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第五十話 一年の積み重ね

錬金研究日誌




研究一日目




魔石と鉄鉱石を融合。


結果。


失敗。


魔力が暴走。


素材が炭になる。




考察。


魔力を流し込みすぎている。


もっと自然な循環が必要。




ポムは失敗した素材を一生懸命運んでくれた。




ありがとう。




研究五日目




魔石の割合を変更。


失敗。


爆発。




部屋中が煤だらけになる。




「……ごほっ。」




「ぷるっ!」




ポムが慌てて体を伸ばし、


悠真の顔を拭く。




「ありがとう。」




二人で笑った。




研究十二日目




失敗。




失敗。




また失敗。




ノートだけが増えていく。




普通なら諦める。




でも。




「失敗じゃない。」




「成功しない方法が分かった。」




そう書き残す。




研究二十一日目




ポムが素材を勝手に並べ替えた。




「違うよ。」




そう言いながら、


そのまま実験する。




成功率が少し上がった。




悠真は手を止める。




「……偶然?」




もう一度。




同じ配置。




また成功。




ノートを書く。




仮説。




ポムは魔力の流れを本能で理解している。




研究三十八日目




今日も失敗。




ポムが落ち込む。




「ぷる……。」




悠真は笑う。




「失敗したのは俺。」




「ポムは悪くない。」




ポムは少しだけ元気を取り戻した。




研究五十四日目




悠真が寝落ちした。




机の上。




ノートを開いたまま。




翌朝。




素材が全部整理されている。




床も綺麗。




ポムが丸くなって眠っていた。




悠真は小さく笑う。




「手伝ってくれたんだ。」




「ぷる。」




誇らしそうだった。




研究七十九日目




魔力の流れを変える。




失敗。




しかし。




今までより


素材が長く形を保った。




一歩前進。




研究百三日目




初めて口論した。




ポムが希少鉱石を食べた。




「それは食べちゃダメ!」




思わず声を荒げる。




ポムは隅へ行き、


小さく丸くなる。




その夜。




悠真は反省した。




「ごめん。」




ポムはすぐ飛びついた。




「ぷる!」




仲直り。




その出来事も、


ノートへ書いた。




家族だから喧嘩もする。




研究百五十八日目




雪。




もちろん外ではない。




個人空間に季節はない。




ただ。




悠真の感覚では、


もう冬くらい長く研究している気がした。




ノートは三冊目。




失敗回数。




三百七十一回。




ポムは今日も隣にいる。




何も言わず。




ただ。




隣にいる。




それだけで。




悠真は、


もう一度立ち上がれた。




研究二百四十二日目




ポムが自分から魔力を素材へ流した。




「……!」




初めて、


悠真以外の魔力で反応が起きる。




「そうか。」




「一人じゃないんだ。」




研究は。




二人でやっている。




研究三百日目




失敗。




それでも。




もう焦りはない。




一年近く続けた。




今さら、


あと一日増えても変わらない。




ポムも同じだった。




「ぷる。」




静かに隣へ座る。




言葉はない。




でも。




それだけで十分だった。




研究三百三十六日目




今日は、


なぜか成功する気がした。




悠真は指輪へ視線を向ける。




「頼む。」




魔力を流す。




流さない。




循環させる。




素材。




魔石。




鉱石。




そして。




ポムがそっと魔力を重ねる。




二人の魔力が、


静かに一つになる。




その瞬間。




青白い光が、


作業台いっぱいに広がった――。


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