表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
38/45

第三十六話 測定不能の少年

探索者育成学園。




深層探索から戻って数日。




悠真は一人、訓練場にいた。




手には、自分の探索者端末。




表示されている情報。




名前。


神代悠真。




年齢。


18歳。




職業。


テイマー。




レベル。




1






変わらない。




いつ見ても。




同じ数字。






普通の探索者なら。




経験を積めば。




魔物を倒せば。




レベルは上がる。




能力値も伸びる。




しかし。




悠真には、それがない。






「……やっぱり変化なし。」






でも。




悠真は落ち込まなかった。




以前とは違う。






レベルが上がらない。




それは事実。




でも。




それだけが成長ではない。






端末の別項目を見る。






【熟練度】






テイマー技能。


魔力操作。


危険察知。


空間管理。


探索技術。






数値化されない項目。






そこには。




確かな積み重ねがあった。






初めてダンジョンへ入った時。




何もできなかった。




魔物の動きも分からなかった。






今は違う。






敵の癖を見る。




仲間の動きを理解する。




危険を予測する。






それは。




レベルには表示されない。






「……これが僕の成長なのか。」






その時。






「珍しいな。」






声がした。






振り返る。






黒崎レオン。






A級探索者。






「黒崎さん。」






黒崎は悠真の端末を見る。






「まだ1か。」






「はい。」






悠真は答える。






「ずっとです。」






黒崎は黙る。






普通なら。




ここで疑問に思う。




なぜ成長しない。




なぜ戦える。




なぜ結果を残せる。






しかし。




黒崎は違った。






「……面白いな。」






悠真を見る。






「何がですか?」






「お前。」






黒崎は言う。






「レベルを見ているようで。」






「レベルを頼っていない。」






悠真は少し考える。






「頼れないからです。」






黒崎は頷く。






「そうだ。」






「普通の探索者は。」






「レベルが上がることで、できることが増える。」






「だが。」






「お前は逆だ。」






「できることを増やした結果。」






「レベルが意味を失っている。」






悠真は黙る。






自分でも。




まだ完全には理解していなかった。






レベルがない。






それは欠点だと思っていた。






でも。






もしかすると。




別の道なのかもしれない。






「ただし。」






黒崎の表情が変わる。






「勘違いするな。」






「レベルが必要ないわけじゃない。」






「この世界では。」






「レベルは大きな力だ。」






悠真は頷く。






「分かっています。」






だからこそ。




自分は別の方法を探す。








その頃。




訓練場の外。




藤堂漣と白石雪乃が待っていた。






「また黒崎さんと話してる。」






雪乃が言う。






漣は笑う。






「悠真らしいな。」






「普通なら。」






「レベルが上がらないことを気にする。」






「でもあいつ。」






「どうすれば前に進めるかしか考えてない。」






雪乃は頷く。






「だから……。」






「一緒にいると成長できるんでしょうね。」








その夜。




悠真は個人空間へ入る。






最初は。




六畳一間だった場所。






今では。




少しずつ変化している。






小さな家具。




収納。




作業場所。






まだ大きくはない。






でも。




ここには。




悠真が積み重ねた時間がある。






「ここも。」






「僕の成長なんだな。」






ポムが跳ねる。






「ぷる!」






悠真は笑う。






レベルは変わらない。






でも。




何も変わっていないわけではない。






仲間。




経験。




信頼。




居場所。






全部。




少しずつ増えている。






その時。




個人空間の奥。




まだ誰も知らない場所で。




小さな変化が起こる。






【信頼度】




【確認】






ポムとの数値。






少しだけ。




上昇していた。








世界のどこか。






巨大な情報の流れ。






世界管理者アーカスは。




静かに一つの記録を見る。






【レベルシステム】






【対象:神代悠真】






【判定】






【測定不能】






アーカスは静かに記録を閉じる。






「……例外ではない。」






「これは。」






「新しい可能性だ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ