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第三十七話 レベルでは測れないもの

探索者育成学園。




朝。




教室では。




いつもとは違う話題で盛り上がっていた。




「来週の特別探索実習。」




「本当に中級ダンジョンなんだよな?」




「協会の監督付きとはいえ、緊張するな。」






学生たちの表情には。




期待と不安が混ざっていた。




中級ダンジョン。




それは。




授業で扱う場所とは違う。




魔物の強さ。




環境。




危険度。




全てが変わる。






「神代。」




声をかけられる。




悠真が振り向く。




同じクラスの学生だった。




「少し聞いていいか?」




「何?」






相手は少し迷ってから聞く。




「お前って……。」




「本当にレベル1なのか?」






教室が少し静かになる。






悪意ではない。




純粋な疑問。






悠真は頷く。




「うん。」




「ずっと1だよ。」






「じゃあ。」




「どうして深層で戦えたんだ?」






悠真は少し考える。






以前なら。




答えられなかった。






自分でも分からなかったから。






でも今なら。




少しだけ分かる。






「多分。」






「レベル以外の部分を伸ばしてきたからだと思う。」






相手は首を傾げる。






「レベル以外?」






悠真は頷く。






「経験とか。」




「判断とか。」




「失敗したこととか。」






「そういうもの。」






教室が静かになる。






それは。




当たり前のようで。




誰も深く考えなかったことだった。






探索者は。




レベルを見る。




ステータスを見る。




才能を見る。






でも。




悠真は違う。






積み重ねた時間を見る。








「変な奴だな。」






漣が横から言う。






悠真を見る。






「普通はもっと格好いいこと言うだろ。」






「例えば?」






「努力は裏切らない、とか。」






「……。」






悠真は少し考える。






「でも。」






「裏切る時もあるよ。」






漣は笑った。






「そういうところだよ。」








雪乃も微笑む。






「でも。」






「悠真さんらしいです。」








放課後。






三人は協会訓練場へ向かう。






特別探索実習前の準備。






装備確認。




魔物対策。




役割確認。






黒崎レオンが資料を渡す。






「今回の目的を忘れるな。」






三人を見る。






「討伐数ではない。」






「深く潜ることでもない。」






「生きて戻ることだ。」








漣が頷く。






「分かっています。」






雪乃も続く。






「無理はしません。」








黒崎の視線が悠真へ向く。






「お前もだ。」






「はい。」






即答。






黒崎は少し意外そうな顔をする。






以前なら。




悠真は自分を犠牲にしていた。






仲間を守るためなら。




自分が傷つくことを選んでいた。






しかし。




今は少し違う。






守るためには。




自分自身も必要だと理解している。








その夜。






個人空間。






ポムが悠真の周囲を跳ね回る。






「ぷる!」






「どうした?」






ポムは小さな体で。




何かを伝えようとしている。






悠真はしゃがむ。






「……心配してるのか?」






「ぷる……。」






悠真は笑う。






「大丈夫。」






「一緒に帰ってこよう。」






その言葉に。




ポムの体が少し光る。






【信頼度】




【上昇】






悠真は気づかない。






しかし。






この小さな変化が。




後に大きな意味を持つことを。








同じ頃。






深い地下。






ダンジョン内部。






魔物たちが蠢く。






通常なら。




侵入者を排除するための反応。






しかし。




一部の魔物だけが。




違う反応を示していた。






「……?」






ダンジョンは。




何かを感じ取っていた。






レベルでは測れない存在。






世界のシステムから外れた存在。






神代悠真。






まだ。




ダンジョン自身も知らない。






その存在が。




未来を変えることを。


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