あんなぴらぴらした服装では対処できない」
なるほど。確かに神殿では、歩きにくい服装の人が多い。納得できる答えだ。
それならと安心して侯爵家の話をした。もちろん家名は伏せて。
「呪いで、センスが壊滅的に悪くなることってあります?」
「ほほう。なかなか楽しそうな話題だな。出口はあちらに……」
「いや、本当のことなんです」
「センスは人それぞれだ。個性を呪いにされてもな」
「それなら言いますけど、今までは普通のセンスだったのに、急に家族全員が変な服を着始めたんですよ。金色とか泥色とか。あと、頭にトサカをつけているんです!」
「それは、気の毒に」
神官のトビア氏がクスリと笑う。
あ、こいつ、相手にしていない。私は立ち上がって、お辞儀をした。
「貴重なお時間を取らせて申し訳ございません。失礼します」
「短気なお嬢さんだな」
「だってあなた、はじめから聞くつもりもないんでしょ?嫌ねえ、思い込みに囚われる人って」
「なんだと?」
ずっと笑顔で応対してくれているけど、目が笑っていないのよね。やってらんないわ。
「初めから私を見ようともしない。他の人に変更してもらいますわ」
部屋を出ようとしたら、腕を引っ張られた。バランスを崩して転びそうになったが、意外にも彼が支えてくれた。
「本当に短気なお嬢さんだ。そうじゃない。まあ、そうとも言うが」
「どういうこと?」
「見ればわかるだろ?俺は美しい」
「やっぱ帰っていいですか」
「待てや。こう見えて俺はモテる。だから適当なことを言って相談にくる女が、毎日行列になる」
「今日は、私だけのようですが?」
「お前はちゃんと紹介状を持ってきたから、先に通しただけだ。他の奴らは裏で行列作ってる」
「出待ち・入り待ちかよ」
紹介状貰って来て、マジよかった。そうじゃなきゃ、すんごく並んでしかも追い返されたのか。
「んじゃ、一応聞いてやる」
「だから、センスが悪くなる呪いです」
「なくは、ない」
「どうすれば、呪いかわかります?」
「本人を見るのが一番手っ取り早いが」
うーん、そうなると、身分を明かさないといけないのか。
「どうした?」
「実は私は居候の身で、貴族の親戚にご厄介になっているんです。私は『訳あり』で、平民です」
「ほお」
「ですから、その、貴族の名前を出すのはちょっと躊躇うと言うか、ご迷惑をおかけしたら悪いというか」
「それでも呪われていたら大変だから、ここへ来たのだろう?」
「はい、そうなんですが……」
ふふと、笑う声が聞こえた。俯いていた顔を上げると、トビア氏が笑っていた。
「お前は単純だなあ」
「そんな、清々しく悪口言わないでください」
「一応は、褒めているんだがな」
「いやいやいや」
手をブンブン振っておく。
「俺はこう見えて貴族だ。半分な」
「え、ということは」
「俺も『訳あり』だ」
「はあ」
意外だ。俺は貴族だぜーってオーラ出まくっていたのに。
「だがな、俺は偉い。なんてったって副神官長だからな」
「はあ」
「それにここには守秘義務もある。お前の家の名を聞いても問題はない。そもそも、何も聞かずに呪いが解けるわけないだろ?」
「ダメかー」
残念。こそっと呪いを解除して、明日から普通のドレス生活は、無理かー。
「で、家名は?」
「はあ……ナイショですよ?バルディーニ侯爵家です」
「あそこかー。納得。マジにセンスがダサダサ一家だわ」
「知っているんかい」
「確かに昔は普通だったよな。イメチェンかと思っていたが」
「イメチェンで、トサカ着けるかーっ!」
「そうだな、呪いと言ったほうが近いか……。よし、出掛けよう」
トビア氏が勢いよく立ち上がる。
「え、どこへ?」
「お前んちに決まってるだろ?」
「えええ、マジですか?早くないですか?」
「さっきまで文句言ってたくせにー」
「はい、すんません、すんません。よろしくお願いしますー」
「よし、裏口から出るぞ」
「え、ファンが待っているのでは?」
「そこを堂々と馬車で逃げるのが醍醐味だろ」
「あんた、サイテーだな」




