表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/8

2・王都での生活は順調。センス以外は

 

 私はバルディーニ家の、王都のタウンハウスで暮らすことになった。

 

 国は、10歳になった子供すべての魔力検査を行い、該当した『訳あり』を、王都の学園に送って教育を施す。

 まずは読み書き、常識、礼儀作法などの合間に、魔力の勉強である。魔力操作中心で勉強したいのは山々だけど、まずは常識から身につけないとね。

 

 通常は『訳あり』の親がわからないことが多い。

 私のように父親(貴族)がわかっている場合は、その本人または親族が後見人となることが義務付けられている。

 学園には寮があり、ほとんどの『訳あり』は、そちらで暮らす。だが稀に、後見人の屋敷から通う子供もいる。

 そう、心優しいバルディーニ家の皆さまは、私にお屋敷から学園へ通うことを勧めてくれたのだ。

 正直ここより寮がよかった。すっごくそっちがよかった。でも、私は空気が読める子。言えなかった。こっそり泣いた。

 

 学園は制服だったので、お貴族様の服のセンスを確認することは出来なかった。とりあえず、知らんぷり、気が付かないふりをしよう。センスは人それぞれ。私は私、人は人、侯爵家は侯爵家。うん。

 

 とにかく私に出来ることは、真面目に勉強することだ。毎日努力し続けた。

 

 魔力も順調に使えるようになっていった。

 手から水が出た時は、感動したなあ。いつかこの力を使って、洗濯とかしてみたい。

 

 

 少し大人になって、私も貴族の人と交流を始めてはというお話が出た。一応身元が確かなのだ。せっかくだから、自分を売り込んでみては、とのことだ。コネが出来れば、将来そこで雇ってもらえるかもしれないと。叔父様、優しすぎる。

 

 どうも私の父は『ロクデナシ』の二つ名を持つほどの猛者だったようで、その娘なんだから、正直魔法を学んだ後はお別れでも仕方ないと思っていたのだが、本当に叔父様一家は優しい人達だった。

 

 センス以外は……。

 

 特に長女のソニア様はお優しくて、私を妹のように可愛がってくださった。私も調子に乗ってお姉様とお呼びしている。とてもとてもいい人で。

 

 センス以外は……。

 

 

 ある時、私にもデビュタントのお話を頂いた。もちろん、お断りした。申し訳なさすぎて。でも、優しい叔父様一家に丸め込まれ……。

 

 ドレスは好きなデザインにしていいよと言われた。そこはすごくすごくありがたかった。

 

 デビュタントのドレスの色は白。デザインは、とってもシンプルなものにしてほしいとお願いした。多少はレースとかつけてもらってそれで問題ないと言ったら、ドレス屋さんに呆れた顔をされた。


 ぶっちゃけ私にわかるわけないじゃん。

 貴族のセンスの見本があれだぞ?

 今日も黄金カラーの羽を、叔父様一家全員で背負っているんだぞ?

 そんなの真似できるかー!

 

「すみません、常識の範囲で、普通に無難に安全にお願いしたいのですが……」

「安全?」

 

 ドレス屋さん、なんか引いてた。

 


*****

 

 

 そして訪れたデビュタント。これで、貴族の常識がわかる。私の目的がそれになってた。

 

 四人で会場である王城に入った。こんなに多くの貴族の皆さんに会うのは初めてだった。

 皆さん、そのー……。私的には、普通ってこういう色だよね、な服装だった。

 

 あと貴族の皆さんが、うちの侯爵家の方々と対面したときの様子なんだけどね。

 まずは侯爵家の皆さんの顔を見る。全身を見る。うん、と納得する。空気を読む。それから「んまあ〜、侯爵様、お久しぶりですわ〜」と、挨拶をする。

 

 よかった、私の感性は普通だった。違うのかとずっと悩んでいた。

 

 皆さん、えって顔してた。

 だよね、だよね。

 今日の侯爵家の皆さんも、全員黄金の羽を背負ってた。服の色は叔父様が赤、あと頭にトサカが乗ってた。ニワトリのやつ。

 叔母様が泥色に濃厚なピンクの大きな水玉。ソニアお姉様は、金と赤のストライプのドレスだった。線がぶっとい。

 どうしよう。この中を一緒に歩くの、すんごく辛い。

 

 叔父様が皆様に私を紹介してくださるけど、皆様の目が痛い。

 お前もか?お前もそのセンス持ちなんか?デビュタント終わったら、お前も着るんかって、目が訴えている。

 違います、着ません、って目で返しておいたけど、多分わかってない。そうか、お前もかーって顔してた。

 違うのよおおおおお。

 

 やがて舞踏会が始まって、国王陛下とそのご家族様がやってこられた。平民の自分が陛下にご挨拶って、すごいことだわ。いつか帰ったら、両親に自慢しよっと。

 

 第一王子のリディオ・バルネヴェルト殿下は、王子妃様を募集中らしい。

 ま、とは言っても候補者は数名おられる。うちのソニアお姉様も候補者らしい。子供の頃は仲良しだったそうで、ソニアお姉様がかなり有力って噂だったらしいけど、最近他のご令嬢が有力らしい。

 

 だって、お姉様が王妃になると、トレンドが変化する。すごいドレスが流行ること間違いない。しかも、みんな血の涙を流しながら着こなすのよ。

 王子も空気読んで、婚約者決定していないとのことらしい。知らんけど。

 

 私も叔父様と一緒に踊って、今日の予定はおしまい。あとは美味しいものを沢山食べるのよ。こぼさないようにしないと、侍女頭に怒られる。白い服だし。

 

 いそいそテーブルの方へ向かう途中で、三人組の怖そうなお姉様達を見かけた。

 

「ご覧になって、相変わらずのセンス」

「侯爵家でなければ、笑い物ですわね」

「あれで王妃候補だなんて。ファッションの見本となるべきお方に、なれるはずございませんわあ、おっほっほ」

 

 豪快な笑いだな。なんか尊敬するわ。

 確かバネッサ・モラレス侯爵令嬢だったか。覚えておこっと。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ