第六話 選ばれた職業
神託から一週間後。
探索者協会・神託管理局。
悠真は説明会に参加していた。
会場には同年代の若者が百人ほど集まっている。
「本日は職業選択について説明します。」
壇上に立つ女性職員が資料を映し出す。
「探索者は最初に一つだけ職業を取得できます。」
画面には様々な職業名が並ぶ。
剣士
槍使い
魔導士
弓士
武闘家
盾士
僧侶
錬金術師
鍛冶師
調教師
「なお、将来的には複数の職業を取得することも可能です。」
会場がざわつく。
「やっぱり魔導士だよな。」
「俺は剣士。」
「鍛冶師も人気らしいぞ。」
悠真は静かに資料を眺めていた。
(全部……面白そうだ。)
一つに決められない。
剣も振りたい。
魔法も学びたい。
鍛冶もしてみたい。
料理も興味がある。
その時だった。
胸の奥が温かく光る。
アーカスの声が聞こえた。
『焦らなくていい。』
(アーカス……?)
『君なら、すべて学べる。』
その瞬間。
悠真のステータスカードが淡く輝いた。
職業:剣士 取得
職業Lv1
「よし。」
悠真は小さく頷く。
だが。
次の瞬間。
職業:魔導士 取得
職業Lv1
「……え?」
さらに。
職業:鍛冶師 取得
職業Lv1
「錬金術師 Lv1」
「調教師 Lv1」
「弓士 Lv1」
「武闘家 Lv1」
「盾士 Lv1」
「僧侶 Lv1」
……
次々と職業が追加されていく。
悠真は慌てて周囲を見る。
誰も気付いていない。
カードの表示は、自分にしか見えていなかった。
『言っただろう。』
『君は、どんな道でも歩ける。』
アーカスの声は穏やかだった。
『だが。』
『レベルは上がらない。』
悠真は静かにカードを見つめる。
剣士 Lv1
魔導士 Lv1
鍛冶師 Lv1
錬金術師 Lv1
調教師 Lv1
……
すべて。
Lv1。
「なるほど。」
悠真は苦笑した。
「やっぱり、そういうことか。」
絶望はしなかった。
むしろ納得していた。
レベルは上がらない。
だから。
努力するしかない。
その方が、自分らしい。
会場を出ると、一枚の封筒を渡される。
探索者育成学園 入学通知書
入学式まで、あと一か月。
悠真の探索者人生が、いよいよ始まる。
その頃。
白い世界。
アーカスは静かに呟いた。
「これで条件は揃った。」
遠くを見つめるその瞳に、わずかな期待が宿る。
「さあ、悠真。」
「君が、この世界に何を残すのか。」




