第四十四話 想定外の階層
中級ダンジョン。
第七階層。
特別探索実習。
最終日。
「予定では、ここまでだ。」
担当教官が告げる。
第七階層。
ここが今回の到達地点。
本来なら。
ここから帰還する予定だった。
しかし。
異変は突然起きた。
地面が揺れる。
「……?」
漣が足を止める。
「今のは?」
雪乃が周囲を見る。
壁。
床。
通路。
すべてが微かに変化している。
「教官。」
悠真が声をかける。
「これは……予定にありましたか?」
教官の表情が変わる。
「いや。」
「ない。」
探索端末を確認する。
しかし。
表示される地図が変化している。
「そんな……。」
教官が呟く。
「階層構造が変わっている。」
ざわめきが広がる。
探索実習で、
こんな現象は聞いたことがない。
漣が剣を抜く。
「帰れるのか?」
教官は答えない。
その沈黙が答えだった。
「全員、警戒!」
その瞬間。
遠くから音が響く。
ズズズ……。
壁が動く。
新しい通路が現れる。
まるで。
誰かが、
道を作っているように。
悠真は息を止める。
普通ではない。
これは偶然の変化ではない。
「……。」
ダンジョンが。
こちらを見ている。
そんな感覚。
そして。
新しく現れた通路の先。
通常なら存在しない場所に。
一つの反応。
強い魔力。
「何かいます。」
雪乃が言う。
漣が前を見る。
「行くか?」
悠真は少し考える。
危険。
間違いなく危険。
でも。
ここで引き返すだけでは。
何も分からない。
「……行こう。」
三人は進む。
本来存在しない、
第八階層へ。
その瞬間。
ダンジョン深部。
長い眠りについていた何かが、
ゆっくりと目を覚ます。




