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第二十四話 最弱装備の可能性

ダンジョン協会・第七訓練施設。


魔法検証室。




「もう一度お願いします。」




悠真は魔法陣を展開する。




右手には黒い指輪。




【零落の指輪】




昨日まで。


誰にも使えなかった装備。




しかし。


今。


悠真の魔力を確実に変化させている。




「ファイア。」




小さな炎が生まれる。




以前と同じ。




拳ほどの火球。




蓮が首を傾げる。




「……あれ?」




「前と大きさ変わってなくないか?」




悠真は頷く。




「うん。」




「変わってない。」




蓮が驚く。




「え?」




「じゃあ意味ないんじゃ……。」




雪乃が首を振る。




「違います。」




彼女は測定器を見る。




「神代さん。」




「魔力消費量を確認してください。」




悠真が見る。




表示。




使用魔力。


1




「……。」




「前は?」




雪乃が答える。




「同じ威力を出すのに、5消費していました。」




悠真は目を見開く。




つまり。




魔力量5の悠真にとって。


これは大きな違いだった。




「今まで。」




悠真が呟く。




「一回しか撃てなかった魔法が。」




「理論上なら、五回撃てる。」




黒崎が頷く。




「そういうことだ。」






普通の探索者なら。


気づかない差。




魔力量1000。


魔力消費10。




そんな世界では。


効率が少し良くなっても、大きな意味はない。




しかし。




魔力量5。




限界まで切り詰めて戦う悠真にとって。




1という数字は。


命を左右する。






「なるほど……。」




蓮が納得する。




「普通の人には必要ない能力。」




「でも。」




悠真を見る。




「お前には必要だった。」




悠真は指輪を見る。




「僕向けに作られたみたいだ。」






黒崎が静かに言う。




「違う。」




「お前が、指輪に合わせたんだ。」




悠真は顔を上げる。




「……。」




「この指輪は、強者が使えば欠点になる。」




「だが。」




黒崎は続ける。




「限界まで自分を理解している人間なら、最高の相棒になる。」






その言葉を聞いた時。




悠真は思った。




零落の指輪は。




自分を強くする装備ではない。




自分の弱さと向き合うための装備なのだと。









訓練終了後。




悠真は協会の資料室にいた。




目的は。




零落の指輪の過去を調べるため。




古い記録。


装備一覧。


研究報告。




何時間も調べる。




そして。




一つの記録を見つけた。




【零落の指輪】


製作者:


不明




制作目的:


魔力保有量に左右されない魔法行使の研究。




悠真は手を止める。




「魔力量に左右されない……。」




さらに読む。




しかし。


そこから先は。




破損していた。




最後の文章だけ。


残っている。




『完成には至らず』




『使用者を得られないまま封印』




悠真は考える。




「未完成……。」




その言葉。




ポムと同じだった。






その時。




後ろから声がした。




「面白いものを調べているな。」




振り返る。




そこにいたのは。




黒崎だった。




「黒崎さん。」




黒崎は資料を見る。




「昔、この指輪を研究した人物がいた。」




「その人物は言っていた。」




「魔力の量ではなく。」




「魔力を扱う技術こそ、人間の可能性だと。」




悠真は黙る。




「……その人は?」




黒崎は少し間を置いた。




「消えた。」




「ダンジョン氾濫期にな。」






空気が変わる。




「そして。」




黒崎は続ける。




「この指輪を作った研究者は。」




「ダンジョンの深層について、何かを調べていた。」




悠真は指輪を見る。




まるで。




この装備も。




ダンジョンの謎につながっているようだった。






その夜。




個人空間。




ポムが零落の指輪に近づく。




「ぷる……。」




すると。




また表示が浮かぶ。




【共鳴率上昇】




【ネオスライム】


【零落の指輪】




【条件達成時】


【新たな可能性が開放されます】




悠真は目を見開いた。




「ポム。」




「僕たち。」




まだ知らない力を持っているのかもしれないな。




ポムが嬉しそうに揺れる。




「ぷる!」


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