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第二十六話 初めてのダンジョン探索

探索者育成学園。


実習受付所。




「久しぶりだな。」




悠真は目の前のダンジョン入口を見る。




第一章の戦闘以来。


本格的な探索はしていなかった。




理由は。




零落の指輪。


ポム。


そして。


自分自身の能力確認。




今の自分が。


どこまで戦えるのか。




それを確かめる必要があった。




「緊張してる?」




隣から声。




雪乃だった。




「少し。」


悠真は正直に答える。




雪乃は少し驚く。




以前の悠真なら。


「問題ありません」


と言っていた気がする。




でも今は。




不安も。


迷いも。


隠さなくなっている。




「それは良いことだと思います。」




「え?」




「自分の状態を理解できているということですから。」




悠真は少し笑った。




「雪乃は前向きだな。」






「おい。」




後ろから声。




蓮が歩いてくる。




「二人で先にいい雰囲気になるなよ。」




「別にそんな話じゃない。」




悠真が答える。




蓮は笑う。




「分かってる。」




「でも。」




蓮は悠真を見る。




「前より自然になったな。」




悠真は首を傾げる。




「何が?」




「人との距離。」




少し間。




悠真は何も言わなかった。




でも。




否定もしなかった。






今回の探索。




目的は。




Dランクダンジョン。




初心者向け。




しかし。




参加者は普通ではない。




悠真。


レベル1。




蓮。




雪乃。




第一章で共に戦った三人。






「準備はいいか?」




監督役の鬼塚教官が聞く。




「今回は討伐数よりも確認を優先する。」




「無理はするな。」




三人は頷く。






ダンジョン内部。




湿った空気。




岩壁。




魔物の気配。






「来る。」




悠真が呟いた。




蓮が武器を構える。




「相変わらず早いな。」




雪乃も魔法準備。






現れたのは。




ゴブリン三体。






「俺が前に出る。」




蓮が踏み込む。




第一章の頃とは違う。




動きが速い。




迷いがない。




一撃。




ゴブリンを倒す。






「蓮。」


悠真が言う。




「右。」




「分かってる。」




蓮は振り向かず対応する。




もう。




指示を待つだけの関係ではない。






雪乃も魔法を放つ。




「アイスバレット。」




氷の弾丸。




以前より威力が高い。






悠真は驚く。




「雪乃。」




「魔力制御が上がっている。」




雪乃は頷く。




「私も訓練しましたから。」






三人とも。




成長している。






最後。




少し大型の魔物。




ホブゴブリン。






「少し強いですね。」


雪乃が言う。




「どうする?」


蓮が聞く。




悠真は敵を見る。




以前なら。




自分が全て分析して指示していた。




でも。




今は違う。




「蓮。」




「正面をお願いします。」




「雪乃。」




「足止めをお願いします。」




「僕は隙を作ります。」






自然な役割分担。






蓮が笑う。




「了解。」




雪乃も頷く。




「任せてください。」






戦闘開始。




蓮が攻撃。




雪乃が拘束。




悠真が動きを読む。




そして。




右手の指輪が淡く光る。




【魔力効率化】




悠真の魔法。




以前なら小さな炎。




しかし。




今は。




同じ魔力量。




同じ術式。




なのに。




威力だけが違う。




「ファイアランス。」




炎の槍。




ホブゴブリンの足元を貫く。




蓮が驚く。




「おい。」




「それ、前と同じ魔力量だよな?」




悠真は頷く。




「うん。」




「でも。」




右手を見る。




「無駄が減った。」






ホブゴブリンが倒れる。






討伐完了。






その瞬間。




ダンジョンの壁。




一瞬だけ。




黒い紋様が浮かぶ。






悠真は気づく。




「……今の。」




雪乃を見る。




「何かありました?」




「いや。」




見間違いかもしれない。




しかし。




深層では。






『適合者』




『成長確認』






誰かが悠真を観察していた。






そして。




新たな扉が。




静かに開き始めていた。


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